中国:最高人民法院による特許権侵害紛争案件の審理に関する法律適用の若干問題の解釈(二)

(2016年1月25日の最高人民法院審判委員会第1676回会議を通過し、ここに公示し、2016年4月1により施行。2020年12月23日の最高人民法院審判委員会第1823回会議で「最高人民法院による特許権侵害紛争事件の審理における法律適用の若干の問題に関する解釈(二)など18件の知的財産関係司法解釈の決定」の第三次修正が可決され、2021年1月1日より施行:法釈(2016)1号、法釈〔2020〕19号)

特許権侵害紛争案件を正しく審理するために、「中華人民共和国民法典」「中華人民共和国特許法」、「中華人民共和国民事訴訟法」など関連する法律の規定に基づき、裁判実務と結び付けて、本解釈を制定する。

第1条 特許請求の範囲に2つ以上の請求項がある場合、権利者は被告侵害者が侵害するとして起訴する根拠となる当該特許権の請求項をその起訴状に明記しなければならない。起訴状に記載がない或いは記載が不明確な場合、人民法院は権利者に明確にするよう要求しなければならない。説明を経ても、権利者がまだ明確でない場合、人民法院は起訴却下の裁定を下すことができる。

第2条 権利者が特許権侵害訴訟で主張する請求項が国務院専利行政部門で無効宣告を受けた場合、特許権侵害紛争案件を審理する人民法院は当該無効請求項に基づく権利者の起訴を却下する裁定をすることができる。
 上述の請求項の無効宣告決定が確定した行政判決により取消されたことを証明する証拠がある場合、権利者は別途提訴することができる。
 特許権者が別途提訴する場合、訴訟の時効期間は本条第2項の規定に基づき行政判決書の送達日を起算とする。

第3条 特許法第26条第3項や第4項に明らかに違反し、明細書を請求項の解釈に用いることができないばかりか、本解釈第4条に規定する状況にも該当せず、特許権がそのため無効宣言請求されている場合、特許権侵害紛争案件を審理する人民法院は一般的に訴訟中止の裁定を下さなければならない。合理的な期間内に特許権が無効宣言請求を受けていない場合、人民法院は請求項の記載に基づき特許権の保護範囲を確定することができる。

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