1月25日(巣ごもり18日目) 中国の水際対策は徹底している

東京都-新型コロナ対策パーソナルサポートのLineメッセージより

現在の重症者(速報値)は148人、本日の患者の発生状況(速報値)は618人、うち65歳以上の高齢者は121人、検査実施件数は7,161件(目安となる3日前の件数)です。

新規患者発生数が目立って低減してきた。喜ばしい。でも、昨日に引き続いてのこの急減はどう解釈すればよいのだろう。facebook の友人たちも少し戸惑っているようだ。巣ごもりが効果を出しているのなら、努力が報われたことを喜んで祝杯をあげるべきだろう。でも、実効再生産率が大きく変化するような施策があったっけ?イギリスや南アフリカの変異ウイルスがひたひたとやってきているのを感じるなかで、どうしてこんな嬉しい変化が起きるのだろう。コロナ禍でうかつに楽観的な考えを抱いてあとでがっかりするよりは、事前に慎重に悲観しておいて、あとから思いがけない喜びを味わうようなメンタリティになってしまったのかもしれない。患者の発生状況が改善したのは東京だけではなく、緊急事態宣言下にある他の都市でもだいたい似た傾向だというから、もうすこし希望を持ってもいいのかもしれない。でも、週末から火曜日にかけてはなにかとノイズの多い統計値が出ていたから、まずは今週の木曜の様子を注視することにしよう。

さて、一年と二日前に武漢では都市封鎖が始まり、それから二日後、つまりちょうど一年前の今日、武漢に住む作家の方方さんが武漢日記の執筆を始めた。この日記は都市封鎖から二日遅れて始まり、封鎖解除の希望が見えた三月二十四日(私はうるわしい戦いを終えた)まで続き、60篇を数える。武漢日記の最初は過去に検閲にあってブログが封鎖されたこと、そのブログが利用できるようになっていることを期待しつつ、上海の編集者に薦める「籠城記」を書くことになって経緯が説明されている。

二つの封鎖。都市封鎖と言論の封鎖。方方さんは概ね一貫して都市封鎖を支持し、むしろ封鎖するまで手を打たなかった地方政府を批判している。反面、ネット左翼(日本ではネット右翼だが、中国で過激な言論を動かしているのが体制派の左翼になるのは面白い)の動きに呼応する、言論封鎖には厳しく批判している。もっとも中央政府については、日記全体を通して一度も触れていないようだ。都市封鎖のなかで理性的な文章を書きながらも、危険な一線を認識して、その手前で弁えていることが見受けられる。その点、ときとしてやっかいなことにはなるものの、逮捕まではされない日本にはまだ自由がある。

今日は facebook の「新型コロナのインパクトを受け、大学教員は何をすべきか、何をしたいかについて知恵と情報を共有するグループ」でウイルスの普及について気になる投稿を見つけた。忘れないためにここにメモしておくけれども、もうすこし頭の整理が必要なので、この話題はもうすこし寝かせておく。

今日は大学院生との研究ミーティングがあり、中国人学生とも数日ぶりに話した。一年前の旧正月の帰国を逃した彼は優良企業への就職を決めた今年こそは実家で旧正月を過したかったらしい。二週間の隔離期間も「修士論文を書くのは下宿も隔離用のホテルも同じですから」と言い、元気に帰国していった。同じ飛行機に人々はまとめて隔離用のホテルに収容されたらしい。隔離期間中に北京では二週間の隔離を過ぎた人物からのクラスタ発生が報告され、隔離期間が三週間に延長されたそうだ。

母国とはいえ、知人のいない隔離ホテルで過ごすのは不安ではないかと思ったのだが、「最終発表の準備が忙しいですし、食事はおいしいし、けっこう幸せです」と案外、けろっとしている。車で40分程度の実家からときどき家族が顔を見せ、差し入れを持ってきてくれるという。友人ともビデオ電話しているらしい。

「隔離期間が三週間に延長されたのは残念だったね」
と伝えると、それには同意しながら

「二週間の隔離が経過したら自宅に戻れないこともないんです。ただ、その場合、家の人はどこなに行かないといけないんですけれど」

だそうだ。つまり、隔離期間の三週目はホテルの外で過ごすことが認められるが、隔離は完全な実施が求められ、三週目であっても家族にすら出会えないらしい。

ここまで厳しい施策を打っているのか、中国は。この徹底した水際管理に脱帽した。中国が感染制御に成功している一因に徹底的な水際対策があったことも追記する必要があるようだ。

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