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Jacob CollierとTom Mischは超人すぎて実在する人間か疑わしい(いや実在したんだけどさ)。 【2022年の五悦七味三会を振り返る③】

2023年も早くも2月3日、今日は節分である。
早すぎて驚く。この調子だとすぐに終わってしまうぞ23年…。
光陰矢のごとし。
本当に気がついたらおじいちゃんになっているんだと思う。

さて、2月に入ってもまだ22年のことを振り返っている僕な訳ですが。
今日は五悦の二つ目(まだまだ先が長いな…去年のことを振り返っているだけで今年が終わるんじゃないか?)です。
いってみよう。

五悦②:BillboardできいたDirty LoopとFUJIROCKで聞いたTom Mischと鈴木雅之、J-waveフェスできいたレキシとKroiと森山直太朗、あとJacob。

今年はたくさんの音楽を生で聞いた。
意識して、たくさんのライブに行く一年にしようと思っていた。
それは音楽家を志して会社をやめてちょっとして、「今年はたくさんライブで勉強しに行くぞ!」と思っていた矢先にコロナウイルスが広まってありとあらゆるイベントが中止になったから。
予約したたくさんのライブは全て中止になって結局何一ついけなかったから。
そこから数年、ついに2022年、少しずついろんなものが解禁されてやっと生の音楽を聴きに行けるようになった。

思えば、僕はこれまで生の音楽をそんなに聞いて来なかった。
誰かのライブに行ったことは1、2回しかなかったし、フェスも大学生の時にサマソニに1度行っただけ。
アカペラサークル時代に大学生のアカペラのライブにはよく行っていたけれど、アマチュアの大学生アカペラと、プロのバンドやシンガーでは正直ものが違いすぎる。

やっぱり生の音楽はいいね。生の歌は本当にいい。
もちろん音源でも本当にいいものが聞けるとは僕も思う。
あれは録音芸術として素晴らしい側面がある。ライブでは再現できないような表現も録音でなら可能なことも多い。そしてそれを追求している音楽家やエンジニアたちの熱意と技術は鬼気迫るものがある。本当に素晴らしいし、心から尊敬しています。
だけど、相互作用としての音楽がどちらかというと好きな自分にとっては、やはりライブの場でのコミュニケーションや場を作っていく感覚、その渦に参加している感覚、今まさにここで何かが生まれている感覚、何かすごいものを目撃している感覚、ひいては「生きている」という感覚。これはやっぱり欠かせない衝動であり衝撃だなと思ったわけです。

DirtyLoopsは全てが本当に素晴らしかった。
信じられない世界を見せてくれて、僕は本当に嬉しかった。
まだまだこの先音楽はどこまでも行けるんだなと思った。
すごいバンドだし、すごい人間だった。
すごい。本当に言葉がない。
イキイキとしているし、正確だし、自分と真摯に向き合っているし、3(4)人とも僕らの方を向いている。
最高の音楽体験だった。

FUJI ROCKのTom Mischは「現象」だった。
同じ「音楽」でも、僕が普段聴くストリーミングとはものが違った。
平らな板から流れてきて、人差し指(か親指)でコントロールできて、ちょっとした隙間時間に適当に流しておくようなものではなく、あれは完全に「晴れ」とか「雨」とか「台風」とか「地震」とか「山脈」みたいな、そういう存在だった。
僕がある程度の理解力と言語力を持ってこの世界に生まれてきたとして、生まれた直後に赤ちゃんの僕が突然あれを見せられて、「彼が神だよ」と言われたら、「ああそうか〜、彼が神か」と納得しただろう。
畏敬の念を抱かざるを得ない。何か巨大な存在だった。
最高にかっこよかった。
神はアディダスの黒いスニーカーを履いていた。

鈴木雅之氏のステージも圧巻だった。
面白いし、仲間がいるって最高だし、彼は間違いなく地球上で一番「マーチン」がうまい人間で、その点において本当にプロフェッショナルだった。
そして隙間から見せる人間味が、本当にかっこいいおじさんだった。
仲間たちも含めて、あんなかっこいいおじさんたちになりたいもんだと心の底から思った。

やっぱりフェスはいい。
それぞれのミュージシャンは持ち時間に全てを詰め込んでくるし、内輪に向けた場にならないからなんというか本気感がある。戦い感がある。なんて幸せな戦いだろう。
その点、レキシは圧倒的だった。
日本人なら誰が見てもわかる振り付け、誰が見てもわかる音楽、誰が見てもわかる笑い。そしてその奥に広がっているであろう奥深き技術と知識と膨大な情報の沼、いや、田んぼ(?)。
自分の目指すところはあそこだと再確認できた。おれはレキシになりたい。

Kroiの喜びと自信に満ちた演奏とボーカルの技術には舌を巻いたし、森山直太朗さんの「本当は一番強いやつ」の佇まいにも痺れた。あとマジで歌がうまかった。

そしていまだにまとまらないのがJacob Collier。
僕はマーベルの映画を見たのかもしれないといまだに思っているくらい、彼は完全に超人だった。アイアンマンの世界。もしくはワンピースのルフィ。そういう人たちと並列して全く違和感がないレベル感だった。
「音楽の素晴らしさ」と平たくいう時に指し示している音楽とその技術の範疇を完全に超えていた。
多分オリンピック100mの決勝を生で見た時とか、ワールドカップの決勝のメッシを生で見た時とか、そういう種類の感動だった。
いまだに、現実世界の出来事だったかどうか信じがたい。
そんな高みに、彼はいた。

23年もたくさんいい音楽を聴きたいな〜〜。


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