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ディックデイルのギタートーン 

彼独特の低音弦のギタートーンは個人的に長い間の課題の一つだった。90年代に映画「パルプフィクション」で印象的に用いられ、それまではサーフクラシックスカルト・・な感じの曲だったのが一気に決定的なリバイバルヒット曲として一般人でも聞けば耳にしたことがあるかも・・レベルまで浸透した「ミザルー」の印象的なメインテーマ部で聞かれるあのトーンだ。勿論ギターのトーンというのは百人いれば百人違うわけで、どんなに同じ機材や近い機材を揃えたところで全く同じになるわけはないのだが、それでも経験上「〇〇っぽく」という場合の「自分の中での及第点」みたいのが確実に存在しており彼に関してはそれがはるかに及ばないな、という自覚がずっとあった。

それが最近になってようやくコツ・・・というか自分的には決定的と思える要素を発見したように思うのでここに共有したいと思う。

彼のトーンの秘密、と言うとまずは規格外に太い弦や深めにかけたスプリングリバーブ・・・といった所が思いつくが、最も重要なのは親指の内側のピッキングハーモニクスの際に用いる箇所でミュート気味にピッキングすることなのでは?という結論に達した。以下自作の動画で比較してみた。弦はごく一般的な10-46のゲージ。順にミュートしたパターン→しないパターン・・・でミュート無しでもそれっぽくない事もないが、ミュートありの方が圧倒的に「らしい」感じとなる。

言われてみれば彼の低音弦ピッキングは「スタッカート奏法」と呼ばれる事もあり、その名の通り音を切り気味に演奏して然るべきなのだ。音を発音する瞬間に前の音の余韻が残っていてはならず、連続した早いピッキングの各々が歯切れ良く響き、そこに強いピッキングのアタック音にかかった深めのスプリングリバーブの残響音が重なりあの独特のトーンを織り成しているように思う。

ビーチボーイズをはじめ同時代のサーフ系バンドがこの曲のカバーにチャレンジしたものは数あれどどこか物足りない、というか迫力不足が否めないものばかりで、個人的にはギタリストの気合不足やそもそも張っている弦のゲージのせいかな・・・等と思っていたが、何のことはない、一番の秘密はミュートだったのだ。

普通にカバーすると以下のような感じになりがち。これはこれで味があるような気はするが原曲に比べると圧倒的な迫力不足。

エレキサーフインストの永遠のスタンダード、ワイプアウトのオリジネイターであるサーファリスもやはり迫力不足

ワイルドなイメージがあるオブスキュアかつカルトなガレージサーフの彼らでもこんな感じ


ディックデイルのギタートーンについて個人的な経験を踏まえた上でまとめると

1,最も大事なポイントは右手親指の内側によるピッキングミュート。

2,少し調べると情報が出てくる一般的な要素のうち深めのスプリングリバーブはそこそこ重要。よく聞くと彼自身はそこまで深いリバーブをかけていないが、よりハイブリッドな現代版ヴィンテージサーフギター・・を体現するならリバーブは過剰なぐらいが良い。太い弦のゲージについては10のセットで十分だと思う。

3,ピッキングする場所はブリッジに近いスポットを狙う。←今回のミュートの件を発見するまでは個人的にはこれが最重要との認識だった。


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