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【感想】1月に行った展覧会

メモしておかないと何もかも忘れるお年頃になってきたので、今年から展覧会の感想もメモに残しておくことにしました。
(ただの素人の日記なので、読んでも特にためにはなりません)

テート美術館展 光 — ターナー、印象派から現代へ

中之島美術館で1月14日まで開催されていた展覧会。もう1ヶ月前になりますが、印象に残った絵を何点か。

ジョン・ヤング=ハンター《私の妻の庭》1899年

ぱあっと明るい画面に惹かれた絵。
作者が結婚した年に描かれたらしい。背景には不死や美の象徴である孔雀も描かれていて、これからの結婚生活への期待と妻への愛を感じる。
でも解説に「最初の妻」とあったので、添い遂げてはいないらしい。この絵からは溢れんばかりの清らかな愛と希望が伝わってくるのに。切ないね。

ジョン・ブレッド《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》1871年

まさに「光」を描いた絵という感じ。雲の影や複雑な海の色が繊細に描き込まれていて、一面の青空と海に光が降り注いでいる。
展覧会のポスターにもなっているからか、写真を撮ろうとする人がすごく多かった。パッと見て分かりやすく綺麗だから人気なのかも。

ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー《ペールオレンジと緑の黄昏 -バルパライソ》1866年

バルパライソにはその「天国の谷」という名の通り「色とりどりの鮮やかな街並みと明るい海岸」みたいなイメージがあって、黄昏とはいえ淡くどんよりとした色彩が意外だった。
帰って図録を読むと、これはスペインと南米の戦争においてチリ海軍への支持を表明するために描いた作品らしい。
この光景は、1866年3月31日に起きたバルパライソの砲撃前日にスペイン軍の砲撃予告を受けた英米仏の平和維持艦隊が撤退するところ。だから不穏な空気を画面全体に表現したのかな。

ホイッスラー、カンディンスキーの作品があったので、リズ・ローズ《光の音楽》も見たかった。見ていないのでどんな作品かは分からないのだけど、音楽つながりということで。


・ジェームズ・タレル《レイマー、ブルー》1969年

撮影禁止の作品の中で、最も印象に残ったインスタレーション。
LEDで青一色に照らされた静謐な空間。思わず何かに祈りたくなるような。
……なのだけれど、後ろで「Windowsじゃん」と言っている人がいて面白かった。きっと毎日PCに向かってデスクワークをしている人だ。
でも今これを書いていて、Windowsの由来がイコン(聖像)だったことを思い出した。ということはあのWindowsの画面の青も聖母マリアの色由来なのかな。

私の作品には対象もなく、イメージもなく、焦点もない。対象もイメージも焦点もないのに、あなたは何を見ているのだろう。見ている自分自身を見ているのだ

解説文より

知識がなくとも体験できて、鑑賞者の経験や価値観によって受け取り方が異なる、そういうインスタレーションが好き。
新潟にあるタレルの「光の館」にも泊まってみたいんですよね。でも大人数じゃないと駄目そうで二の足を踏んでいる。

オラファー・エリアソン《星くずの素粒子》2014年

最後の部屋に吊られていた作品。透過光と反射光がキラキラと壁や人間に降り注ぐ光景が夢のようで、心もキラキラ浄化されそう。

ただ、監視員の方が動画撮影は禁止と繰り返しているにも関わらずあちこちから動画撮影の音が聞こえてきてちょっとうんざりした。


その他、「光」がテーマなので、写真や写真を使った作品の展示も結構あった。
キャサリン・ヤース《廊下》の前で不安に駆られて(サスペンス小説の表紙に良さそうだな……)などと思っていたら、鑑賞者を混乱させるように意図して制作されているらしい。道理で。

カプーアの《イシーの光》はもっと広々とした場所に展示してほしかったかも。なんだかせせこましい一角に唐突に置かれていた印象。
デイヴィッド・バチェラー《ブリック・レーンのスペクトル 2》も、制作についての映像で裏側の話をしていたので、もっと裏側まで回って見られるような展示だと良かった。

現代アートは広い展示スペースを要する作品が多いので、こうした展覧会には向いていないのかもしれない。

大阪でリヒターやカプーアみたいな最近話題の作家の作品がいっぺんに見られる機会なんてそうそうないので(大阪開催の展覧会情報を追っているわけではないので違ったらすみません)、そういう場を作るための特別展だったのかなと思った。

学生時代から好きなロスコや、ルイス・バラガン邸の写真で知ったヨーゼフ・アルバースの《正方形賛歌のための習作 黄色の展開》が大阪で見られたのは個人的には嬉しかった。

ゴッホ・アライブ

寺田倉庫G1ビルにて。
東京で用事があったので、そのスケジュールの合間に足を運んでみた。

神戸での開催時に行った人が「すごく良かった!」と言っていたので期待していたけれど、私はたぶんターゲット層じゃなかったな。

ファン・ゴッホの寝室の再現スポット

ゴッホが描いた絵の映像やゴッホが手紙に記した言葉の投影だけでなく、作品をイメージしたクラシック音楽が流れ、アロマが焚かれていた。

ゴッホの言葉

ゴッホが嗅いでいたであろう麦畑の匂いのガチ再現とか、絵が描かれた場所で録った音とかだと面白かったのに、と思ったけど(私の好みであってこのイベントの趣旨的にそんなことはたぶん誰も求めてない)、いい匂いは好きなので良かった。

黒澤明『夢』の「鴉」を思い出した。ゴッホの絵の中に入る映画ね。
地面にも映像が投影されていて、バサバサと散る手紙の映像を子どもたちが面白がって追いかけていて微笑ましかった。

ローヌ川の星月夜

大抵の子どもにとって美術館は退屈な場所だと思うので、そういう楽しい経験が美術への興味に繋がるといいな。

星月夜の星屑カクテル

帰り道、近くのWHAT CAFEでコラボメニューのドリンクが売られていたので寄ってみた。
こういうのもイベントに行った思い出が補強されて素敵だよな〜と思いました。

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