漆黒ノ戰花-再演- 感想

2023/6/15 ふせったーに書いたものの再掲


#舞台漆黒ノ戰花 感想 今回はリピチケおかわりで3回見ました。心の深くてやわらかいところに浅見良彦がまっすぐ刺さってしまい抜けなくなっている。坂下陽春ってすごい。めっちゃ長いしネタバレいっぱいある

 GEKIIKE本公演第12回「漆黒ノ戰花−再演−」 東京公演お疲れ様でした!6/3昼と6/4昼夜の3公演を現地にて観劇しました。6/4はどちらもリピートチケットを現地購入。見れば見るほど登場人物たちに感情移入できて、ものすごく引き込まれるし考えさせられる話だったけど押しつけがましさはなくてすごい作品だった。
 今回は3公演見たというのもあり、割と色々なキャラクターについて思うところがあったのであれこれちまちま書いていきます。それはそれとして坂下さん演じる浅見良彦がマジで良すぎたので良彦へのクソデカ感情もめちゃめちゃある。こいついつも坂下陽春にめちゃめちゃにされとるな。完全に坂下推しの者になりました。もうなってただろ。そうだね。
 というわけで以下、内容が偏りまくったネタバレ全開の感想となります。登場人物とかは、フィーリングで読んでください。あとは公式サイト見てくれ。対戦よろしくお願いします。

・「漆黒ノ戰花」という作品について
 GEKIIKE作品は初めてだったんだけど、前回観劇した「NoLimit」と脚本・演出が同じ方でした。アフターイベントとかの公演関連の構成が似ていたりグッズの通販サイトが同じだったりするのでAsterismと大元が一緒なのかな?タイトルにあるとおりこちらも再演。初演は2018年で、キャストは割と入れ替わってるぽいです。
 内容はね〜〜〜〜割と難しいんだよなこれ、結構あちこちで話が動くので一言でまとめられないというか……設定としては第三次世界大戦が起こり、敗戦して諸外国から孤立した日本が舞台。都道府県は廃止されて、地域は方角と番号で管理されている。作中は敗戦からある程度は時間が経ってるのかな?そこそこ落ち着いてはきたけど、敗戦を軍の責任として暴動を起こす国民もいて未だにあちこちで争い(軍と国民)が起きたりと平和とは言い難い、そんな状況。
 メインの舞台は大きく分けてふたつ。子供たちが自由に遊んでいられるような比較的治安の良い西北西93区と、バイオロイドと呼ばれる人型の大量破壊兵器を所持し国家反逆者殲滅戦を実行している軍。ここマジで西北西93区のパートと軍のパートで空気感違いすぎるんだよ。ほっこりとシリアスの差が……やばくて……緩急で済ませるには感情が振り回されすぎる。話が進むにつれて西北西93区側と軍側の話が少しずつ交じりあってくるんだけど、もうほんとに緊張感が、やばい!6/4夜とか3回目で展開わかりきってるのに全然感情めちゃめちゃになったからね。すごいよ。110分の公演で色々なことが起こりすぎているのでマジで上手くまとめられないんだけど、まあ感想だからいいよねということで……

・軍について
 基本的にシリアスパート担当。国の内情を憂いつつも軍のやり方に若干疑問を持っている灰崎大佐と、かつての日本を取り戻すために邪魔者は排除すべきというガチガチ軍人思考の城戸大佐のふたつの陣営に分かれている。とはいえここもバチバチに対立しているわけではなく、我々(軍)は国のために動いているという意識はみんなが持ってる。ただちょっと、城戸さんのやり方はどうなん?みたいなのが灰崎側の気持ちかな〜という感じ。軍も一枚岩じゃないこと、それぞれの正義があること、でも見ている方向は同じであること……がぎゅっと詰まっている。この作品、明確な悪人は誰もいないんだよな。だからこそなんか、みんなそれぞれ自分の思う正しさを貫いただけなのに何故…という気持ちになってしまう。同情できるか否かとかはまあ、人によるんだけど、その気持ちもわからなくもない…という思うような心情で動いている人が多かったイメージ。

・灰崎陣営について
 灰崎さんと生駒さんは大佐中佐の関係だけど同期なのかな?めちゃめちゃくだけた喋り方するよな〜ってずっと思っていた。上下関係はあれど割とみんな仲良しな感じの部隊。結束力はめちゃめちゃありそうだしたぶんそこが強みの部隊なんじゃないかな。みんなすっげ〜強いし頑丈。チェーンソーで肩というかほぼ首をいかれて重症からの首に包帯だけで済んだ灰崎さんも、セットからガチの転落(ここマジで事故では!?てくらいデカい音して本当にビビった。毎公演落ちてる役者さんすげえ)してボッッッッコボコにされて意識不明になったのに最終的に眼帯のみで済んだ須磨さんも、やっぱりチェーンソーで肩いかれたのに腕吊るくらいで済んだ生駒さんも、みんな回復早いし頑丈すぎ。軍人ってすごい。灰崎と生駒の関係、灰崎と須磨の関係、そして部隊全体としての関係、ぜ〜んぶにお互いへの信頼があってすごい好きだ。「みんな、お前が上司で良かったと思ってるよ」本当にそう。最終決戦の「止めるぞ!」『は!』「死ぬなよ!」『イエッサー!』マ〜〜〜〜〜〜ジでアツい。

