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『東のエデン』 滝沢朗の”問う”力

ハル・グレガーセン『問いこそが答えだ! 正しく問う力が仕事と人生の視界を開く』という本を読んでいます。

こんな文章が出てきました。引用します。

問題を新しい角度から眺めて、画期的な解決策を見出したいのなら、自分の有能さを示したいという衝動を抑えなくてはいけない。(p.144)

組織に所属して仕事をしていると、やっぱり自分の有能さ、優秀さをアピールしたくなります。誰だって、「あいつは仕事ができない」と思われたくはないでしょう。「間違ってはならない」「人の手を煩わせてはならない」と思うのが普通です。

しかし組織学習の観点から言えば、理想的な従業員とは、人の手を煩わせない大人しい従業員ではなく、うるさく不平不満を言ったり、自分のミスを公然と認めたりする従業員だそうです。
彼らは、従来のやり方を受け入れたり、守ろうとしたりする前に、「本当にそれでいいのか?」という問いを投げかけます。

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”有能”イメージを塗り固めようとあくせくするのではなく、自らの”無能”をさらし、積極的にわからないこと、不合理なこと、間違っていることを”問い”として提示することが、画期的な問題解決を行うためには重要なようです。逆説的ですね。
問いという触媒を投げかけ、メンバーの知性を繋げられるリーダーこそ、真に有能なリーダーであると解釈しました。

まずは、ミーティングや雑談などの中で、人が言ったことに対して「わかったフリ」をするのではなく、「それってどういうこと?」と問うことからはじめたいと思います。


この本を読んでいると、『東のエデン』というアニメが思い出されます。
主人公の滝沢朗が、2万人のニートに向かって「60発のミサイル攻撃を回避する方法は?」という問いを投げかけ、そこから出てきた案で見事に危機を回避する、というシーンがあります。

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あいつらは直列につないでやれば結構なポテンシャルを発揮するんだ。
きっと”迂闊な月曜日”の時のように、すっげえ奇跡を思いつく。
もともと俺一人でやったわけじゃないんだよ。

滝沢は、ミサイルを回避する策を〈東のエデン〉サイトに書き込むニートたちを眺めながら、このように語っています。

触媒となる問いを投げかけ、メンバーの知性を刺激し、問題を解決に導く。

自ら答えを出すのではなく、問いによってメンバーから解決策を引き出す滝沢は、「問い」が持つ力をフルに使えている、真に有能なリーダーであると思いました。

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