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【模型】昔のガンプラを徹底改造 ~バンダイ 1/144 旧ザク(旧キット)~

私がプラモデルを再び始めたのは中国に駐在中の2007年の夏のころで、広州に雑貨の仕入れ先を開拓している過程でプラモ屋を偶然見つけたことがきっかけだった。
初めは道具も何もないのでデザインナイフとタミヤセメントにタミヤエナメル塗料数色でドイツ兵を塗ったのだが、妙に面白くてどんどんエスカレートし、その年の秋に一時帰国した時には福井で結構模型を買い込んで中国に戻ってきた。
子供のころはやろうとしても資材や腕がなくてできなかった「プラモデルの改造」というのがやってみたくなって、模型に出戻ってから3か月くらいで結構いろんなテクニックに手を出すようになった。
エポキシパテでいろんなものを造形するのもこの時初めてなら、筆塗りで迷彩塗装に挑戦したのも初めてだったと思う。
そんな折、あるきっかけがあって大昔のガンプラを徹底的に改造するということがあったのだが、中学生に毛が生えた程度の技術しかなくてエアブラシもまだ使えなかった時代によくやったもんだとあきれる。
どうやら私は凝りだすと止まらない性分らしいということもこの時知った次第。

※以下の記事は2007年11月14日から11月23日のmixi記事より転載加筆を行ったもので、複数の記事を1本にまとめなおしたので大変長いものになっています。

いやあガンプラを作るのはヘタすると25年ぶりである。
ちょっとした目的があって、今旧ザクを作っている。
バカが始まるとスケーターズ・ワルツのように止まらなくなるのが私の性分で、先日陸自の友人が俺ザクと称して作った陸自仕様旧ザクをmixiで見て、これは負けてられんと思ってしまったのだ。
そういうわけで、今コツコツとこさえているのだが、なんせ20年以上前のキットなので、何万ショット打ったのか分からないが金型がすっかりヘタってしまっているようで、バリはおろか合わせ目の隙間や段差がものすごい。
ヤスリがけだけでもえらい目に遭ったが、ようやく塗装へとこぎつけた。
ここからどこまでバカが進行するかわからないが、やれるところまでやってみようと思う。

それにしても昔のガンプラはなんと作りごたえがあるのだろう。
たった280円とはいえ、なかなかバカにできないもので、逆に当時の子供はこんな手がかかるキットを本当に形にできたんだろうかとも思う。

昔のガンプラは塗装しながら組み立てて合わせ目消しを行うので実にめんどくさい

もともとガンプラを作り出したのも、実は内地からこのキットも買ってきたことが発端だ。

タミヤ1/35 陸自イラク派遣部隊セット

なんといっても複雑きわまるⅡ型迷彩を再現しなければならないので、おいそれと手を出したのでは貴重なキットをパーにしてしまう。
そういうわけで、まずはガンプラで迷彩パターンの練習をしようというわけだ。
なぜか見本が手元にあるので参考になる。


Ⅱ型迷彩パターンの再現

タミヤの色指定ではベースにバフ、緑にフラットグリーンとバフの混色、茶色がレッドブラウン、黒がジャーマングレーの指定となっている。

ところが実際にビンを並べてみると、ベースがバフというのは明度が高すぎる上に色目も異なる。
またスミ入れを考慮して黒を用いないのはわかるがジャーマングレーでは青すぎる上に明度も高すぎる。
緑もバフとフラットグリーンの混色では塗料を追加するときの再現性がないし、大体実物の色は彩度の高いフラットグリーンそのものの色だ。
そういうわけで、色指定を再度検証してみた。

明度をあわせるためにベースはカーキ、緑はフラットグリーンをそのまま乗せる。
フラットグリーンは隠ぺい力が弱いので、カーキの上から重ねることでちょうどよい彩度になるだろうという目論見である。
茶色もレッドブラウンよりはフラットブラウンが近く、黒はどう見ても黒にしか見えないのでフラットブラックを使用することにした。

まずはベースとなるカーキをベタ塗りする。
迷彩を施すのは上半身及び脛の部分で、カーキを平筆で塗る。
カーキはもともと隠ぺい力の高い色だが、なにせ下地が原色のグリーンなのでひどい筆ムラになる。
仕方がないので何度も重ね塗りを行う。
半分以上塗り始めてから、よく考えたらエアブラシを使わないのはオロカモノであることに気がついた。
カーキを塗装したら、一旦表面をつや消しコートをかけて固定する。
これはエナメル塗料を重ね塗りする場合下地を掘り起こしてしまわないようにするためである。

では緑を塗ろう。
Ⅱ型迷彩でもっとも面積が広いのは緑であり、これを上手に再現するかどうかがもっとも肝心だ。
従って、塗り始める前にお手本の迷彩パターンを穴が開くほど見て、一定の法則性をつかまなければならない。
まず陸自Ⅱ型迷彩はドイツ軍フレクターパターンと同様に丸いにじみのような形状が基本パターンとなっており、アメーバのように不規則に広がっては隣のアメーバとくっつくような特徴がある。
従ってアメリカの現用(註:2007年当時まだピクセルパターン迷彩は存在しなかった)ウッドランドパターンのように「縞」を書いてしまってはいけないのである。
そういうわけで、パターンは点の不規則な拡大と繋がりであると解釈する
まずはランダムにドットを打つ。