・城戸陣営について
 こちらは上下関係がガチガチ気味の、軍といえばこういうイメージだよねという雰囲気の部隊。メインよりの灰崎陣営との対比で割と冷徹に描写されがちだったけど彼らには彼らなりの正義があって、それが間違っているわけではなくて……というのがとても複雑な気持ちになる。「軍は国のために戦ったのだから感謝こそされ憎まれる筋合いはない」は、まあ命かけた側としてはそうだよね…という気持ちになるし、でも反逆者増えてきたからって見せしめに声のでかい地区潰すぞ!は違うだろって思うし。ちょっとやり方が過激すぎないか?と思うけど彼の立場とかを考えると否定するには真っ直ぐな想いを持っているので、難しいね……となってしまう。直属の部下である神永さん、ただのイエスマンじゃなくて単純に城戸さん大好きなのはちょっと可愛いなと思ってしまった。でも待ち受けにするのは……どうかと思うよ。城戸さんも神永さんも、バイオロイドのことについて頑なに灰崎陣営に喋りたがらない理由が「死にたくなければ忘れろ」「知れば巻き込まれる」でなんやかんや仲間思いなんだろうな…となった。軍の中では対立構造で描かれがちだけど敵ではないもんな。大義のためなら多少の犠牲は仕方ないと言いつつ、灰崎陣営の安否はしっかり気にしていて人間味もあるのがよかった。あとバイオロイド回収時の城戸さんは突然面白おじさんになるから神永さんたちだけでなく客席も困惑しててウケた。

・バイオロイドについて
 第三次世界大戦に敗戦後、「もし特攻兵が不死身であったなら」という考えのもとに密かに軍内部で製造された人型の大量破壊兵器。神永さん曰く、「AIを搭載した核兵器のようなもの」。VANITY(通称VAN)、SILLY、ZANYの3体(これ言葉の意味を調べてドン引きしました)で、肉体は銃弾を弾き大砲でも少し動きを止められるくらい、戦闘能力も折り紙付き、そして精神は小学校低学年程度。もうこの情報だけで相当やばいんだよな。作中でも何度も描写されるんだけど、本当に小学生の癇癪のノリで殺意MAXの暴力が飛んでくる。今パパと楽しくお喋りしてたのに知らん人が大声で割り込んできた!ムカつく!(命に関わる殴打)こ、こわ〜〜〜〜〜!!!!軍の中で育っているので世間一般の常識も知らぬまま外に飛び出し、質問に答えてくれないからと通行人を締め上げ、ご飯食べてただけなのに大声で喚かれた(無自覚食い逃げを店主に咎められ金を請求されただけ)ので殺し、なんかうるさいやつが来た(店主殺しを騒がれた)ので殺し、いや怖い怖い怖い!出会ったら最期じゃんこんなの。うるさいやつが黙った!解決!で人ぶっ殺した直後に小学生のテンションで次あっち行こ〜!とかしてるのも本当に怖い。自分の力の恐ろしさをわかってないまま使えるからと振りかざしてる幼い子供、恐ろしすぎる。見た目は成人というか十分な大人なんだけど精神面が相当幼いので扱いがわかってればどうにか言いくるめられるっぽいけど、「無理やり押さえつける」ができないから自分の意思で動くよう誘導しないといけないのほぼ制御不能と同じでしょ。「今帰ってくれば軍専用の飛行機に乗れちゃうぞ〜!」で「え〜ほんと!?帰る帰る!飛行機どこ〜!?」ってあっさり戻ってきたの、説得中の城戸さんはかなり面白かったし飛行機乗れる!て目キラキラさせてはしゃぐVANも正直可愛かったけどあの無邪気さとノータイムで人殺せる暴力性が同居してるの……とんでもないことだろ…………

