プレゼント
現在、2021年1月13日。
一昨日の事を書こうとしているこの文章が公開されるのは、今日よりもっと後の事になるのだろうと思うけれど。
さて、では一昨日の僕に一体何があったのかと申しますと、出来事としてはなんと月並み、31回目の僕の誕生日があったんですね。
もうね、31度目の周回ともなりますと、ほとんどなんの感慨もありやしません(人工衛星だって地球の美しさなんてもう忘れちゃって、それをただの青い球体だとしか思っていないことでしょう)。誕生日前日まで明日の意味を忘れていた自分が、あたかも周りの人々から入れ知恵されたように気が付いた有様です。不思議だなと思いますね。自分という生命の周期を一番意識しているのが、当の本人ではなく周囲の人々という。
でも、では昔は意識していたのか、と言われればそうでなくって、もちろん"誕生日"という出来事自体への意識は今より高く持っていたでしょうが、それは無条件に色んな人からやさしさとプレゼントを貰える日だからに過ぎなかったし、その時々の僕は、どうしてやさしさとプレゼントを貰えるのか、という問いに対して誕生日だから!としか答えられなかったでしょうね。
何事にも言えることですが、表面上で起こっている現象だけに目を奪われず、その奥にある"どうして"の中身を考えねばならないな、と時々で気付かされます。そこに気が付ければ、例えば誕生日という日に起こった素晴らしいあれそれをもっとちゃんと抱きしめる事が出来そうです。
そのように、何だかんだ言ったって結局凄く特別な日である誕生日、今年も周りの方々から沢山の愛情を賜りました。この場を借りて(こんな言葉ではとても言い足りないけれど)、本当にどうも有難う。
そして僕はこの日、COVID-19に感染しました。
謝辞の後に連ねた事に悪い意味の暗喩はありません。読んで字のごとく有難いこととして並列させてみただけです。
と、冗談はさておき、神様は誕生日にとんだプレゼントをくれるもんだ、と思いました。ちなみに今年の初神籤は吉でした。まあ、こういうときだけ有神論者に成り代わるあたり僕はそこそこ狡い人間だと自覚しています。
発症から三日経ち、現在自宅療養中。熱も今朝から微熱程度に落ち着き、身体の倦怠感と喉の痛みが残っている事を除いては回復傾向にあるように思います。今のモットーは、"よく食べ、よく眠る"です。お陰で体重も3キロ増えましたが、引き換えに回復できるなら安いものです。
毎朝9時過ぎに、保健所から電話があり、懇切丁寧に僕の体調経過の記録を付けてくれています。彼ら彼女らは、一体毎日どれだけの人々へ連絡を取り、記録をつけているんだろう…と考えれば考えるほど、頭が上がりません。彼ら彼女らの負担を減らす為にも、僕が一日でも早く健康に戻ることには価値があります。
また、検査を受けた際の医療スタッフの方々の対応も素晴らしいものでした。
周囲の方々からの暖かいサポートとその言葉に、自分が置かれている恵まれた環境を自覚しました。
一日の間に、こんなに沢山の人々からの様々な愛情に触れられるなんて、なんと幸福なことでしょう。
僕の生命は、なんて尊いのでしょう。
自分の生命の価値を自分で自覚し続けることは、とても難しいことです。
だから人は大切な人の誕生日を祝うのです。その自覚をプレゼントするのです。
プレゼントの中身だけ見て一喜一憂してはいけません。
その奥にある"どうして"の中身を、暖かい気持ちをもって開けるのです。
そうすれば、今度はその誰かの生命をとても尊く感じることが出来ます。
2021年1月10日に起こった出来事すべてに感謝します。
現在のところではまだ病気は完治していませんが、そうなれた暁には、
周囲の方々へかけてしまった多大な迷惑や心労を、健康な身体と行動でもって返していこうと思います。
そして、感染対策や感染予防は、必要以上に行っていきましょう。
今回僕が心底後悔したのは、大切な人を感染させてしまった事でしたから。
2021年も、出来るだけ前を向いて、自分の身体を連れ一歩ずつ、歩んでみようと思います。