続いてこれを広げる。
このとき注意するのは、筆の穂先で不用意にハネないことで、輪郭はつねにシャープで不規則な曲線でなければならない。
またカスれてしまってはとたんに安っぽくなるので、溶剤を若干含ませて薄めの塗料を滴下させるようにするとうまくいった。

ある程度塗り進んだ時点で一度遠くから確認してみる。
Ⅱ型迷彩のグリーン部は場所によってムラがあるのが特徴で、固まっている部分と希薄な部分のコントラストがあって均一ではない。
従って、場所によって点と点を大胆につなげて大きな島にする。
ちょうどフィリッピンのセレベス島のような形をイメージするとうまくいく。

Ⅱ型迷彩ではブラウンが網目状に走るが、これも縞状に一定のパターンでつながっているわけではなく、粗い部分と密な部分にわかれている。
また連続している部分も単なる線ではなく、あくまでドットが膨らんでつながったものであることに注意する。
ここまでやったところ、なんだか似てないような気がして不安になる。

アクセントの黒はまばらに固まって配置されており、単純なドットもしくはつながった複数のドットで形成される。
これをランダムに配置するのだが、うっかりすると「左右対称」に入れてしまうので油断できない。

よく見ると似ていないのだが、雰囲気はなんとか伝わるレベルで仕上がった。
反省点は緑のパターンにもっとドットを意識するべきで、丸っこく仕上げるのがⅡ型迷彩の特徴であることがわかった。
黒のドットがあるのでかろうじてⅡ型迷彩に見えるが、局所的にはベトナムでアメリカが使ったリーフパターンに見えてしまう。
ともかく、これで要領はわかったので、実験台としてはまずまずの手ごたえであった。

さて、実験台とはいえこの旧ザクはさらにもっとわけの分からん手が入る
どこまで行けばバカが止まるのか今は皆目見当もつかない。

64式小銃の造形と塗装

迷彩パターンの表現まで進んだ旧ザクだが、このままではなんだかシゴトをしていない。
キットに付属しているブキと言えばオノしかなく、やはり火器がないのはなんだか物足りない。
そういうわけで、ブキを自作することにした。

今回の製作ではあくまで陸自をモチーフとしていることから、当然ながらブキと言えば64式小銃になる(89式は見たことがないのでよく分からない)。
まずはネットで平面図を探してきて、様々な大きさで印刷し、現物合わせでもっともサイズが合うものを選んで製造図面とした。

<骨格>
基本的にフルスクラッチであるので素材はエポキシパテを用いるが、強度の関係とエポキシパテの節約のため、さらに直線を維持するために芯が必要となる。
床尾から被筒覆までは竹割り箸を削って骨格とする。
銃身部分は特に強度に配慮する必要があり、またパテの削り出しでは正確な直線と丸断面の再現が難しいことから別素材を使うのが望ましい。
そういうわけで何かいいもんないじゃろかと思っていたところ、爪楊枝がまさにぴったりのサイズであることに気がついた。
また爪楊枝の元側のコケシ部分は64式の硝煙制退器の形に似てなくもない
パテで目を埋めるだけで十分そのまま使えるだろう。
それから弾倉と握把の部分にも芯が必要なので、本体側にピンバイスで穴をあけ爪楊枝を刺して固定する。
この段階では昔懐かしい輪ゴム銃のミニチュアみたいだ。

<ラッカーパテ盛り>
元来私は貧乏性なので、エポキシパテを更に節約するために割り箸骨格の上に安価なラッカーパテを盛って体積を稼ぐ。
これはエポキシパテの食いつきをよくする効果もある(と思う)。
ラッカーパテはまったくのドロドロで、乾く前は全然手がつけられない上に乾燥後は体積が半分くらいに肉やせしてしまうので大掛かりに使うのは厄介だが、こういった下地の増量剤に使うには便利なものだ。

パテを盛って1晩置くとようやく切削ができるくらいには乾燥するので、パテがやわらかいうちに荒削りをする。
現物合わせで図面の上に載せ、次にエポキシパテを盛る分を勘案して、図面からはみ出す部分を大胆に削りだす。
この状態でようやく銃らしくなってきた。

<エポキシパテ盛り>
エポキシパテを使うのは今回が初めてだ。
これは2種類の粘土状のものを混ぜ合わせることで硬化するもので、こういった造形にはもっぱらこれが使用されている。
そういうわけで混ぜ合わせてみたが、思ったよりもニチャつきがひどく、粘土というよりはガムである。
粘土のように造形などとんでもなく、ラッカーパテの上に盛り上げるだけでやっとである。
4時間ほどほっておくと、やや硬化が進んでニチャつきがやや収まり、表面にテカリが出てくる。
この状態なら油粘土とそうは変わらないので、どうやらエポキシパテは先に練っておいてこのくらいの状態になったときに加工するのがいいようだ。