・西北西93区について
 こっちは基本的に平和パート担当。炭鉱で働く子供たち、見守る大人、そこに引っ越してくる退役軍人の御影さん。ここの子供たちがさ〜〜〜マジで可愛いんだ。平和だけど制約が多くて変わり映えのしない日常にちょっと飽きてる直斗と千早、軍や都会への憧れがあって御影さんに興味津々な千早の弟の良彦。直斗と千早、めっちゃ悪ガキ!て感じで調理用ボウルのヘルメットとおもちゃの銃で撃ち合いなどして遊んでよく怒られてるんだけど、このふたりの掛け合いはほっこりするので賑やかし&癒し担当って感じ。彼らが登場したらギャグパートみたいなところあるし、客席の空気もかなり和むので微笑ましくてめちゃめちゃ可愛かった。
 そして良彦ね、もうほんといい子で可愛い。頭が良くて比較的ものを冷静に見ることができていて、平和すぎてつまんな〜い!刺激ほし〜い!みたいなお兄ちゃんズを平和ボケって諌めたりするけど御影さんの話を聞くときにお兄ちゃんの肩に手乗せてぴったりくっついてたり、お兄ちゃんズに振り回されつつもふたりのこと大好きなんだろうな〜が伝わってきてめちゃめちゃニコニコしてしまった。あとお兄ちゃんたちがわちゃわちゃかき回して去ってくときに大人たちにちゃんと一礼してから追いかけていくのとか、礼儀正しくていい子だ……となる。良彦のちょっと唇を巻き込む感じのきゅって笑い方めちゃめちゃ可愛くて好きなんですけど、あんなん29歳が出せる可愛さじゃないでしょ。役者って本当にすごい。
 子供たち、何歳くらいなんだろうな。「僕たち子供じゃないんで」って言う場面があるんだけどそれ言ってる時点で子供なんだよなあ!!!てフフッとなってしまった。親の仕事がっつり手伝ってるし働いてるし比較的好きに動き回れてるからお兄ちゃんズが中学生くらいかな?良彦もそんなに離れてなさそうだしそれくらいかも。ほんとに子供たち、めっちゃ可愛かった……お小遣いあげたい……
 そしてそんな子供たちを見守る黒沢さん。炭鉱の現場監督みたいな感じなのかな?隙あらば地区外へ行きたがり危険な場所に興味を示しやんちゃも無茶もしまくる千早と直斗に手を焼きつつも可愛がっているのが見てとれて良い。ちゃんとした大人だあ……となる。善良な保護者、こういう作品でちゃんと存在していると安心するよね。どうやら御影さんとは知り合いっぽい。最初に「お引越しですか?」と声をかけていたのに子供たちが現れて良彦にそちらの方は?と聞かれたら「今日から引っ越してきた御影さんだ!」て紹介してて、あれ御影さん名乗ってなくね?は初見から思っていた。

・御影さんについて
 西北西93区に引っ越してきた退役軍人。どうやらここの炭鉱で採れる金属の加工方法について色々と教えるために来てくれたらしい……というのは黒沢さんの談。実際に彼のアドバイスを元に作った金属は失敗が少なくて、今までで最高強度のものができてるので詳しい人ではあるんだと思う。そんな彼の正体はなんなのか?というと、ただの退役軍人ではなく元大佐。灰崎大佐、城戸大佐とともに大きな作戦に関わったりもしていた人物であり、現在灰崎陣営にいる須磨少佐と、現在西北西93区に住んでいる黒沢さんの上司だった人。そして、現在軍が持て余している人型大量破壊兵器バイオロイドの開発者。
 軍人、というか大佐としての彼がどんな人だったかは明確には描かれていないんだけど、多くの人から信頼されてる優秀な人だったんじゃないかな、と思っている。特に須磨さんと黒沢さんの忠義がさ〜めっちゃいいんだよなここの関係性。そしてそこの信頼関係に気づいた上で、話したくなければ無理に話さなくていいよって須磨さんに言える灰崎さん、でっけえ男だ。いつか話してくれるだろうという須磨さんへの信頼だけでなく、こちらに不利なことはしていないだろうという御影さんへの信頼も感じる。城戸さんはめっちゃキレてるけど、御影さんに……

・御影さんとバイオロイド
 ここの回想シーン、かなりほっこりする反面どうしてこうなっちゃったんだ……という気持ちになる。バイオロイドたちと御影さんの関係は兵器と開発者というよりは親子という感じ。バイオロイドたちはみんな御影さんが大好きで、ここ壊れた!直して!とか飛行機みたいに空飛べるようにしてよ〜!とか、彼らの精神の幼さも相まってすごい懐いてるというか甘えてる感じが伝わってきた。「ねえ御影、なんで僕たちは生まれたの?」「必要だったからだよ」←ここのやりとりさあ…………
 御影さんとバイオロイドたちの関係はかなり良好で、会話もしっかりできてて、ここまではよかったんだけど問題は他の人間たちとの関係性。バイオロイドについての話でも書いたとおり、御影さんとお喋りしてるときに呼び出しに来た部下(たぶん)にキレて殴りかかってしまったVAN。俺が御影と喋ってたのに邪魔された!っていう子供っぽい理由で洒落にならない暴力が飛んでくるんだから相手としてはたまったものではない。咄嗟に叱りつけて押さえ込む御影さんに対して、俺たちのこと嫌いになった?てしょんぼりするVANと(おそらく)予想外の返しに唖然とする御影さん。そんなことないよ、ほらおいでってハグしたら一瞬で立ち直って帰って行ったバイオロイドたちだけど、その姿を見送る御影さんは大変なものを作ってしまったと呆然としていて……
 たぶんこの場面が軍にとって、そしてバイオロイドたちにとって大事な局面だったんじゃないかなあと思う。この時点ではVANは御影さんに謝っていたし、現場を見ていた他2体もしゅんとしていた。つまり「やっちゃダメなことをしてしまったらしい」という意識が彼らにあった。ここで御影さんが「無用な暴力を振るわないこと」を教えられていたら……と思わずにはいられないんだよな正直。彼らは御影さんを信用していて、御影さんを親だと思っていて、きっと御影さんの言うことなら素直に聞いたはず。だからここで善悪というか、せめて無関係の人間を襲わないような教育をしていたなら……とどうしても思ってしまう。だってバイオロイドたち、「黒沢は壊しちゃいけない」は理解してたんだよ。その「壊しちゃいけない」の対象を広げてあげていれば、その後理不尽に一般人を殺傷するようなことにはならなかったんじゃないかな…………
 自分がとんでもないものを作ってしまったと自覚した御影さん、バイオロイドは壊さないと!と思うけどそんなこと上層部が許すはずもなく……。ここで御影さんが取った選択は、意図的な負傷(自分の足を撃つ)による退役志願。いや責任持ってバイオロイド面倒見なさいよ!?!?!?これは確かに城戸さんも「あいつは逃げた!」ってキレるよ。残された彼らの面倒は城戸さんが見てるし。あと設計図とかを残してないのはスパイによる持ち出し警戒とかそういうので説明つくけどさあ……引き継ぎくらい……していこうよ…………
 とはいえバイオロイドに対する責任を全放棄してただ逃げたわけではなさそうな御影さん。どうやらバイオロイドを壊すために彼らを凌駕する(=彼らに傷をつけられる)強度の金属を探していたらしく、そこで目をつけたのが西北西93区で取れる金属。ちなみに同タイミングで退役したっぽい黒沢さんがここにいたのも同様の理由のようで、たぶん黒沢さんが先に見つけて御影さんを呼んだんじゃないかな。初対面感を出してるのに知り合いっぽかったのもこのため。2回目以降の観劇で気づいたけど、黒沢さんが御影さんに話しかけるときって基本的に周りの様子を伺ってからなんだよね。たぶん人目を気にして他人のふりしてたんだろうな、と思う。どこで誰が見てるかわかんないもんな。

