飛び込んできた花嫁と春
体に力が自然と入る程冷えた空気が漂う中庭
そこに鎮座する教会は
珍しく舞う粉雪で、より白き光に染まり悠然と立ちます
鍵を開け、重い扉を開くと後ろから柔らかな声たちが私の視線を動かします。
「ありがとうございまーす」
寒さを凌ぐ厚手の上着から覗く煌びやかな衣装に身を包んだ数名の女性
声の主は彼女たちだ
黄金色に煌めく衣装たちの中に
ハラハラと舞う粉雪のように白く輝く女性が一人
開いた扉の中へと冷たい風と共に飛び込んできたのは
粉雪のような花嫁様
続けて駆け込むのは、黄金色のブライズメイドの皆様
本日は新婦様と仲の良い友人だけでの写真撮影
私は邪魔をしないようそっと外そうとしましたが、カメラマンなしでの撮影の為、友人のどなたかがカメラマンとしてローテーションしている様子
「よければお撮りしますよ」
素敵な笑顔の数々に私の指は止まることはなく
ポージングのご提案まで
その瞬間のお手伝いを目一杯楽しんでいる自分がいて
自然に体の力が抜けていました
「ありがとうございましたあー」
暖かな風は教会の扉から飛び出していきました
「ありがとうございました」
深々とお辞儀をした私
突然飛び込んできた今日の時間
寒さ厳しい中庭で
教会の中だけは先取りの春でした
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