<荒削り>
さらに一晩置くと完全に硬化して切削が可能な状態になる。
エポキシパテは硬くて粘りがあるので、切削/ヤスリがけのどちらもやりやすいのがありがたい。
特にデザインナイフで削るときは硬い消しゴムを削るように滑らかに切れる。
まずは図面に合わせてアウトラインからはみ出す部分を全部削り取る。
こうすることで64式小銃のシルエットラインができる。
さらに図面から各部の分かれ目のラインを写し取り、マーキングする。
ここからは自分の彫刻センスがモノをいう。
角を落としヤスリで平面を出していくが、ここで重要なのは「素材を削る」と思うのではなく、「素材の中に埋まった64式小銃を掘り起こす」と考えることで、同時に「オマエは彫刻家じゃ。小銃の1丁くらい何彫れんことあるや」と自分に暗示をかけるのが望ましい。
図面は参考にするだけで頭の中のイメージに従って作業を進めるほうが、模型として分かりやすいものができるような気がする。

<各部の彫刻>
大まかな形状と平面出しが終わったら、いよいよ細部の彫刻に移る。
ここでモノを言うのが必殺のデザインナイフ遣いとヤスリ技である。
基本的に平面や直線で構成されているものであるから、ある程度は精度を意識しないととたんに安っぽくなってしまう。
そういうわけで、面を削る場合はヤスリがけが基本、細部の作り込み(例えば尾筒覆上の照門カバー)はデザインナイフで彫り込むが、ナイフを使った後もちゃんとヤスリを入れて平面出しが重要で、これをやらないと「小学生の夏休み工作」になってしまい、工業製品には見えないのである。
この過程でも、ナイフで削るのではなく、エポパテに埋まった64式小銃をていねいに発掘してやるのだと捉え、「わしは彫刻家じゃあ。64式の遊底ひとつ何彫れん訳あるかいや」と気合を入れるのが望ましい。

<指を切る>
だいたい切れない刃物ほど危ないものはない。
力を入れないと切れないので力を入れたところ、指先2本を袈裟懸けに切ってしまった。
すぐに流水で洗い、絆創膏を貼ってからはがれないようにマスキングテープでぐるぐる巻にする。
そして、ここからが肝心なのだが、すぐにデザインナイフの刃を新品に交換して、何事もなかったかのように切削を続けることが重要だ。
こういった後は時間が経つとビビってしまい、次にナイフを使うのがおっくうになってしまうので、そうならないようすぐに同じことを続けるのがミソである。
切削にせよ密輸にせよ、ビビってやるのが一番危ないものだ。

<細部の修正>
エポキシパテはほとんど肉痩せすることが無いのだが、もともとの盛り方が甘いと「何じゃおえ、ここ足らんげや」となってしまい、場所によっては彫りようがなくなる。
また、一心不乱にヤスリがけをしているうちに削り過ぎてしまった部分や、筋彫りに失敗した部分などは再度パテ埋めが必要になる。
こういう微調整ならラッカーパテで十分なので、どんどん盛ってはさらに削りこむ。
そういうわけで、もともと練り歯磨きのように白かったワークは、ディティールが増すごとにだんだんネズミ色の部分が増えてくる。
なお、銃身を覆っている被筒覆は実に困った形状をしており、世界の自動小銃の中でも64式がもっとも根性悪い形状をしている。
そのまま再現するのでは死んでしまうので適度なデフォルメが必要となるが、これも雰囲気を壊さないよう上手に64式の特徴を捉えて上手に手を抜くのがなかなか難しい。

<別パーツの製作>
場所によってはパテ盛りの削り出しでは再現が不可能か、困難なパーツがある。
そういうものは別にこしらえておいて後で瞬間接着剤で取り付けることになる。
エポパテで別作成にしたのは照門の調整ダイヤル、2脚の接地部分などで、単独に作れば意外と簡単だ。
次に、延ばしランナーを使って脚や遊底の貢桿、ガスピストンの調整子などを作る。
伸ばしランナーを任意の太さで作るのはなかなか難しく、脚など太さをそろえるのに思いのほか苦戦した。
それから0.3mmプラ板を使って一部のパーツを作る。
場所でいえば用心鉄や床尾板、照準器などで、これを加えることで一気に精密感が出る。
また、64式独特の引っ張って回す安全装置は涙型になっているが、これは下まで涙型なのではなく、パイプに涙型の板がついた構造になっているので、伸ばしランナーとプラ板を併用すると、なかなか雰囲気よく再現できた。

というわけで、足掛け3日で大体形が出来た。
まだ微調整のエポパテが乾いていないので完全ではないが、大体このくらい作りこめば本体の旧ザクにディティールではトントンなので、あとは遊底ストッパー解除ボタンと弾倉キャッチ、そして各部のリベットを表現するだけで勘弁してやろう(ナマケモノのいいわけだ)。


サフを吹いてからジャーマングレーをエアブラシで均等に吹くと
なんとなく銃らしくなってきた。

<各部の塗り分け>
・黒染鉄部分
初めは1/35をやっているときと同様に、下地にスミ入れをしてからメタリックグレーでドライブラシをかけたのだが、この大きさになると1/35の絵画的ゴマカシ塗装はインチキ臭く見えてしまうことが分かった。
ある程度大きいサイズであれば印象派の絵画のように仕上げるのではなく、カッチリ工業製品みたいに塗り分けてヘタに陰影などはつけないほうがいいようだ。
そういうわけでガンメタルで均一に塗りたくってから凹み部分にスミ入れを行う。