・直斗と千早
 典型的なやんちゃ坊主ふたり。多少の危険があっても外の世界見た〜い!ここでの生活退屈すぎ〜!え!あの辺で事件あったの!?見にいってみようぜ〜!な、好奇心旺盛で恐れ知らずな子供たち。御影さんの家に半ば強引にお邪魔して部屋の中を物色したりと結構な悪ガキムーブを見せるわけだけどな〜んか愛嬌があるというか、憎めないんだよな。一歩間違えば結構ヘイト買いそうなことを色々やらかしてるんだけど、最後まで悪印象なくなんなら好感が持てるのは演者さんたちの技量なんだろうな〜と思う。なんやかんや可愛いし緊張感ある場面でもちょっと笑ってしまったり、いついかなるときでもこのふたりはず〜っと同じノリなので(終盤のとある場面を除く)安心感と安定感がある。彼らがいなかったらただただシリアスで殺伐とした作品になってただろうからリピートしんどかったかもな、と思うくらいには彼らの騒がしさに救われていた部分があります。個人的には。
 さて、そんな彼らですが近くの西北西90区にて暴力沙汰があったと聞きつけ行ってみることに……ってやめろやめろやめろ!!!!そこバイオロイドが暴れた場所だから!!!!というのは見ている側の感想なので彼らに伝わるはずもなく。やめときなよ……と止める良彦にもう心配性なんだから〜!大丈夫大丈夫!と言ってふたりで出かけてしまいます。「今までもそういうのあったけど大したことなかったじゃん!」←これなんだよな……軍が結構雑に情報操作してて、国民を外に出したくないからってすぐに事件とか事故でっち上げるから情報の信頼性がだいぶ落ちている。メディアそのものがオオカミ少年と化しているので、まあ大丈夫っしょ!となる彼らを責めることは、できない……
 そして案の定バイオロイドを探しに来た軍に見つかる直斗と千早。ここ緊張感やべ〜〜〜〜んだけどアワアワしてるふたりのテンションがギャグなのでなんかこう、感情の置き場がわからずオロオロドキドキしてしまう。ノータイムで発砲する軍怖すぎるし当たった位置的に頭狙ってるんだけど(まあバイオロイド警戒してるからは仕方ないけど)頭に被ったボウルが銃弾を弾き、ふたりとも無事。パニックになるふたりに対して軍の人たちもエッ子供じゃん!てなるんだけど「銃弾を弾いた」という事実により「ただの子供ではない」という認識を持たれてしまい、警戒続行。大人しく出てきなさいと言われ、素直に降参しないのがこのふたり。「ここで黙って殺されていいのかよ!」まあそれはそう。「さっき銃弾弾いたし、思い切って走り抜けるぞ」ば、蛮勇〜〜〜〜〜!?!?そんなことある!?!?でもこれで実際逃げ切れたんだから悪運が強すぎるよ。良くも悪くも思い切りがよく行動力があるが故の結果というか……まあそのせいで軍に追われる立場になってしまうんですけども…….

