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ブッダのおしえとは⑤中道

ブッダがさとりをひらくきっかけ、あるいはさとりの直前に確認した基本的姿勢とも言うべき方針が伝えられている。それは『中道』と呼ばれている。ブッダさとりの直前の時期に苦行と呼ばれる修行をしていた。が、ブッダはそのような修行が意味をなさないことを自ら体験したあとに結論づけ、3つの観点からの『中道』を基本的姿勢とした。

まず第一に『苦楽中道』と言われる中道である。快楽主義と苦行主義両方を否定する。ブッダの幼少期は小国といえども一国の王子で安楽な生活をしていたのは想像に難くない。また6年もの苦行生活をしていた。しかし彼の結論「健康な体で健全な精神で思考したことしか正しい真理を説明できない」ということであった。快楽主義、苦行主義いずれも劣っていて無益であり、さとりには結びつかないと強調している。

次に「有無の中道」と後世呼ばれるブッダの基本的姿勢である。全ての存在が実在すると考えるのもひとつの極端であり、全ては存在せずに無であるとみなすのももう一方の極端である。この両極端を離れてブッダは縁起というあり方で世界が成り立っていると説いた。つまり関係性の中で全ての存在は成り立っているのであって有無の両方を止揚する形で縁起説がとかれたのである。

さらに『有無の中道』が主に空間的な捉え方をするのに対して時間的な観点からみるのが『断常中道』である。昨日の自分と今日の自分は全く同じではないし全く異なった存在でもない。つまりここでも縁起説を根拠として常見や断見が不合理であることがわかる。

縁起説とは
他との関係が縁となって生起するということ。全ての現象は、原因や条件が相互に関係しあって成立しているものであって独立自存のものではなく、条件や原因がなくなれば結果も自ずからなくなるということを指す。

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