・被筒覆
この部分は実銃では材質も表面処理も異なるので、おなじガンメタルで塗るのは間違いである。
特に被筒覆の上部はファイバー強化樹脂のようなもので出来ていて色目も異なる。
そういうわけで、下部はフラットブラック、上部はフラットブラックにブラウンを混ぜたもので塗装した。
もっともブラウンの比率が少なかったのか、ほとんど区別がつかなくなってしまった。

・木部
握把と銃床は木製なので、それらしく再現する。
プラモの色指定ではフラットブラウンで塗れなどと書いてあるものだが、ブラウンの単色塗装では単なる茶色いプラスチックにしか見えないので、木目の表現が不可欠である。
なお実銃では意外と木目は分からないのだが、模型では敢えてデフォルメ表現で大きく木目を書くことで説得力が出る。
まずベースはフラットアースを塗る。
それから希釈したフラットブラウンやデザートイエローを面相筆で細い線状に乗せていく。
この場合塗料は下地が透けて見える濃度にすることで、線を重ねるごとに線同士が重なって中間色が出たり自然なにじみを期待できるのである。
最後に表面をシンナーで軽く均して完成。

<マーキング>
やはり軍用銃ならば所属の注記を入れなければそれらしくない。
自衛隊の場合銃床に所属部隊と通し番号をラッカーで書いているので、それらしく再現する。
イメージとして、内地の実家に一番近い普通科部隊のもの(10師団金沢14普通科連隊)を想定した。

そういうわけで、足掛け4日でようやく64式小銃が完成した。
拡大したらアラばかり目立つが、離れてみたらなんとかそれらしく見えてくれるのでありがたい。
とりあえず造形の時点で平面出しや表面処理で手を抜いたので、塗装してもやはりアラが目立つ。
次やるときは気をつけよう。

装備品を作る

小銃だけでは飽き足らず、とうとう装備品まで作り出した。
仕事のサンプルであまった帆布や細幅テープまで使い出したのでもはやプラモですらなくなってきた。
うーむ、このままどこまで行くのだろう。

<団体と弾嚢入れ>
さて、なぜか手元に弾帯の見本があるのでこれをよく観察してみる。
これは旧型のものでコットンで出来ており、バックル部分と装備品を吊るハトメおよび長さ調整用のフープが金属で出来ている。

これを再現しようと思った場合、やはり布地の質感の表現が何よりも重要で、エポキシパテで作った場合ただの合皮のベルトのようになってしまうだろう。
従って、めんどくさいのでコットンならコットンそのままの素材で作ってやれと思い、ちょうど先日業務上XXのサンプルを作ったときの材料が余っていたのでこれを流用して作ることにした。
幅20㎜のコットン細幅テープに12オンスの帆布である。
正確な縮小を考えた場合かなりオーバースケールになるが、模型ではイメージを優先すべき点も多いので、そのまま使うことにした。
もはやプラモではなくなってしまった。

<弾帯の製作>
1、材料を切り出す
大体現物あわせで幅の見当をつけ、テープを切り出す
この場合若干太いくらいがちょうどよい。

2、接着剤の塗布
布はそのままでは加工できないので、接着剤を全体に染み込ませて硬くする。
こうすることで塗装も接着も可能となり、またヤスリがけもなんとか出来るようになる。
ともかく布や紙を使用する場合はこの工程は必須である。
乾燥したら幅をしっかり合わせて切断し、ヤスリで処理をしておく。

3、細部の作成
長さ調整用のフープは0.3㎜プラ板で作成、本体に接着しておく。
さらに細部の作成にはエポキシパテの登場となる。
2種類のパテをゴネゴネと混ぜるのがなんだか楽しい。

弾帯の製作で最も難関となるのがハトメの表現で、実物では縦に3つずつ配置されているが、あまりにも細かくなると加工で死んでしまうので、あくまで雰囲気重視で縦ふたつとした。
まずはパテを極細に伸ばして、定規を当てて1㎜ごとにデザインナイフで切り取る。
こうすることで微小な量を大体適正な量で切り出すことが出来るのだが、要はギョーザの皮を作るのと同じだ。
続いて切り出したパテを指先で丸めて小さな玉にする。
これもギョーザの皮と同じ要領だが、あまりにも小さいのでどこかへ落としてしまってもわからずに指だけゴネゴネ動かしていたりもするので、なかなかヤッカイだ。
こうしてできたパテ玉をデザインナイフにくっつけたまま瞬間接着剤をつける。
この場合ナイフに接着剤が絶対につかないよう注意。

そのまま弾帯に取り付ける。
これがなかなかくせもので、初め瞬間接着剤を使わずにやっていたら、なかなかナイフからパテが離れてくれない。
そういうわけで瞬間接着剤を少量つけて弾帯に接触させ、ふた呼吸待ってエイヤとナイフを離すとパテだけ弾帯の上に残ってくれる。
もっとも接着剤がナイフの先まで付いていたらパテはナイフから完全に離れなくなるので往生した。
パテはそのままナイフで軽く押して平たく整形。
一通りタマゴを産み付け、じゃなくてパテ玉を置き終わったら、今度はハトメの穴を再現する。
伸ばしランナーのテキトウな太さのものを使い、これをパテに突っ込んで穴を開けるのだが、その場合パテがくっついて形が(なるべく)乱れないように伸ばしランナーにはあらかじめ軽く油を塗っておく。