・御影さんと良彦
 西北西90区、行ってみようぜ!と言ってマジで行ってしまった直斗と千早……を探しに行く良彦と同行の御影さん。お兄ちゃんズ、元々は御影さんの家に行こうとしてたから良彦はまず御影さん宅を訪ねたんだけど、ここノックして御影さんが出るまでの待ちの数秒で手合わせてるんだよね。頼むからここにいてくれ…!ていうのがすごい伝わってきて、でもいないんだよな…て思ってしまった。探しに行かなきゃ!となる良彦についてきてくれる御影さん。護身用にと銃を持つ御影さんに何も言わなかったのは良彦らしいなと思った(兄ズなら絶対に突っ込んでる)。あと御影さん宅を出ていくシーン、しっかり扉を閉めてから御影さんを追いかけていって礼儀正し〜〜〜〜!!!てなってた。こういうちょっとしたところまで気が回るの、すごいよ。
 お兄ちゃんたちが危ない地区行っちゃって不安だし一刻も早く見つけ出したいだろうに、足の悪い御影さんを気遣って休憩しましょうって言えるのも良彦いい子ポイント。そして休憩しながら御影さんに引っ越してくる前のことを聞く良彦、彼は18歳になったら軍人になりたいらしい。理由は、かつての日本を取り戻したいから。といっても彼自身は「かつての日本」がどんなものかよくわかってないけど、方角と番号で区切られた地区ではなく都道府県があって、居住区の外に出るのに危険がなくて、気軽にどこにでも行ける、そんな世の中がいいなって思っている。「東京にも気軽に行けたって聞いて、いいなあって!」←ここマジで幼さMAXで本当に可愛いんだ。良彦、無邪気というには現実を見れてる子だなあという印象なんだけど未来に希望を持っていてそのために何かしようという意思が感じられて、本当に賢くていい子なんだなって思う。
 と、ここで「銀色のヘルメットを被った子供たち」を探す軍人たち登場。心当たりは…………ある!が、御影さんが誤魔化したことで瞬時に口を噤んだ良彦、マジで頭が良くて聞き分けがいいな。察しの良さがすごいし、その後ずっと大人しくしててえらい。御影さんが色々探りを入れるもののもちろん軍人たちは教えてくれなくて、わかったのは直斗と千早が軍に追われているということだけ。一体何をしたんだ(銃弾を弾きました)。早く見つけ出さないとまずいと捜索を再開しようとした御影さんに対し、思い切ったように声をかける良彦。「日本は何故、平和でいられなくなったんですか?」ここのさ〜〜〜〜ここからのふたりのやり取り、正直世代的にめっちゃ刺さるというか、この作品で伝えたいことって"これ"だな……と思った。
 政治に無関心な若者、誰かが意図的に作り出した大きな流れに気づかないまま流されて、そしてろくに反対もないまま日本は戦争を始めてしまった。「何かしたのではない、何もしなかった」ウッ………………すみません………………となる。戦前……というか戦争が起きるきっかけになってしまった世代の若者、それが御影さんたち。これ、同年代と思われる灰崎大佐や城戸大佐も「俺たちは過去の精算を済ませたと思わないか」という話を別場面でしており、直接的な原因ではないものの責任としては大きな世代として描かれてるな〜と思った。無関心の代償は大きいって話なんだろうな。若い頃のツケを払わされているような状況なのかもしれない。
 そんな話をしつつ、夜まで探したもののお兄ちゃんたちは見つからず。とりあえず良彦はお家に帰して、また明日探そうということで解散になりました。

・直斗と千早(in軍)
 捕まってんじゃねえか!!!!!同じところぐるぐる回ってたら捕まってしまい、軍の牢に入れられてしまったお兄ちゃんたち。生きててよかったけど全然ピンチ。でもふたり一緒に収監されててよかったね。ここでも割といつも通りのテンションでわちゃわちゃしており、アホって逆境に強いのかもしれない。「あの、僕たちいつ帰れるんですか?」メンタルが鋼すぎるだろ。
 そんな彼らの様子を見にきたのは灰崎大佐。子供たちが被っていたヘルメット……ではなく調理用のボウルが銃弾を弾いたことがとても気になっている。このボウルは家のキッチンから持ってきたものだけど、そこらのボウルとは違う特別製。具体的にいうと、西北西93区で採れた金属を御影さん直伝の製法で加工したもの。だからめちゃめちゃ頑丈なんだけど、ここで御影さんの名前が出てきたことで灰崎さんは兄ズを送り届けついでに御影さんに会いにいくことを思いつきます。もちろん、軍内部……というか城戸さんたちには内緒。というわけで、坊やたち帰るぞ!やった〜!
 一時はどうなるかと思ったけど、軍人に発砲されても取っ捕まってもなんやかんや生存し無事に帰ることができそうなお兄ちゃんたち。よかったね。死亡フラグすごかったけど見事に全部へし折ってくれました。や〜ほんと、こういう作品って一般人サイドで死人出がち(偏見)だからさ、どっちも無事でよかったよほんとに。どれだけ不穏になってもいつも通りのマイペースでちょっとシリアスも緩和されてたし、ギャグ担当は死なないみたいなお約束もまた存在するもんね。灰崎さん同行ということで帰路の安全も保証されてるし、もう心配はなさそう。なんだけどさ、この手の作品で全員生存エンド、信じていいのかな…………

