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技工士を目指す人へ。僕の体験談と業界の実情



こんにちは KYです。


今日は僕が前職の技工士を辞めた理由と、これから技工士を目指す人にとっての業界の実情、気をつけるべき点についてお話しします。僕は歯科技工士として2年半ほど働いた後(休職4ヶ月含む)23歳の時に辞めました。その経験を基にお伝えしたいと思います。これから技工士を目指す人に参考にしてもらえれば幸いです。

まず、技工士とは何か?
国家資格の一つで、歯医者(ドクター)に依頼されて補綴物(クラウンや義歯、インプラント、セラミック、矯正装置など)を作る職業です。意外と知られていませんが、インプラントや矯正装置なども全て歯科技工士が作っています。歯医者さんも補綴物を作る資格を持っていますが、法律では歯科技工士法というものがあり、技工士の資格を取るには専門学校や大学で学び国家資格を取得する必要があります。これにより歯医者にならなくてもその仕事ができるようになります。

歯科技工士は国家資格であり、独立開業して自分で会社(ラボ)を立ち上げることも可能です。また、フリーランスのように特定のラボで働かずとも知人のラボを手伝いに行って日銭をもらうみたいな働き方もできます。一人で抱えられる仕事だけやっていくこともできるし、人を雇って経営者になることも一応できる。

しかし実情を話すと、卒業後4年以内に離職する人が7~80%もいます。単純計算で100人いたらそのうち80人は4年以内に辞めるという状況です。

その理由はシンプルに仕事が非常にきついから。なぜそんなにきついのかというと、たくさん残業をしないと儲からないビジネスモデルだからです。

歯科技工士は歯医者さんから依頼を受けないと補綴物が作れません。(歯科技工士法という法律で決まっており、指示書というものがないと技工士は患者さんの口に入れる補綴物を勝手にはつけれないのです。)

技工士の働き方には何パターンかあり、
•個人事業主として個人で仕事をする
•経営者になる
•技工所(ラボ)に勤める
•歯科医院内で専属の技工士になる。

というパターンに分けられます。一般的なのはラボ勤め。で、このラボや個人で仕事している人なら個人でドクターから依頼が来るというシステムです。

ただ、この補綴物の料金相場が非常に安いのです。保険適用のクラウンで1,500円もしないこともあります。しかし歯医者は診療報酬を含めてだいたい3万円〜ほどもらえます。で、人件費や技工士に払う金額などの経費を抜いた利益が歯医者の利益になります。

歯科技工士にとって歯医者はお客さん。なので一応技工士と歯科医師は対等とか言う道徳的な文言が言われてますが、ぶっちゃけドクターに対して物が言えません。そしてラボや個人事業でやってる技工士は結構いるので、必然的に価格競争が激しくなります。歯科医院も「この値段でできないなら他に頼むけど」という感じですから、そのため単価が安くなり、人が辞めていくという負のサイクルが生じます。昔は技工士もそれなりに稼げてはいて、そのおかげで段々と技工士になる人が増えていき一時期飽和して、その結果価格競争発生→必然的にキツい環境になる→人が辞めてく、という資格職業のキツくなる黄金パターンを辿ってきたと思います。

で、ある程度技工士は減ったのですが、それでも一度落ちた技工料金の相場が上がることはないです。人手不足な上に稼げない。それが技工士不足の原因の一つとなったように思います。

しかし、専門学校などもその実情を話さず、毎年新卒を集めるためにうまい話ばかりします。

YouTubeだとかティックトックだとかでブラック企業がやりそうなダンス動画出したり楽しい雰囲気を演出、入学したらiPad贈与みたいな甘い言葉で生徒を集めてるところもありました。もし技工士が人気職業ならわざわざこんなことはしないはず。だって、そんなことしなくても人が集まるんだから。


でも、ネットが普及し、業界の実情が分かってきた今、定員割れして廃校する学校も増えてきました。医療職だから儲かる、と騙されて入った人たちが実際に働いてみると給料が安く、ブラックな環境に気づいて辞めるということが多いのです。そして、ネットでその惨状をぶち撒け始め、今それが業界の闇を照らし始めた感じですね。

僕自身、歯科技工士として働く中で様々な困難を経験しました。休職する前、月100時間ほどのサビ残で疲れ果て、最終的には心療内科に通うようになりました。美容室に行ったら10円ハゲができていました。それくらいストレスが溜まり、その状況を理由に辞めたいと医師に相談(もはや懇願)しました。それを理解してくれた医師が適応障害の診断書を書いてくれ、それを会社に提出したところでようやく辞めることができました。(ただそれでもクソみたいに引き留め交渉は続きましたが。)

