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”いえねこ”と”そとねこ”

我が家には、2匹の猫がいる。
べっ甲のレヴィと茶白のコタで、元野良と保護ねこ。

そもそも通勤時間を倍掛けにして「ねこと暮らす」ためにペット可の物件へ引っ越したわけで、いるのが当たり前。
肩に乗るのが好きなレヴィの爪あとで部屋着が穴だらけになるのも、猫砂をかけるのが下手なコタが肉球にウンチをつけて歩き回るのを拭いてまわるのも、いつものこと。
明け方もぐり込んできた布団の中で居場所を取り合う季節にもなってきた。

せっかく我が家に来てくれたのだ、なるべく良くしてあげたい。

だからボロボロの部屋着でも、ウンチふんじゃっても、4時過ぎに起こされても、べつに何ということもない。

ねことの暮らしは、そういうもの。
ただ、それだけ。

元野良のレヴィと保護ねこのコタは、いろいろ違う。

レヴィの砂かけは見事だ。
匂いがしない。
威嚇は鋭く、どうやら警告くらいから臨戦までバリエーションがある。
きっと外で生きるためのスキルなのだろう。

もしかするとコタは、トイレのあとは猫砂をひっかきまわすお作法くらいにしか思っていないかもしれない。
ときどき、砂がないところをひっかいていたりする。
シャーッと威嚇するのは聞いたことがない。

隠れたコタを見つけるのは難しくない。
が、本気で隠れたレヴィを探すのは至難の業だ。

ふたりの違いは、そのまま”家ねこ”と”野良ねこ”の違いだろう。
どうもコタに野良暮らしは難しそうだ。
レヴィだって、もう丁寧に砂かけしなくてもいいし、どうやって隠れたのか首を傾げてしまうような難しいところには隠れなくてもいい。

いえねこ→そとねこ、の違いは想像を絶する。
スマホも持たず無一文、見知らぬ土地に放り出されるようなものだろうか。
そんなもんじゃない。
きっと筆舌に尽くし難い、というやつだ。

無防備に寝息を立てるふたりを見るたび、ホッとする。