・浅見良彦という男
 「大丈夫、ひとりでも探せる、兄ちゃん、直斗くん、絶対見つけるからね」あ〜〜〜〜〜〜!!!!!やめろやめろやめろ!!!!!!!!!!いやそんなことだろうと思ったけど!!!思ってたけども!!!!!!!!!!どうしてこの期に及んで単騎出陣しちゃうんだお前!!!おい!!!良彦!!!!!!!!!!護身用とはいえナイフ1本でどうにかなるわけないだろうが!!!!!!!!!!
 確かにお兄ちゃんたち見つからなかったから明日また探そうねで御影さん宅を後にしたときの良彦の表情、なんか決意してない?と思ってはいたんだけど……もうね、ここのシーンで良彦出てきたとき頭抱えちゃった。お兄ちゃんたちが心配で、一刻も早く見つけ出したくて、でも夜遅いから御影さんには迷惑かけたくなくて、親にも心配かけたくなくてひとりで行ったんだろうなっていうのはわかる。良彦はそういう子なんだよっていうのがここまででいっぱい描写されてたから。彼の行動は無茶で無謀で蛮勇だけど愚かだと責められるものではなくて、でも正しくもなくて……だけど彼なりに考えた上での単独行動ではあったんだと思う。うう、でもだめだよ…………おうち帰りなよ、もうすぐお兄ちゃんたち帰ってくるから……というのは俯瞰でお兄ちゃんたちの状況を見れているわたし達だから言えることであって……せめて灰崎さんが子供たちの家に連絡入れててくれたらなあ…………千早曰く「心配性」な良彦、ひとりで他の地区(しかも直近で暴力沙汰があったところ)に行くなんて絶対怖いだろうにお兄ちゃんたちを見つけたい一心で家を飛び出したんだなと思うと本当にいい子だし、基本的に聞き分けが良くておとなしい子だから親もあんまり気にせず送り出してしまったんだと思う。この状況、ひとりで出ていこうとしたのが千早だったら親は絶対止めてたと思うので……普段からいい子だったからこそ、誰も良彦がこんなことするなんて思ってなかったんだろうな。
 そして案の定バイオロイドと出会ってしまった良彦。単独で御影さんを探しているVANは不在、SILLYとZANYのペアとこんにちは。ここの場面、正直どっちの視点にも立てるから観客視点だとマジで不幸なすれ違いというか、あらゆる要素が最悪の形で噛み合ってしまったって感じで本当につらい。ひとりでこそこそうろついてた良彦が気になるバイオロイドたち、迷子でもなくかくれんぼでもなく、どうやら人を探してるようなのでどんな人を探してるの?と質問すると「男の子ふたりで、(ヘルメット)被ってて」との返事が返ってくる。ここ、良彦も気が動転しているのか「何を」被ってるのか明確に伝えてなくて、いやでもヘルメットって言ってても同じだったかもしれないな……。なんとなく心当たりがありそうなSILLYが思い出したのは「さっきの店でうるさかったから殺したやつじゃない?」←あっ………………………(ここ、2回目以降に確認したら序盤の食い逃げ殺人シーンで実際にSILLYが殺した人間がパーカーのフードを被ってました。伏線が天才すぎる)
 ここのさあ良彦の表情の変化、マジでマジでマジで見ててしんどくなってしまった。「あっ!あれじゃない?さっきの…」と言われたときのハッとした顔、そこからの「あのうるさいから殺したやつ」で表情が凍りつくのさあ〜〜〜〜〜〜やめてくれ…………つらすぎるから……………坂下陽春ってすごい役者ですね…………(現実逃避)
 強張った表情のまま固まってしまった良彦に「だから探しても無駄だと思うよ」と声をかけるSILLYと顔を覗き込んで「じゃあね」って去ってくZANY。に対してなんで……!と声を荒げ、そのままSILLYの脇腹にナイフを突き立てる良彦。「兄ちゃんを返せ!!!」ここの叫びがさ〜〜〜〜〜悲痛すぎて本当につらい。このパートつらいとしんどいしか言ってないな。ずっと心臓がギュッてなってて苦しかった。バイオロイド側からすれば突然攻撃された……というか彼らの思考だと「人探してるっていうから教えてあげたのに襲いかかってきた」になるのでまあ反撃するよねという感じではある、あるんだけどもマジで「豹変」って感じでスイッチはいるのでやっぱりめちゃめちゃ怖い。チェーンソーで斬りかかるSILLY、頑張って応戦する良彦。ここ、いつもの彼ならちゃんと身を守る行動をしたと思うんだけど本人の言うとおり「兄ちゃんを返せ」の気持ちが強すぎてなんとか一矢報いたいってなってたんだろうな……ZANYは静観というか、もうSILLY何してんの行くよ〜って感じだったんだけど良彦のナイフが指先を掠めてしまい、こちらも参戦。いや戦力差がオーバーキルすぎるよ!やめてあげて!なんとか食らいついていくもぼろぼろの良彦のお腹にSILLYがチェーンソー押しつけて、もうここマジでえぐい音するのよ。良彦の苦悶の声も聞いててつらくて……とどめを刺す前に黒沢さんが駆けつけ、「黒沢は壊しちゃいけない」を覚えていたバイオロイド達によって見逃されるわけだけど良彦はもう虫の息。にいちゃんとなおとくんが……と絞り出すように訴え、ふたりとも無事に帰ってきたと言われてよかった……て言う良彦、もう本当に安心した声でさあ……お前……自分が死にかけてるときにお兄ちゃん達の無事を聞いてそんなに穏やかに……嬉しそうに……いい子すぎる…………………

