1月10日(巣ごもり三日目) 新成人おめでとうございます

今日はめずらしく夫婦そろって寝坊をしたので、ブランチに二種類のスープとお餅とをいただきました。ぐうたらな朝だったのみ、見事な快晴に恵まれたので午後から近くの公園まで妻と散歩に出かけて11,000歩。途中、葉を落した桜並木のベンチに腰掛けながら、梢に宿る小鳥たちを愛でながら過ごしました。メジロ、オナガ、もず、鳩のほか、名前も知らない様々な鳥がいました。冬は鳥が隠れる葉っぱがないので、よく見えますね。

さて、今の学期は計算に関する授業を担当しています。コンピュータを用いた計算によって、何が達成できるのか、どのように達成できるのか、どのくらいの効率で達成できるのか、達成できない問題はあるのかなどといったことをプログラミングを交えながら学ぶ科目です。この内容を東京工業大学の初年次全学科目として提供しています。東京工業大学は数年前の教育改革以来、初年次教育は専門性によらずごちゃまぜのクラスを構成して実施しています。ひとつのクラスには、将来、物理を学ぶ学生、土木工学を学ぶ学生、生命科学を学ぶ学生、電子工学を学ぶ学生、セラミックを学ぶ学生、建築を学ぶ学生、素材科学を学ぶ学生など多様な人を混ぜることにより、知見を広めたいというのが狙いです。新型コロナの時代の新入生は遠隔授業主体の教育体制になって、そういった横の繋がりをつくれないことは気の毒です。

月曜日開講のこの授業ですが、今週は三連休のために明日は授業がありません。成人式と重なっているのです。

でも、今年の成人式は、直前から非常事態体制(そういえば非常事態宣言の発出という重要なスピーチにあたって、首相は「非常事態を実施する」と妙なことを言っていました。非常事態はあくまでも世の中の現象であって、実施するものはその切羽つまって非常事態にあたって、政府が考え出す施策のはずです。それに名前があるのかないのかよくわからないので、この日記を書くにも苦労しています。)にはいったので、関係の方々には大変なご苦労があることと思いますし、せっかくの企画がおじゃんになったのは残念でしょう。急遽、変更した企画がうまく実施できることを望みます。

そして、新成人のみなさんは楽しみにしていた企画が直前でなくなってしまってさぞかし残念がっていることでしょう。特に過去一年は、友人との交流が思うようにできなかったから、一層、成人式で久しぶりに出会うことを楽しみにしていたんじゃないかと思います。ぼくが教えている学生には、地方から出て来て、アルバイトで生活費と学費を稼いでいる苦学生もいます。コロナ禍に働き先を探すことも大変なんじゃないかと心配しています。高校を出て、都会で働き始めた人は新しい土地で未だに友人を作れなくて心細い思いをしているんじゃないでしょうか。今年の成人式は、去年の春に高校を旅だって半年ちょっとのあいだの互いの経験談を交しながら、大人になった様子を見せあい、この間の辛さを慰めあう貴重な機会だったはずです。それが元々、企画した形で実施できないのは、本当に残念です。

でも、人生というのは面白いもので、会うべき人には会うべき時期にきっと会えます。実際に会えなくても、心のなかで思っていれば、あとで振り返ってみれば「まさに会うべきタイミングで会えた」と思えるものです。しょげすぎないで下さい。腐らないで下さい。みなさんにこんなことを書くのは酷でしょうが、国が無謀な戦闘を続けている戦場に放りこまれるわけではありません。このコロナ禍はいつ収まるのか見通すことはできませんけれど、あと二年もすれば相当、下火になるでしょう。それまで辛抱です。どうかこらえて下さい。そして、新成人、おめでとうございます。きっと今の体験でみなさんは他の世代のかつての新成人よりもずっと磨かれているはずです。

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