アフターサービスの攻守

生産設備に限らず、事業には攻めと守りの活動があります。また、攻めの時に守りを考慮、守りの時に攻めるチャンスをデザインすると効果の高い活動になります。サッカーやバスケ、将棋のようなものです。
生産設備の製作納品までのほとんどは、攻めの活動です。商品企画、プロモーション、営業訪問、受注、設計調達組立出荷。そして、それらで発生するトラブルに対応する業務が守りの活動です。

社内プロセスの攻めと守り
設計から始まるプロセスゆえに、設計者が攻守をデザインしています。起こり得るトラブルは、主に仕様に関することです。加工誤差を許容するために可変部品にしておく。ワークハンドリングの速度やタイミングを調整できる機構にしておく。構造解析を事前に実施することも、想定外の変形や振動に対応するための手段です。そういった攻守一体の活動が、設備仕様を達成しながら価格と納期を満たすことになります。

アフターサービスの攻めと守り
アスターサービス担当者はトラブル対応の本職者なので、守りから攻めに転じることをデザインできるポジションです。
納品直後の設備故障は、ユーザー生産で損害が発生するため、事業の信頼を揺るがすピンチです。しかしながら、この局面でも顧客の期待を上回る結果を目指すことで、信頼を得ることがあります。早期に暫定対策を施したり、恒久対策に至る説明資料が充実するなど。
納品後に数年経過した生産設備は故障することがよくあります。ユーザー現場担当者は生産出荷のプレッシャーがあるため危機に瀕しています。アフターサービスも事業ですので、利益を設定した提案が基本となるために、スケジュールや価格は期待を下回ることが多いです。ユーザーの緊急事態には最大限スケジュールに配慮します。外払い費用が発生しない範囲のことは、即時に対応すべきでしょう。支払いが必須な部品については、先方で大きな費用決済が発生しない範囲で提案することを心がけます。困っている時に、高額なユニットを売りつけるのは、信頼を失う行為です。このあたりがアフターサービスの品質であり、選ばれ続ける設備メーカーになる要因です。

社外プロセスの攻めと守り
営業担当の活動範囲でも攻めと守りが存在します。営業担当のタイプによっては守りをサービス担当者に任せて、攻めの活動に集中することがあります。攻めの結果として、設備の受注という大きい効果を見込んでの考えではありますが、守りに発生するコストや影響を想定しないことは危険です。作れないものを発注に進めさせた時の信頼低下、それを無理矢理実現するために設計製造を奔走させたコスト。営業担当はサービス担当とペアで企画提案を進めることで、そのような未来を避けることができます。

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