・最終決戦に向けて
 さて、良彦が兄ズ探しに奔走していた一方その頃。灰崎さんに連れられて帰ってきた直斗と千早は、バイオロイド破壊に向けて準備をする御影さんたちに協力すべく色々準備をしていた。街中から金属をかき集めてきた直斗、良彦を探しに出払ってしまった親の代わりに例の金属で銃弾を作る千早。ここの千早、かっこいいんだよな。お父さんに頼みたいことがあるのにという御影さんに対して父じゃないとダメなのか、父は何をすべきかを聞いて「じゃあそれ、俺がやります。跡取りですよ、いつも手伝ってるからできます」って言い切れるの、すごいよ。「やります!」じゃなくて「やります」って、確かな自信を感じる言い切りがいいなと思った。君にこんなものを作らせて申し訳ないが…て見せられた銃弾に一瞬たじろぐけど、「何か事情があるんですよね」って持ち直したところも強さを感じたし、なんかこう、バカだけど愚かじゃないんだよな……というのを改めて感じて、お兄ちゃんズがめちゃくちゃやっても憎めないのってこういうとこなんだなと思った。
 それで千早が銃弾作ってるときに、良彦探しに行ってた黒沢さんから御影さんに電話があるんだけどさ〜〜〜〜「黒沢さんから!?」て聞かれて「良彦くんを見つけたそうだ」って言って、よかった〜って言ってるし直斗の横で何とも言えない顔をしている御影さん……捜索者の行方について、「保護した」ではなく「発見した」と言う場合はもう…ってやつだよね。ここで我々も良彦の安否を察してしまうのがマジでつらかった。
 そこに駆け込んでくる千早。銃弾完成!たぶん父ちゃんより上手くできましたよ!ていう千早、仕事のできる男だ。御影さんは大佐時代に身につけていたマントを再び羽織り、ふたりを連れていざバイオロイドたちの元へ。物語もいよいよ終盤です。

・バイオロイドたちの最期
 軍にとって、そして人間にとっての脅威として描かれているけど、軍に振り回された被害者でもあるので完全な悪ではない。でもそれにしては人を殺しすぎた……という感じのバイオロイドたち。彼らを止めるにはもう壊すしかないという段階まで来てしまったので、最終的な構図としては軍vsバイオロイドという形になります。まずは良彦と色々あったSILLYとZANYのペア、こちらは灰崎陣営の方々とやり合うことに。相変わらず銃弾は効かないけど何故かSILLYには一部ダメージが入るようになっており、あれ?となる双方。「あのガキにやられたところだ!むかつく〜!!!」←良彦!!!時間差だけど一矢報いてるぞ!!!!!!良彦がナイフで刺した部分が損傷しており、そこを集中的に狙われたことでSILLYダウン。ある傷がなければもっと苦戦してたと思うので、間接的にとはいえお兄ちゃんの仇、取れたよ良彦……と思った。お兄ちゃん、死んでないけど……
 ZANYは灰崎さんと一騎討ちしてたけど、ようやく準備が整い駆けつけた御影さんに撃たれ損傷。ここで御影さんに気づいてからのやり取りがさ〜〜〜〜「御影、穴空いた。直して」「直せない」「御影、直すの仕事でしょ。御影?」「もう、直せないんだ……」この、このさあ……ZANYからしたら御影さんとの関係はあの時のままで、でも御影さんはあの時のままではいられなくて、彼らの関係はとっくに変わってしまっていて、それを理解できないままZANYは御影さんにとどめを刺されて…………なんかめちゃめちゃやりきれない気持ちになってしまった。そこにやってくるSILLYを背負ったVAN。そしてようやく、本当に久しぶりに御影さんと出会います。
 さて、ここで同行していた千早がSILLYを見てあることに気づきます。「あのゴーグル、世界にふたつしかないのになんであの人が持ってんの?」そうこれ、千早とお揃いでいつも身につけていて、最後まで大事そうにしていた良彦のもの。おしゃれだからって瀕死の良彦からSILLYがぶんどったやつでした。ここで良彦に何が起きたか察するお兄ちゃんたち。「でも御影さんさっき、黒沢さんが良彦保護したって」言ってない……言ってないんだよ……「良彦無事なんですよね!?」ゆっくりと首を振る御影さんと、怒りを抑えられずVANに向かっていく千早。ここ、お兄ちゃんズが持ってるのはおもちゃの銃のはずだけど若干効いてるっぽいので銃弾は特製のやつ入れてるのかな?銃の性能的に威力は低いけどダメージは入ってる感じだな〜と思って見ていた。城戸部隊の皆さんもやってきてVANに攻撃し始め、子供たちは灰崎さんに押さえつけられて安全なところへ。ここ、千早も直斗もずっと叫んでるんだけど、退場時に千早が「良彦返せ!」って言っててさあ……良彦も同じこと言ってたから…………兄弟…………となって苦しくなっていました……………………。
 子供たちが去り、先ほど千早によって遮られてしまった会話を続けようとするVAN。自分を壊すつもりでいる御影さんに、自分はもう必要ないのかと問います。「必要だから作ったんだよな?必要じゃなくなったってこと?」これな〜〜〜〜〜〜生まれた意味の話をしてるんだよ。バイオロイドたちは必要だったから生まれたと、そう言ったのは御影さんで、その御影さんが彼らを壊そうとしている。それはつまり自分たちはもう御影さんにとって必要じゃないことを意味しているとVANは解釈してる。ここの御影さん、VANの問いかけに対して「えっ……?」て本当に予想外のこと言われたって感じのリアクションしてて、なんかこの……必死さの非対称性みたいなのが苦しくなっちゃった……
 バイオロイドは国のために生み出されたけど彼らは国家への忠誠というものを理解していないから壊すしかないと言うのは城戸さんの主張。まあ制御できない兵器は捨てるべきってのはわかるけどさ〜〜〜彼ら、心があるんよな…………ここで不良品と言い切ってしまった城戸さん、VANの逆鱗に触れてしまいます。これ言ったのが城戸さんってのもVANはショックだったと思う。御影さんとバイオロイドたちの回想シーンで「御影がお母さんならお父さんは誰?黒沢?」「黒沢より城戸がいいな!」て言ってたんだよVAN……パパだったらいいなって思ってた人に存在を否定されるの、つらすぎないか…………御影さんも自分を壊そうとしてるし、なんかここのシーン全体的にVANが捨てられた子供みたいな感じですごい心が痛くなってしまった。最後の最後まで御影!!!て呼んでて、その声が苦しそうで、でも御影さんはVANに何も言うことなく撃って、終わりにしてしまって…………一連の騒動としては解決という扱いで幕を閉じるけど、こんな……こんなのってさあ……………………という気持ちになった。え〜ん……

