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かなしい映画を見た話

サムネイル、かわいいね。

最近Amazonプライム・ビデオが私の好みを学習し、いい感じの映画ばかりオススメしてくれるようになった。
「お前どうせこれ好きだろ」と言わんばかり。

それで初めて知ったのが、今回紹介する「A GHOST STORY」という映画です。
すごくいい映画だったんだけどかなり人を選ぶ気がする、それはホラー的だからというよりは、その構成?撮り方?がかなり特殊なため。

以下あらすじ。

アメリカ・テキサスの郊外、小さな一軒家に住む若い夫婦のCとMは幸せな日々を送っていたが、ある日夫Cが交通事故で突然の死を迎える。妻Mは病院でCの死体を確認し、遺体にシーツを被せ病院を去るが、死んだはずのCは突如シーツを被った状態で起き上がり、そのまま妻が待つ自宅まで戻ってきた。Mは彼の存在には気が付かないが、それでも幽霊となったCは、悲しみに苦しむ妻を見守り続ける。しかしある日、Mは前に進むためある決断をし、残されたCは妻の残した最後の想いを求め、彷徨い始める――。

これだけだと「よくある感動系か…」と勘違いされてしまいそうなんだけど、それは違う!
この映画の最大の特徴は、感情移入をさせてくれない点だと思う。

全体で見ると音もセリフもごく少なく、そのおかげで現実に抗う間もなく取り残され、ただ佇むことしかできない主人公の様子がありありと浮かび上がってくる。

「人を選ぶ」と初めに言ったのは、セリフなしandカメラがストップしている時間がとってもとっても長いから!
1時間半の映画だけど、静かなシーンを全部合わせたら30分は優に越えそう。
賛否が分かれる映画と評されているのを見たけど、「否」の意見のほとんどは「退屈」「眠くなった」みたいな意見なんじゃないだろうか。

どうしてそういうカメラの回し方が多いのか、というとそこにもきちんと理由があって、またそれがとっても切ないのだ…(これはネタバレなので省略)。

死ぬ、ということは文字通り世界から退場してしまうことで、死んでしまったら世界を外側からぼんやり眺めていることしかできない(少なくとも、この映画では)。
たとえ音楽や物語などの生きた証を残したとしても、それを引き継ぐ人がいなければすべて無意味なものになってしまう。

いや、本当にそうだろうか?
ある人が死んで、その人を知っていた人がみな死んでしまったとしても、地球が存在する限りその人が過ごした「歴史」は残り続けるんじゃないだろうか?

という、ものすごく普遍的なテーマまで登場させるのがこの映画のすごい所で。
主人公とその妻、(ほぼ)2人きりのごくごくミクロな生活を丁寧に描いた映画かと思いきや、その後の驚くような展開によりマクロな世界への見方が示されてしまう。すげーよ。

眠くなる人がいるのも事実。でも、この映画を良いと感じる人がたくさんいるのも事実。
静かで、悲しいのに悲しいと感じることさえ許されない独特の雰囲気、ぜひ体感してほしい。
そして観終わったあと、じっくり考え込んでほしい。

傍観者であることを最初から最後まで徹底して求められる映画って、実はそんなに多くないのでは。これはまさにそういう映画です。
いや、傍観者っていう言い方はあんまり良くなくて「見届け人」みたいなのが近いかも。

こういう言い方はアレだけど、感動ポルノに疲れた人にはすごくいいと思う。
悲しくて泣けることはあるけど、泣けるだけが悲しいことじゃない。

とってもおすすめです。AmazonプライムでもNetflixでも見られるみたい。(ネトフリはなんかリンク貼れんかった…)
静かな暗い部屋、イヤホンつけて、ぜひ見てみてください!

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