続いてバックルを製作する。
エポキシパテを細長く伸ばすのだが、なかなか均一の太さになってくれないので往生する。
これをバックルの形に曲げてやるというか、要はアメ細工の要領で形を作っていく。
曲げる部分は丸棒か何かを当ててガイドにしてやるときれいに出来た。
迅速にやらないと、パテが自分の重みでどんどん細くなるのには参った。

本体との取り付け部分を切り取るため、本体と現物あわせで幅を確認する。

溶きパテで修正。
ラッカーパテをシンナーで薄めたものを表面に塗りつける。
しわがよった部分などを埋めてくれるだけでなく、太さが不均一な部分やいびつな部分も溶きパテの表面張力で自然に丸く盛り上がってくれるので、なんとかそれらしく見えるようになった。
以上で弾帯の造形は完了。

<弾嚢入れの製作>
これは帆布で作成する。
弾帯同様に、まずは素材に接着剤を染み込ませた後、現物あわせで銃の弾倉の幅に合わせて形を作る。

続いて表面にパテを盛る。
実物では綿ビニロン生地といって、カンバス地にビニールコートした防水性の生地になっているので、帆布をそのまま使うのでは質感が異なる。
そこで表面にパテを塗りつけて目を消す(完全に消してはいけない)。
もっともこの工程は全部組みあがってから溶きパテでやったほうがおりこうさんだとわかったので、とちゅうでやめた。

弾帯のハトメ同様弾嚢入れにもエポパテでハトメをつけ、塗装前の下地処理として溶きパテを全体に塗布する。
これで弾嚢入れの造形も終了。

現物とカラーチャートを見比べて、弾帯は全体をオリーブグリーンで塗装することにするが、旧ザク本体にも同色を使用しているのでそのままではなんかおかしい。
そういうわけで、オリーブグリーンが乾燥した時点でさらにフラットブラックを薄めたもので全体をウォッシング、コットンの立体感と質感を表現する。

弾嚢入れなどに使われている綿ビニロン生地は薄いグリーンで灰色くすみを帯びた色だったと思うので、フィールドグレーで塗装、全工程で溶きパテを塗って凹凸を消したつもりだがパテが乾燥するに従って肉やせしてきたので、塗装では敢えてフラットなイメージにするためウォッシングは行わないことにした。

続いて金属部の塗装を行う。
実物ではハゲチョロケになってピカピカしているものがよく見られるが本来は黒染め加工や塗装などで黒くなっているので、まずはフラットブラックで下地を塗装。

続いてハゲチョロ表現のためメタリックグレーでドライブラシをかける。
もっともこの部分はクロームシルバーを使ってもっとピカピカにしたほうが陸自旧装備品らしくなるかもしれないが、クロームシルバーはつや消しトップコートを吹くと単なる明るいグレーになってしまうので、作品全体が完成してトップコートを吹いた後に改めて考えたい。

そういうわけで、装備品第1弾ということで弾帯と弾嚢入れが完成した。
取り付けは最後にやる予定。

階級章の製作

こういうプラモはこまかいディティールを加えることでとたんに説得力が出てくるものだ。
そういうわけで、徽章類の一環として階級章を製作することにした。
元々は肩の平面部分に筆塗りで塗装するつもりであったが、戦闘服用の階級章は国防色のベースに黒刺繍が入るもので、同じ暗色であるオリーブグリーンの本体に塗装した場合コントラストがほとんどないため手を加えた割には目立たない。
実物ではワッペンであり、刺繍部分も盛り上がっていることから、いっそこれを立体で表現しようと思った。

まずは陸自の階級章とはどんなデザインであるかをよく把握しなければならない。
幸いネット上ではさまざまな資料が存在するのでありがたい。
最も形状にひずみがないと思われる画像を拾ってきて画面上で拡大、さらに画面上の寸法を実測して図面を起こす。
5角形の形状はすんなりと作図できるが、問題は階級を示す山型部分と桜章およびそれらの相関位置である。
ワッペンのふちと山型の隙間を考慮して作図、桜章は中心位置を画面上で見当をつけて図面上にポイントし、360度を正確に5等分する補助線を引く。
さらに桜章の外形(外接する円周の半径)と内径を割り出し、後はフリーハンドでチョコマカと書き入れたら、なんとなくそれらしいものが再現できた。
本来であればこの寸法をさらにスケールダウンし実測寸法を出すのだが、フライス盤やマシニングセンタで切削するわけでなし、だいたい加工技術(ハサミとナイフとヤスリのみ)が追いつかない。
ともかく図面を書くだけでもイメージを頭に植え付けるには十分で後はプラ版現物合わせで進めることにする。