・すべてが終わって
 場面は変わり、直斗と千早パート。あの戦いから数日後とかかな?そんなに時間は経ってないと思う。何もないところに白い花束と例のゴーグルを置いて手を合わせて、わかってたけど良彦死んじゃったんだ……ていうのを改めて感じて、千早の啜り泣きも相まって見てる側も悲しくなってしまった。立ち去ろうとする彼らと入れ替わりでやってきた御影さんと黒沢さん。バイオロイドに愛情を持ってしまうのが、彼らを兵器として使うのが耐えられなくなってしまうのが怖かったと言う御影さん……なんか、そうなんだろうなとは思ってたけど最後にVANにそれを伝えてあげてもよかったんじゃないかなと思ってしまう。御影さん、全体的に言葉が足りなすぎるという印象があり……いい人だし有能なんだろうけど、なんかこう、バイオロイドたちとの関係…………もうちょいなんとかなりませんでしたかね…………
 ここのシーンの子供たち、「日本はこのままじゃいけないですよね」「俺たちが日本の未来を守ります」って御影さんに宣言するのめちゃめちゃ強いしかっこいいなと思った。バイオロイドを作った御影さん、間に合わなかった黒沢さん、単騎出陣の理由となった直斗と千早、そしておそらく外出を止めなかった両親、良彦の死は西北西93区のみんなの傷になったと思うけど、それでも彼の死がもたらしたのは悲しみだけじゃないんじゃないかなっていうのが感じられて少し希望が持てました。あとこの後城戸さんもくるんだけど、序盤で「大義のためには多少の犠牲は仕方ない、民間人が数百人死ぬとしても必要な犠牲だ」みたいなこと言ってた彼が良彦に供えられた花とかをじっと見てたのが結構いいなと思ったポイント。城戸さんの心境にも何か変化があるといいな。

 ここまで読んでくれた人ありがとう。1万字超えててウケます。長いんだよないつもいつも。この作品ってマジで絶対的な悪がいなくて、みんな何かしらよくない点はあるしでも共感できる点もあってすごい感情が振り回されるお話でした。言いたいことが多すぎてめちゃめちゃ長くなっちゃった。これでも削ったんですよ。二階堂さんの話とか全然できてないし。二階堂さんね、灰崎陣営の人なんですけど強くてかっこよくてでもちょっとおちゃめですごい素敵なんですよ。かなり好きだ。でもストーリーだと軍人の皆さまで括ってしまいがちなので全然名前出せなかった。マジでかっこよかったです……
 そして良彦ね!!!!もう本当に、未だに彼の最期とその後の兄ズを思うと泣きそうになるくらい刺さってます。めちゃめちゃ可愛くて賢くてお兄ちゃん想いないい子だったから作中で唯一明確に命を落としたのが本当に悲しすぎて……でもなんか、本当に何の非もない子供が理不尽に命を奪われるのが戦争なんだなっていうのをめっちゃ噛み締めており、とりあえずニュースとか……ちゃんと見よ……という気持ちになった。良彦は作品としてはネームドキャラだったから死に際をしっかり描写されたけど作中世界の彼自身は特別でもなんでもないその辺に住んでいるただの子供で、本質的には「巻き込まれただけの民間人のひとり」でしかなくて、でもだからこそ、良彦の人となりと最期を見届けた観客であるわたし達が彼の死を意義あるものに昇華していかないといけないよな、と思った。選挙は行ってるけど次回以降もうちょい真剣に調べてみようと思います。

 というわけで漆黒ノ戰花、感想終わり!とてもいい作品でした!ありがとうございました!
東京公演お疲れ様でした!明日からの石垣公演も応援しております!坂下さんにはファンレターを書きます!

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