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お汁粉の夢

お久しぶりです。

もうすぐ死んでしまうおじいちゃんの為に、何かできないかと思って、考えて考えた。おじいちゃんは和菓子が大好きだったので、それを買ってから帰ろうと奔走する、夢を見た。

ビルのような高さを駆け降りたり、路地でたくさん人にぶつかったり、お店を尋ねた。
小学校の学園祭みたいな場所や、フリーマーケットみたいなスーパー、お洒落な本屋みたいな場所を巡って、和菓子を探した。

そして最中、良いサプライズを思いついた。おじいちゃんは餡子が好きなのだ。ならばお汁粉を買って帰ろうと。

おじいちゃんは今、食べものを受け付けない。末期だったから。でも、お汁粉の素を溶かして、木のスプーンでかき混ぜて、そのスプーンだけ口の中に入れてあげれば、風味とか感じるんじゃないかと。なかなか本当に、夢にしては名案で、実際にそれをしてあげれば良かったと思う。

私はおじいちゃん子だったが、喋ることは苦手で、いつも話をうんうんと、聴く側だった。けれども今、おじいちゃんは全く喋れず、どうすることもできなかった。本当に手を握るだけしか出来なかった。慣れない感じで言葉をかけてみたけれど、…なんだか。
おじいちゃんは優しかったから、無理しているのを分かってくれているんだろうけど、やっぱり返事がないのは辛かった。
でもこれならば、返事がなくてもおじいちゃんに気持ちが伝えられるんだと思った。

けれどもタイムオーバーだった。朝日が差し込んでしまい、夢から覚めてしまった。

お汁粉は結局手に入れたのだろうか。夢とは泡で、消えたぶんはもう掴めない。

孝行に見せかけて、最後は不孝だった者は、あの時をずっと後悔していた。

今日はそんな、お汁粉の夢を見た。
忘れてはいけない気がしたので、久しぶりにメモをしました。

見上げれば大空が。見下げれば大地が。 俯瞰の位置では、多くを見ることができる。