階級章は0.3㎜プラ板で製作する。
まず大体の幅で切り出してから現物合わせで確認し、ヤスリで微調整して幅を決定、ついで高さの目安をつけて切断、斜め部分も合わせて切断する。
本来であれば縮尺相当に寸法を出した図面に従って正確に切り出すのがメーカー勤務の人間として正しいのだが、なにせ加工精度が出せないのでイメージに従って切り出すしかない。
そのためにも正しいイメージを得るために図面を引っ張ったのはあながちムダではない。
ごく微小な加工をやるなら却ってアナログ的にやったほうがいいものが上がるのだと勝手に理由をつけて(これがメーカーの人間のやることか)そのまま進める。
そういうわけで階級章の土台はできた。
今度は山型章だが、これのラインは階級章のラインに対して完全に一致していないと見栄えがしない。
従って先ほど切り出した土台にあわせて切断、内側部分はやや太めにフリーハンドで切断する。

内側部分にヤスリをかけて微調整するが、なにせモノが小さくてもろいのでヤットコでつかみながらのシゴトになる。
このとき注意するべきことは、ヤスリをかけているときは加工部分しか見えないため知らず知らずのうちに削りすぎて左右の対称を欠いてしまうことである。
従って、5回ヤスるごとに切粉を払って確認する。
この場合、モノが白いのでデンキスタンドで直接照らすのではなく、電気スタンドで白い壁を照らし、ワークをシルエットで見るほうが確認しやすい。

大体の形になったところでデザインナイフでのカンナがけに移る。
ヤスリがけではどうしても両端部分が削れ易いため(ヘタクソの証拠)知らず知らずのうちに加工面が弧を帯びてくる。
逆にデザインナイフでのカンナがけでは力の最もかかるのは加工部分の中央であることから、ヤスリとは逆に中央部分が痩せやすいという特徴がある(これも力が均一でないヘタクソの証拠)。
従って、膨らんだ形状を修正するにもデザインナイフはうってつけである。
さらに、今回再現するのは階級章であり、実物では板状のものを貼り付けるのではなく刺繍によって加工されるものであるから、山型章の切断面はスムースでなければおかしい。
そういうわけで、斜めに面取りも同時に入れる。
ついでに先ほどの土台も面取りを入れておく。

次はもっとヤッカイな桜章である。
図面を書くときによく分かったのだが、5弁の桜の形状は基本的に5角形でありそれぞれの辺の中央部分を鋭角にえぐり、5つある稜の先端をスムースに加工することでどうやら合理的にできそうだ。
そういうわけで、まずはプラ板で5角形を作る。
といってもフリーハンドでの工作となるので、特にケガいて線を引くことはしない(できない)。
そういうわけで、中心位置をケガキ針でケガいてスミ入れし(消えないようにする)、その周囲をざっくりと切り出してからヤットコでつかむ。
回しながら少しずつ糸切ハサミでカットしていくのだが、ある程度5角形になってくると毎回回す角度が分かってきて、何回も回して切っているうちにだんだんちゃんとした5角形になってくる(雪だるまが丸いのと同じ理屈)。

さらに、山型章同様にカット面を斜めに面取りする。
この過程で全体のバランスを見ながら微調整も同時に行う。
大体こんなもんだと思ったところで階級章に載せてみて寸法を確認、まだまだ大きすぎる。
そういうわけで、さらに削り込んでようやくそれらしいものが得られた。

次は接着、昔と違って今は流し込み系接着剤という便利なものがあり、100%有機溶剤であるから少しでも隙間があれば瞬間的に流れ込んで母材を溶かして接着するというありがたいものである。
まず山型章を土台に乗せる。
このとき位置がずれていたらそのまま接着されてしまうので、位置決めは慎重を期する。
位置が決まったら上からピンセットで押さえ、流し込み系接着剤で固定、続いて桜章も同様に接着する。
これでクシャミでパーツを飛ばす心配もなくなり、ようやく一安心だ。

今度はこれをザクの肩に取り付ける。
ザクの肩はすでに塗装まで済んでいるのだが、階級章接着のためにいったん表面をヤスリで落とす。
どっちにせよこの部分は合わせ目の処理をイイカゲンにやったせいか、いずれ削りなおそうと思っていただけにちょうどよい。
切粉をよく払い、先ほどと同様に接着する。
うむ、やはり斜めの面取りがいい効果を出している。

そういうわけで、階級章が完成した。
やはり考証にこだわるのはおもしろいと自己満足していたらとんでもないミスを発見した。
自衛隊では階級章は右腕に取り付けるのだが、これは左腕ではないか
これはとんでもないチョンボをしてしまった。
もともとキットの旧ザクを組む際に右と左の腕を間違えて、接着と塗装が済んだ時点で気が付いた次第だが、まったくどこで裏目に出るか分からないものだ。
考証にこだわった割にはひどくインチキくさくなってしまった。
これから気をつけよう。

