【KY31】半導体銘柄の選び方
半導体銘柄は、ここ数年注目です。
しかしながら、エヌビディア(NVDA)や東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)のようにものすごく伸びているものもあれば、全く注目されない値動きもない銘柄もあります。
なぜこのような違いがあるのか、ビジネスモデルの側面から考えてみました。
半導体の製造工程
半導体ができるまで
半導体の製造は、素材からチップができるまで、とても長いです。
各工程に製造装置が設置され、素材・部材もそれに合わせて多くあり、チリやホコリも許さない、デリケートな環境下で精緻な製造作業が幾重にも及ぶ、複雑なプロセスで製造されます。
そのため、たくさんの企業が一つのチップを製作するのに、関与しています。このように見ると、単純に半導体銘柄だから株価も伸びるとは、いえなさそうです。
粗利の高いビジネスモデルとは
最近はAI半導体が注目されています。エヌビディアが筆頭格ですが、そこからさらに、AI関連でさくらインターネットといった、直接的に半導体とは関係ないところまで、影響があります。
このように見ると、もはや何がイケてるのか分かりにくいです。
ですが、ここにヒントがあります。
半導体はあくまで部品ということです。
バリューチェーン(価値の連鎖)で最終的な付加価値を生むのは、車やスマホ、家電、ITサービスなどです。
つまり最終的な製品・サービスが粗利が高ければ、そのような製品・サービスに必要な半導体のサプライヤー企業の利益も大きくなるということです。
製造工程の本流に近いところ
半導体製造工程は非常に長く、多重構造です。
したがって、チップになるまで中間に様々な企業が入ると、その分利益率が下がります。
したがって、自社製品との接点が製造工程の本流に近いほど、中間に他の企業が少なく利益率が高いです。
TSMCのようなファウンドリは本流そのものですし、東京エレクトロンやレイザーテックのような製造装置メーカーや信越化学のような素材メーカーは、本流に近いところに自社製品を提供しています。
したがって、利益率が高くなります。
一気通貫の生産体制
半導体業界は多重構造なので、例えば部材を切る・削る・研磨する・メッキする・接合する、といった作業を別々の企業で行うことがあります。
しかし加工作業を、このように複数の企業で行うと、原価が余計に掛かり利益を圧迫します。
したがって、なるべく一企業で担当できる方が原価率が下がりますし、対応力やカスタム能力も上がりますし、短納期化もでき、付加価値も高まります。
本流から外れていても、一気通貫した生産体制は強みになります。
オンリーワンの技術力を持つ
半導体は多種多様です。そういった意味では、ニッチ市場で独占的な地位を築くことは可能です。
ニッチ市場のマーケット規模は限定的ですが、オンリーワンの技術力を持つことで、他社に優位することができ、その分利益率も高くなります。
まとめ
AIスマホのように、粗利の高い製品・サービスに使われる半導体であるか
製造工程の本流との接点が近いか
一気通貫した生産体制があるか
オンリーワンの技術力を持っているか
このような視点から、伸びる半導体銘柄を探してもいいかもしれません。
シリコンサイクルでも伸びる銘柄
シリコンサイクルとは
シリコンサイクルとは、半導体業界の構造的な景気循環サイクルのことです。大体4年ぐらいをサイクルとしています。
なぜこのようなサイクルが発生するかというと、半導体業界は日進月歩で技術革新が早く、それに対応するため製造に大規模な投資が必要になるからです。
例えば新しい高性能のスマホが、サイクルが短くリリースされます。
そのスマホの需要は旺盛なので、早く供給が追いつくよう、早くたくさん製造されます。こうなると、どんどん在庫が積み上がりますし、値下がりもします。
さらに追い打ちを掛けるように、新しい高性能のスマホがリリースされ、今まで新しかったものがますます陳腐化します。
このようなサイクルが起こるため、好不況の波がおおよそ4年ごとに起こるのが、半導体業界の特徴です。
シリコンサイクルに関係なく伸びる
シリコンサイクルから逃れる銘柄には、特徴があります。
半導体製造装置や装置の消耗品など、在庫になるものを生産しない
最先端の素材・部材など、そもそも在庫のないものを生産する
シリコンサイクルが気になって、半導体銘柄の買うタイミングを逃すこともあると思うので、このような視点を持ってはいかがでしょうか?
オプトラン(6235)
以前ブログで触れた企業です。
企業分析
半導体に直接関わる企業ではないですが、AIスマホなどに搭載されるCMOSセンサーやEVのADAS(先進運転支援システム)、AR・VRメガネなどに使われるガラスの光学成膜の製造装置など、最先端の製造装置を作っています。
AIメカテックとの合弁企業(持分2/3)では、革新的な半導体のインプリント製造装置の研究・開発を行っており、成功すれば半導体製造装置メーカーとしての成長を期待できます。
私の上記の基準にも合致しており、その中で割安の銘柄でした。
非常に利益率が高く、研究・開発を怠らない、財務も安定した優良企業です。
新型コロナ感染症による中国市場の低迷の影響を受け、一時的にトップラインが落ち込んだことはありますが、その場合でも非常に高収益の企業です。
取引先企業は公表されていませんが、調べた範囲だとアップルやファーウェイなどメガテックにも納入しているようです。
資本コストや株価を意識した経営
総会資料(2024.3.22)にて、「株主還元としては、安定配当を実施し、機動的な自己株式取得を検討してまいります」との記載がありました。
なお日経500から、4月1日に外れることになりましたが、もともと買われていないので、それほど影響はない気がします。
オプトランは買いか?
答え:私の持ち株です。それなりに出来高もありますし、まだまだ割安圏内だと思います。
投資は自己責任でお願いします。
今回はここまで。次回またよろしくお願いいたします。
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