島根に住んで気づいた10のこと

気づけば島根に住んで3年が経った（出雲と松江、それぞれ半分くらい）。はやすぎて、島根のことについて書いたnoteが少ない。これは言い訳なのか否か。

あたり前だが気づいたことがたくさんある。地元・岡山という比較的近いところからの移住でも。東京と島根を比較する人は多いと思うが、岡山と比較する人は少ないと思うので、メモがてらに自分の思ったことを振り返りつつ、言語化したい。

季節を自然に感じられる。

夏はしっかり暑いので、そこらじゅうに透明度の高い海水浴場があり、5月ごろから子どもたちが泳いでいる。瀬戸内、北陸、東海あたりの海をフラフラしたとき、「？」となった。島根の海のほうが圧倒的にきれい。そして冬はしっかり寒いので、そこらじゅうに山があり、ドカ雪が降る。長野や北海道にはもちろん劣るが、きれいな雪が降る。晴れ、曇り、雨、風、雪、すべての天気が平等にくる。自然に変わりゆく季節と気候を、贅沢に楽しめる。

「水」が多い。

宍道湖、中海、神西湖、日本海。あらゆる「水」に囲まれている。湿気との戦いをせざるを得ない。浴室乾燥機、ゴキブリホイホイ、炭八が三種の神器である。

空港が多い。

県内だけで3つもある。全部コンパクトな館内で利用しやすい。私がよく利用している出雲・名古屋間の格安航空は、早く取れば岡山・名古屋間より全然安い。時間のことを考えれば圧倒的にコスパがよい。岡山時代はそもそも名古屋に行く概念がなく、関西に行くだけで満足していた。飛行機の便利さに改めて気づく。空港をうまく利用すれば、意外といろんな場所へ行ける。

混雑に対するストレスが皆無

駅前の一畑百貨店が閉店するという悲しいニュースはあれど、やはり街なかに人が少ない日常はノンストレスである。通勤時間帯の車両数は2両。しかし席に座れる。国道9号（島根の主要道路）はある程度混雑するが、国道2号（岡山の主要道路）で通勤していた私にとっては感動するほど混雑しない。もちろん海水浴場も初詣も混雑しない。

運転スキルが高い。

「若者の車離れ」が虚言かと思うくらい、地元のZ世代は車を持っている。島根の運転民度が高いため、ガンガン飛ばすZ世代は少ない。

顔が結構似ている。

街中を見たり、友達を見たりすると、みな顔が似ている。外との交流が少ない地域なんだと感じる。

肉と海鮮がうまい。

しまね和牛。鯖。のどぐろ。しじみ。海と山が近いので、新鮮で高価なものが安く食える。なので食事に対する期待値が上がる。上がりすぎて皆、「大手回転寿司の魚はゲボの味」だの、「県外の米は吐く」だの、たまに辛辣な言葉が飛び交う。元の素材がうまいので、やさしい味が好まれ、不要な味付けが気に食わないのだろう。あー、だから島根はゴリゴリの家系ラーメンが少ないのかなと予想。

「島根が好き！」と口に出す。

地元愛がある人が多い。男女関係なく、みんな「好き」を言う。「岡山好き！」「東京好き！」はあまり聞かない。どちらかというと悪口が目立つ。

隠岐島という独特な島がある

noteにも書いたことがあるが、隠岐島の独特な空気感が大好きで、毎年1回以上は行っている。地方の中のさらに地方を体験できるが、「集落」ほど寂れていない、むしろ盛り上がっている、めちゃくちゃ不思議な島。

フットワークに磨きがかかる。

私のまわりだけの可能性もあるが、地元の人や都会に住んでいる人とくらべると、フットワークが軽い人が多い気がする。もしかすると、「若者は島根のどこで遊んでんの？」というセンスのない質問に、嫌気が刺したのかもしれない。

地方はネガティブな部分を取り上げられがちなので、あえてメリットを多めに語ってみた。文章だけ読むと、「都会のほうがよくね？」と思うかもしれないが、これらのメリットの恩恵はすごい。肌で感じないとわからないのが悔しい。

何かに秀でているわけではないが、多方面でバランスよく味わえる特殊な地方だな、とは思う。

都会好きな私が3年間も、人口ランキング46位の県に住むわけがない。小さいころから私は都会に住みたかった。親に無理を言って関西に何度も遊びに行き、修学旅行の関東で夢を見た。「いつかここに住みたい」と。

なぜ島根にいるかはいろんな理由があって一括りにできないが、多分上に書いたメリットが積み重なって、居座り続けているんだと思う。でもなんとなく、そろそろ移動の時期なのかな、とも思ったりする。決して「田舎すぎて飽きた」「都会に住みたい」といった薄っぺらい理由ではない。「地元に帰りたい」というわけでもない。たとえこの街を離れたとしてもまた観光客として行くだろうし、ありがたいことに友達もたくさんいるので、飲みに行ったりもして、この街にお金を使うだろう。圧倒的に「好きな街」なのだ。

と、「移動好き」「環境を変える好き（語呂わる）」が思う島根のことでした。まあ、単純に旅好きにありがちな転換期みたいなものなのかもしれない。