見出し画像

ネコと贖罪の筋肉痛

我が家には、2匹のネコがいる。
べっ甲のレヴィと茶シロのコタである。

レヴィは5月で、コタが4月。
ウィルス性鼻気管炎とカリシウイルス感染症、汎白血球減少症の3つ。
ネコと暮らしている方であればご存じだろう3種ワクチンだ。

お世話になっている動物病院から、毎年お知らせのハガキが届く。

AAFPとWSAVAでは3年に1回の接種を推奨とも聞く。
が、レヴィとコタを診てくれている先生には全幅の信頼を寄せているので、ハガキが届けば予約の電話を入れる。

レヴィは今年で3回目、コタが2回目だ。
キャリーを抱え、のどかな景色を眺めながら病院まで歩く。

もっぱらレンタカー派で、こういうときのためにカーシェアのサービスにも入っているのだが使ったことはない。
ネコらと外へ出掛ける、唯一の機会だからだ。

いっそ並んで歩けないものかと毎年のこと考えるが、そればかりは叶わないのがネコと暮らす身の上のざんねん。

思いきり外が走れたら喜ぶだろうな、と頭を過る。
いっしょに暮らすため強いている我慢と思うとやるせない。
でも、そればかりは難しいのだ。

だから少しでも外の世界を、せめて感じるくらいは。
毎年この時期に、キャリーを抱えて歩く。
ゆるゆると30分くらいだろうか。

レヴィは5キロないが、コタは6キロちかい。
つぎの日は筋肉痛になる。
ささやかな贖罪だと思っている。

病院だったりで、がんばった日のご褒美はフリーズドライのささ身だ。
チャオちゅーるに見向きもしないレヴィさえ飛んでくる。
私も食べてみたが、ふつうにおいしい。
「これは外だと食べられないんだぞ」などと言ってみたり。
わかっているのかいないのか。
のあ、と鳴いてペロリとたいらげる。

知り得ない楽しさと引き換えに、満足してくれているといいのだけれど。

せめて不自由がないくらいにはしてあげたい。
毎年、筋肉痛のたびに思う。