今思うと、技工士の業界の民度の低さにも驚かされました。普段から、上司や同僚がマウントを取り合ったり、自慢話をするんです。
飲み会なんて本当に最悪でしたね。

それに辟易した優秀で賢明な人たちは早く辞めてしまい、残るのは辞める度胸がない人たちや情弱。

僕の会社でも、多くの人が短期間で辞めていき、僕が勤めた2年間で17人中6人が辞め、人が入れ替わりました。

僕は技工士の仕事自体は素晴らしいと思います。人の口腔内の健康に貢献できる重要な役割を担っています。しかし、その仕事を取り巻く環境が非常に厳しく、民度の低い人々が多いことが問題だと感じます。

今、技工士を目指している人たちに言いたいことは、


技工士=好きなことして儲かる


という先入観を捨てて欲しいということ。


技工士は決して安定した職業ではなく、漫画家やアーティストのような世界です。技工士でも年収700万や800万もらえる人もいますが、それは営業力やコネクション、周囲との差別化ができる人たちです。技工の業界は技術だけでは勝てない世界です。

技工士=独立できて儲かる、手に職だから安定してる、人と関わらないで仕事できるから楽、
というイメージを持ってるなら、それは全く違う。漠然と技工士を2〜30年やってるおっさんなんて死ぬほど見てきましたが、同じ会社に勤めていて給料はずっと初任給から上がらず手取りで16万なんてザラです。手に職とは言いながらも体も酷使するし粉塵も舞うので身体を壊して働けなくなって辞める人もいます。そのとき、持ってるキャリアは技工士経験のみ。それが他の業界でどう潰しが効くでしょうか?

技工士になるなら、漠然と働くのではなくビジネスやマーケティングを徹底的に勉強し、差別化•成功するビジネスプランを考える必要があります。技工士で稼げる人は他の職業でも稼げます。逆を言えば、それくらいの才能やスキル、頭の良さがなければ人並みに食べていくのすら大変です。その才能があって技工士になる熱量があるのであれば、なってもいいけど、あなたの経営者になりたいとか稼ぎたいって理想、本当に技工士じゃないとだめですか?

また、技工士業界の良くないと感じるところは人手不足で実情を隠して情弱を集めてコキ使う所にあると思ってます。優秀で賢明な人たちは早く辞めてしまい、残るのは仕方なく続ける人たちです。そのため民度が低い人が多く、お互いストレスフルなのでマウントを取ったり自慢話をする人が多いこと。そういう人たちが多いので、技工士になるなら必然的に人間的にも仕事的にも過酷な環境に身を置くことを覚悟するべきです。

それに加えて、一番違和感を感じる点があります。技工士は本来であれば医療職なのに、趣味の延長線上の感覚でやってる人が多いんです。

人の健康に寄与するというより、ものづくりが楽しい!とか、儲かる!みたいな謎の論理を展開してマルチみたいに人を引き込む業界の雰囲気が死ぬほど嫌でした。

僕の会社も17人規模で、社長がアットホームを掲げていましたが、実際は上司がパワハラ気質の異常者で辞める人が多かったです。技工士の仕事自体は素晴らしいのですが、そこに属する人たちの民度が低いので僕は嫌いです。

技工士になるのは覚悟が必要です。僕の経験から言うと、甘い世界ではありません。国家資格を取れば食っていける世界ではありません。歯科医師でも貧乏な人はいるし、頭が良く腕が良いだけでは稼げない世界です。

漫画家やアーティストとして、生きていく。

そういった気持ちで挑まないと食べていけない世界だと思ってください。


最後に、それでもこの業界に進みたいんだ!という人は、僕は心の底から尊敬しますし、応援してます。また、今現在信念を持って、人の医療に貢献していると言う自覚を持って技工士を続けられている方も、本当に感謝しています。


だからこそ、これからなる人も、今やってる人も、絶対に情弱にはならないでください。数字や実態から目を背けないでほしい。

僕が見てきた民度の低い、人を恨むような技工士にはならないでください。そんなんになるくらいなら、さっさと辞めてください。怨みがある人が医療職に就くのは、僕は絶対にやってはいけないことだと思います。辞めてく人を恨むくらいなら、最初から技工士なんてやめてください。僕にはそれができなかったから、辞めました。それを勿体無いという履き違えたことを言ってきた技工士連中や知人とも縁を切りました。

そんな話で今日は終わります。ありがとうございました。

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