"バツのポテト"に元気をもらう
仕事でかなりモヤモヤすることがあった。
しかし、そのモヤモヤと向き合っている余裕が私にはない。
強風の影響か微妙に遅れていた電車を降りると、早歩きで保育園にいる子どもたちを迎えに行く。
こういう時、気持ちを切り替えるのが難しい。
けれど、子どもたちの前ではなるべくいつも通りでいたいと思うのでモヤモヤを無理やり心の中に押し込める、という作業が必要になるのだ。
次男を迎えに行ったあと、長男の保育園へ急いで向かう。
歩きながらも取引先の人に言われた嫌味を思い出してしまう。
いかんいかん。一旦仕事のことを考えるはやめておこう。
園から出てきた長男は、私の顔を見るなり「ママ、バツのポテト食べたい!」と言った。
"バツのポテト"とは、ミニストップで売っているホットスナックのXフライドポテトのことである。
長男はあれが大好きで、たまに保育園の帰りに買ってイートインコーナーで食べたりする。
長男はどうやらかなりお腹がすいているようだった。
次男は抱っこ紐のなかですやすや寝ているので、今なら落ち着いてポテトを食べられそうだ。
そうして、保育園の近くにあるミニストップでバツのポテトを2つ買った。
いつものようにイートインコーナーの2つの椅子を近くに寄せ、2人並んで座りバツのポテトを食べる。
保育園でメザスタごっこをした話や、
にゃんこ大戦争のキャラクター編成のことなど他愛もない話をしていると
ふいに、長男がささやき声で「ママ、かわいいねっ。」と言った。
仕事でのあの最悪な電話と、こうしてこどもと一緒にバツのポテトを食べているほかほかな瞬間が、同じ日の出来事とはなんだか信じられなかった。
結局私はこうして明日もなんだかんだ仕事へ行き、嫌なことがある度に子どもたちのことを想って、なんだかんだ、踏ん張るのだろう。
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