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【KY23】子供に教える複利効果

複利効果のプラスとマイナス

今は投資ブーム

複利効果とは、儲かったお金を元のお金と合わせて再投資することで、さらに儲けを膨らますことです。
例えば、トイチ(10日で1割の利息)の複利計算で10,000円のお金を貸すと、3ヶ月後には約2倍の20,000円になります。

21,435円=10,000*1.01^10

かつての闇金は、トイチが当たり前にあったそうですが、あらためて考えると暴利ですね(笑)

それはさておき、最近の投資ブームなので、セミナーなどではこの複利効果が、必ずと言っていいほど取り上げられます。
インデックス投資は複利効果抜きでは語れませんから、当然といえば当然です。

アインシュタインが「複利は人類最大の発明」と名言を残したとか、まあそのような話が出てきますね。
「今が一番若いとき」
「今投資すれば、xx年後にはxx倍になる」
「ただ投資は自己判断でお願いします(笑)」
セルサイドの証券会社のセールス文句を、鵜呑みにするのは危険です。

最近は子供の投資教育もブームですが、このように複利効果を教えるのは、百害あって一利なしで、好ましいことだと思いません。

そこで今回は、子供に複利効果をどのように教えるのか、雑多に書いてみようと思います。

マンハッタン島の歴史

私の記憶があやふやで明確に覚えていないのですが、学生の頃にニューヨーク・マンハッタン島に遊びに行ったことがあります。

そこで、マンハッタン島を一望できるエンパイアステート・ビルディングに行きました。
同施設のパンフレット案内に、『1627年にオランダ提督がインディアンたちに物々交換を持ちかけ、マンハッタン島を「布と短剣とビー玉」というわずか24ドルで譲り受けた』とありました。
白人がインディアンを騙したという話ですが、案内文にはさらに「その24ドルを銀行に預けていれば、利息の複利効果でマンハッタン島の土地を全て買うことができる」と記載していました。

その当時インディアンを騙したという事実は変わらず、明らかに白人のインディアンに対する人種差別なので、ブラック・ジョークにすぎず、笑えないなと思って読んだ記憶があります。

複利効果と植民地政策

それはさておき、この逸話から何が言いたいのかというと、複利効果にはプラスとマイナスの側面があるということです。

よく考えて欲しいのですが、白人は24ドルでマンハッタン島を得ています。彼らはそこから現在まで約400年の間、ウォール・ストリートに多くの富を蓄積しました。他方でインディアンは約400年を掛けて、元に戻っただけです。

植民地支配において、宗主国は植民地を収奪し多くの富を得て、プラスの複利効果でさらに膨らませました。他方で、植民地は多くの富を失い、マイナスの複利効果で、ますます貧乏になりました。

マイナスの複利効果の影響

例えば10,000円に1年目に▲10%、2年目に10%の金利を付けたとします。1年後には9,000円になりますが、2年後には9,900円にしかなりません。マイナスの複利効果が連続すると、結果はどのようになるでしょうか。
同じ成長率では、元には戻らない、これがマイナスの複利効果の影響です。

貧困の連鎖の解消は、一筋縄ではいかないということです。
私は、ジンバブエやマラウィといったアフリカの最貧国、かつてのイギリスの植民地に滞在したことがあるのですが、現地の人と自分とでは同じ人間とは思えないくらいの格差を感じました。

このような言い方は良くないのですが、そうとしか表現しようがないのです。

文字が書けるとか、暗算ができるかとか、そのような教育水準の問題ではなく、人間としての最低限の常識とか、倫理観・道徳観とか、そういう根本的なことが違いました。

一例として女性が赤ちゃんを出産しても、自分が新しい恋人と恋愛をするためなら、茂みの中に赤ちゃんを放置して、動物の餌にしてしまうことに、ほとんどためらわなかったり、社会的な非難がなされません。
他人ものは大切に扱わない、欲しければ盗む。賄賂は当たり前で、下が10ドル欲しければ、上は100ドルを欲しがる、そういうのが日常の世界です。

海外の投資銀行のレポートや日本の投資系インフルエンサーが、いずれインドやアフリカなどのグローバルサウスが台頭し、日本や他の先進国を追い越すとか、自社の金融商品を売りたさにセールストークをしますが、どこを見ているのやらと思います。

カールマルクスの資本論

個人的にはマルクスは偉大な思想家?の一人だと思うのですが、最近は全くと言っていいほど、取り上げられないです。
ちなみに資本論は10ページでまとめられることを、岩波文庫だと9冊の分厚い本になっているから、読む気が失せます。私は3冊目で断念し、パラ読みとまとめ本で済ますことにしました。
だから現代社会で、流行らないのですけどね。

それはさておき、マルクスによると「資本を剰余価値を生むことにより自己増殖する価値の運動体」と定義されます。
大雑把に言うと、金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になるのが、資本主義社会だと言うことです。

複利効果については、プラスとマイナスの側面があり、複利効果は一代限りではないのです。

そしてマイナスの複利効果は、ものすごい差を作り出します。
特に宗主国と植民地ように、ゼロサムゲームのプレーヤー同士では、絶望的な差となります。

自己啓発と1%の努力

自己啓発本などでは、他人より1%の努力を積み重ねると、大きな成果を得られると言う、実に薄っぺらいことが書かれています。
私の友人には、自己啓発系のセミナーが大好きな人たちもいるので、あまり悪く言う気もないのですが、投資ブームも同じようなものです。

確かに野球の大谷選手のような偉人を見ると納得せざるを得ないのですが、私は世の中の大半の人は1%の努力をしていると思います。
残業で仕事の成果を出そうとする人、子育てに熱心な人、受験勉強を頑張る人、趣味のマラソンを頑張る人、色々です。

この点、大谷選手は類稀なる身体能力を持っています。これはどうしようもない差です。投資においても同じで、両親が金持ちの人は始めから有利な条件でスタートできます。
つまり前提条件を無視して、十把一絡げに1%の努力を説くのは、暴論だと思うのです。

私は投資における複利効果を低く見積もる気は無いのですが、最近の投資ブームのセルサイドの証券会社や投資系インフルエンサーが、ことさらにこれを強調することが、非常に薄っぺらく思えて仕方がないのです。

子供に教える複利効果

日本人に生まれた幸運を伝える

私は複利効果について子供に教えるなら、プラスとマイナスの面をしっかり教えるべきだと思います。
また世の中にはどうしようもないほどの差があり、複利効果が助長していることも、同時に教えなければなりません。

そのうえで、日本は一億総中流と言われる社会であり、貧富の格差は少なく、なるべくチャンスは平等に与えられる恵まれた社会であることを、伝えることが大事だと思います。
確かに日本には色々と課題はありますが、世界的に見たらこれほど恵まれた国は少ないのです。

継続は力なり

私の6歳の娘には、複利効果を教えるのは難しいかもしれません。

しかし人生の複利効果として、継続は力なりと教えるのは容易です。
特に他人の努力を笑わないことを教えるのは、もっと大事です。

お金を使った複利効果を教える

投資とは、どうしてもお金を増やすことが目標になりがちです。
しかし私は、周囲の人間を幸せにすることや、社会を豊かにすることは、投資の本質的な価値だと思います。

そのために自分に投資すること、企業に投資すること、起業して事業を起こすことなど、それをいかに効率よく実現するか、その一つの手段が複利効果を活用することです。

「資本が資本を生む」ではなく、「資本が自分や周囲の人、社会を少しずつ変える」という視点から、投資と複利効果を教えていくことが大事なのだと思います。

今回はここまで。次回またよろしくお願いいたします。

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