銃剣の製作

ところで昔日本にいた時に銃剣道をやっていたのだけれども、同時に短剣道もいっしょに履修した。
長さ50センチくらいの短竹刀というものを使うのだが、剣道とはまるっきりことなるもので、面はカウントされるが後は基本的に刺突(しとつ)ばかりで、剣道のような斬撃するような動きのものではない。
要するに銃を失った場合銃剣だけでも戦えるようにするための競技なのだそうで、なるほど刺す技ばかりなわけだ。
そもそも銃剣とは、小銃がまだ前装式であったころ、銃をパイク(軽騎兵が持つ槍)として使えるように開発されたもので、弾切れなどで銃が役に立たなくなった場合も銃剣を着けることで戦えるというわけで、従って小銃を持っている以上銃剣を携帯しなければならない。
そういうことで銃剣を製作することにした。

といっても64式の銃剣は見たことがないので、まずはどんなものなのかを調べるところから始める。
幸いネットでは豊富に画像が手に入るので、様々なものを入手し、側面形状が最も分かりやすいものを画面上で拡大してそのまま紙にトレースする。

さらに各部の構造や断面形状などもいろんな画像などから推測し、分かったことを全て書き込んでいく。
加えて、先に製作した64式小銃とおなじスケールにするため、実際に小銃に着剣した画像を探してきて、小銃に対してどのくらいの長さになるのかを割り出して大まかな原寸図を作成する。
なんだかパチモンを作るような気分になってきたが、気がついたら図面はこうなっていた。

図面もどきができたところで材料の選定に移る。
まず割と単純な形状の鞘の部分は爪楊枝を芯にしてラッカーパテを盛りつけたものを削り出すことにする。
カッターナイフのカンナがけで割りに簡単にできるだろう。
ツバは0.3ミリのプラ板を2枚張り合わせて0.6MMにしたものを整形し、真中に穴をあけて芯の爪楊枝を通すようにする。
更に握りの部分はやや複雑な造形が必要になるのでエポキシパテを盛り付けての造形を行う。
また、弾帯に取り付けるためにカンバス地のベルトが取り付けられているが、本体及び中間部分で環で連結するようになっている。
環で連結するには材料がないので、今回はカンバス地だけですすめることにする(大いなる手抜き)。
やはりいったんデッサンを描いておくと製造工程をイメージしやすいのでありがたい。
なんといっても生産の妥当性の検証は設計時に十分行うべきだ。
なんだかやっていることがだんだん本業じみてきたのは気のせいだろうか。

まずは鞘部分から製作に入る。
爪楊枝にラッカーパテを盛り上げて乾かしてはさらに盛り上げを繰り返し、必要な寸法の直方体に仕上げる。
この時耐水ペーパーよろしくヤスリで水砥ぎを行ったが、これだと切粉で部屋が粉だらけになったりヤスリが目詰まりしたりしないのでひどく効率がよかったので、次からヤスリがけは洗面所でやることにしよう。

次いで粗加工に移る。
銃剣の鞘は両端がリブ状に平坦になっていることから、これを如何に正確に平面を出すかでリアルになるかウソくさくなるかが分かれる。
従って、必殺のヤスリがけで徹底的に削り込みをいれる。
まずはイメージする細さが出るまで一心不乱でヤスリをかけ、図面と引き合わせて確認する。

大体細さが出たところで今度は先端部もキッチリ加工、この部分は直線を出すことが最優先であることからデザインナイフはほとんど使用せず、ヤスリだけでこの形状にまで持ってきた。
やればできるもんだ。

続いてツバの製作に移る。
前もって0.3ミリプラ板を2枚張り合わせたものにピンバイスで穴を開ける。
まず本体側の爪楊枝の入る部分の穴を開け、次いで銃剣の銃口を入れる穴を開ける(爪楊枝の位置は必ずしもセンターが出ていないため)。
さらにこれを切り出し、図面のイメージを元にキアイ一発デザインナイフで削りだす。

出来たら壊さないうちに本体に取り付けてしまう。
実は削っている途中にベキッと半分に折ってしまったのだが、何食わぬ顔で流し込み系接着剤を使って元通りにしている。
どうせ両側から挟みこむパーツであるので強度はあまり問題ではない。
要はなくさないうちにとっととくっつけてしまえということだ。

続いて握りの部分を製作する。
ここはエポキシパテを使って造形する。
図面を元にパテを盛り付ける。

パテが乾かないうちに0.3ミリのプラ板を握り上部に差し込む。
これは着剣装置の再現であり、銃を取り付けるためのスリットだ。
もちろん外観上の再現だけで、まさか前に作った64式本体に取り付けられるほど私は賢くないのが残念だ。

パテが乾いた後チョコマカと削って完成。

ついでに本体の弾帯に取り付けるためのパーツも作っておく。
本物ではもう少しややこしいのだが、あまり目立つ部分でもないので簡単にカンバス地で作ることにする。

そういうわけで塗装に移る。
まずは下地塗装で、鞘以外はすべてフラットブラックで塗っておく。
どうもエポキシパテは塗料の食いつきがあまりよくないので、ラッカー系で塗装するほうが調子がよいかもしれない。
鞘はオリーブグリーン一色で仕上げる。

さらに金属部分をガンメタルで仕上げる。
これで銃剣が完成した。
よく考えたら図面に描いたはいいが作らなかった(作れなかった)部分が多い。
まあ、省略ということで(自分に)勘弁してやることにする。

