鋭利な刃物は痛みを残さない

朝日が眩しくて
茶色く染めた髪がいつもより明るく光ってる
視界の端できらめいては私の心をごまかしていく

リュックに差しっぱなしのオレンジジュース
一口飲んだけど昨日より苦くて捨てたくなった

真っ青な空も今日はなんだか皮肉です

この世界からおさらばすべきだって
ずっとわかっていたよ
でもどんどん居心地が良くなった
何がいけないのか全然わからなくて
あんなに苦しかったはずの痛みは消えてった

私の思考回路や感覚が全部変わったから
消えたんだと思ってたけど
全部諦めちゃったから不感症なだけ
痛くなかったけど傷だらけ
ああそうか鋭利な刃物は痛くないんだってね
本当はとても狡くて酷いことだと
知っていたんでしょう?

込み上げてくる何かをこらえた上で
溢れてくるものこそが
人の心を動かすんだってね
だけどそんなの嫌だよ
こらえてなんかあげないよ
全部全部出すから
全部全部受け止めて傷ついて
あたしごとブッ刺して
返り血でびしょびしょになりたい

だけど傷つくことなんてないんでしょ
ぜんぶ飲み込んで
その上で美味しかったって言っちゃうんでしょ

あーあ
お粗末さまでした。

詩織

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?