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つくること、たべること

「けんぎょうしゅふ」と聞いて、主夫とあて込むのは稀だろう。
とすれば私は、なかなかレアなのかもしれない。

我が家は、私と妻に♀ネコと♂ネコの家族構成。

朝6時に起き、朝ごはんをあげて、食べているうちにネコらのトイレを掃除する。その間にポットでお湯が沸き、インスタントでコーヒーを一杯いれる。飲みながらメールをチェックして、シャワーを浴び、スーツに着替えて7時半前に家を出る。

9時から18時の仕事だが、定時で納まることは滅多にない。
残業は、だいたい2時間くらい。

帰宅は、最寄駅に着くのが21時過ぎ。
買い物があれば22時5分前まで開いている近所のスーパーへ駆け込む。が、なるべくそうならないよう週末に買いためておくようにしている。

月曜日から木曜日までは、土日のうちに夕飯の献立が決まるというわけだ。
基本、肉→魚のローテーションにしている。

土日が休みの仕事なので、金曜日の夕飯は少しだけ豪華にしている。
妻と飲みに出かけるのも週末が多くなる。
でなければ土日か。

平日は、いっさいと言い切ってしまえるくらい飲み歩かなくなった。
仕事の付き合いも、概ね断る。

なにせ家に帰って夕飯を作らなければならない。
ねばならない、だが厭々では全くない。

むしろ望んでしている。
妻の名誉のために書いておくが、料理はできる。
きちんと、うまい。

ただ、私のほうが好きでしている。
だから我が家では、私が晩ごはんをつくる。

あれこれと話をしながら、聞きながら、かかっても小一時間くらい。

なんでもない、最小単位の情報交換をする。

とても有意義な時間だと私は思っている。
続く、晩ごはんを食べている間と同じくらいに。

かならず、いっしょに食べる。
仕事で遅くなることが分かっている日は、温めるだけのものを前日に用意しておく。いまの時期であれば、シチューや、おでん。

土日も、私のほうが先に起きる。
平日と同じようにネコらの世話をしていると、妻が起きてくる。

トーストに、目玉焼きをのせる。
豆からコーヒーを淹れる。

洗濯機をまわし、その間に掃除機をかけて、干す。

一息つくころに12時が見えてきて、お昼ごはんの準備だ。
とにかくケチャップ味が好きらしく、オムライスとナポリタンは殿堂入りの休日ランチメニューだ。冷凍庫にも、常にチキンライスのストックがある。

午後は、いっしょに買い物に出かける。
あれが食べたい、これが飲みたい、などと聞きながら買い物をする。

用意する時間がたっぷりあるので、土日は手間のかかるメニューが多い。

一度だけ、とても仕事が忙しく、時間に追われ、余裕のない精神状態だったこともあって愚痴を言ったことがある。
大いに後悔し、反省した。
忙しいのも時間がないのも手前の勝手と段取りの悪さである。

その一度きり、それきりである。
反省以上に後味の悪さで、二度と口をついて出ることはない。

年末年始で、7日間の休みがあった。

年末の私はキッチンからバスまで、あらゆる掃除をした。
ネコらのトイレも、浴槽磨きのついでに丸洗い。

ひたすら妻はバンドリ(スマホのリズムゲーム)に熱中していた。
悲鳴が相まって、あきないBGMであった。

大みそか、ほぼ夕方までキッチンにいた。
私が大根と京人参を刻んでいる隣で、妻はリズムを刻んだ。
妻の希望で、年越し蕎麦は刻みキツネとなった。

蕎麦をすすりながら、私は「いつも美味しいをありがとう」と言った。
妻も「いつも美味しいをありがとう」と言ってくれた。

明けて、2020年の元日。

大皿に並べての、おせち。
「来年は、重箱を用意しよう」などと言いながら、大いに食べて飲んだ。

今年も、つくり、たべる。

仕事始めで、手間なく仕上げたい。
今日はキムチ鍋だ。