部隊章の表現

左肩には階級章が入った(本当は右に入れるべき)。
そういうわけで右肩にも何か入れたくなった。
以前コイツを警務隊仕様にしようかと検討していたが、すでにオリーブグリーンで塗装した右肩にムラなく白を入れる自信がないので、とりあえず部隊章でも入れておこうかと思ったのである。

さて、想定している所属部隊である金沢の14普通科連隊は中部方面隊10師団の序列に入っていることから、ここには10師団のマーキングを入れることにする。
本来部隊章は戦闘服には縫い付けないようだが、同じ10師団の10戦車大隊では戦車の砲塔側面に同じデザインをマーキングしていたので、まあこんなのもアリということで進める。

まずはネットで図案を探し、一旦デッサンしてみる。
10師団は本部が名古屋(守山)にあることから名古屋の金シャチがモチーフとなっていて、なんだかかわいらしい。

塗装の第一弾として、下地を白で塗る。
これは、シャチに塗る黄色は隠ぺい力が弱いため、オリーブグリーンの上からそのまま塗ったのでは色カブリをおこしてしまうからである。
そういうわけで手元にある塗料の中で隠ぺい力が高いものということでアクリルガッシュ(アクリル絵の具)のホワイトを使ってみることにした。
これは先日帰国したときに内地から仕入れてきたもので、マトモに使うのははじめてである。
アクリルガッシュは隠ぺい力が高く薄い皮膜ですばらしいつや消しが得られると聞いていたが、かなりムラムラになってしまい、話が違うではないか
どうも薄め方に問題があるのかもしれないが、とりあえず下地なのでかまわん。

続いてシャチ本体をイエローで描く。
いきなりフリーハンドで描き出したが、どうせ後でトリミング修正をかけるので気楽に進める(鉛筆が見つからなかったので下書きを省略というものすごいモノグサである)。

次にベースをフラットグリーンで塗る。
この際シャチの輪郭をトリミングしながら塗る。

今度はシャチの模様と輪郭をフラットブラックで描く。
細い線をいきなり引くのはなかなか難しい。

だいたいできたところでイエロー及びフラットグリーンで再度トリミングをかねてタッチアップする。
だいぶそれらしくなってきた。

最後に肩のオリーブグリーンでトリミングする。
指が震えて片方の線がエラく細くなってしまったので、もう片方も同じように修正しようとしたら、さらに細くなってしまった。
まあ人生こんなもんだ。
さらにワッペン上部の黒ガクブチを入れて完成。
本当はここに部隊番号を入れるのだが、何度数字を書いても手書き風になってしまうので、ここはひとつ「省略」する。

そういうわけで、だんだんインチキ度が高くなってくる旧ザク2士だが、なんとか部隊章が入った。
10メートルほど離れてみるとデカールと区別が付かないのでちょっと気に入っている。
それにしても、シャチの口がえらくでかくなってしまい、特に下あごがイノキのように巨大になってしまった。
やっぱ下書きを省略したせいか。
手抜きもほどほどにしよう。
そんなわけで泥沼にはまりそうなので、この辺で完成としようか。


2023年3月8日加筆

これを作ったのは前にも書いた通り模型を再び作るようになってせいぜい3か月くらいのころで、それより以前となると中学生の頃の経験しかなかったころの作品なので、今から見ればえらくアラが目立つ雑な仕上がりだが、陸自の仕様でつくるんじゃという気合だけは今の私でもかなわないかもしれない。
この時に覚えた迷彩パターンの塗り方はその後私の定番になり、1/35や1/72などさまざまなフィギュアに施したもので、似せるためにはとにかく見本をよく観察し特徴とその法則性を見抜いた上で筆を動かすことが重要だということが身に着いた。

64式小銃をはじめ各種装備品などはどうやって作るのか皆目わからないまま手元にある資材や道具を使ってどうやれば作れるのかを考えて作ったもので、完全に我流ではあるが、模型の楽しさはこういう「どうやってやればできるだろう」を考えることにあると思う。
これは模型だけでなく仕事にも活きる考え方で、つまりは問題解決力を自分で身に着けることができるということなのだけれど、これは今の若い人にもぜひとも体験してもらいたいと思う。
今50歳の私より二回り下の世代はガンプラ以外のプラモデルを子供のころにほぼ経験していないらしいと聞く。
今どきのガンプラは独断と偏見を承知で申し上げるならば工夫と思考と根気と根性を要する「模型」ではなく、説明書の通りに手を動かせばだれでも同じものが作れる「立体パズル」なので、どうやったらできるかということを考える動機付けにならないことがまことに遺憾だ。
同じガンプラでも私の世代が子供のころに作ったもの、今回の旧ザクもそうだ、その時代のプラモデルはとにかく不親切なもので、雑に作ったのではまともに組み上げることもできないシロモノなので、気が向いたら一度手に取ってもらいたい。
今でも売っている現行商品だそうで、驚くべきことに当時300円だった1/144の値段は今でもほとんど変わっていないそうだ。
40年も前のキットなので出来上がりはなんだかいまいちぱっとしないし、関節にポリキャップも使っていないので膝がすぐにカクカクになってしまうが、これをちゃんと作り上げることができたら、今どきのガンプラでは得られない貴重な知恵と経験が身につくはずだと思うのである。

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