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AIと著作権に関する考え方について(素案)に関する意見

意見を述べる機会を賜り、ありがとうございます。素案のおとりまとめに感謝申し上げます
 
提出した意見は所属組織、研究会や団体と無関係な個人の意見です。
提出した意見はこのnoteに公開しました。
https://note.com/kvaluation/n/n05e05baf87f6
字数に応じて複数に分けて提出します。

全体の要約

情報解析は、学習する著作物の種類と異なる種類の出力をするものが該当し、同一種類の出力をする生成AI・大規模言語モデルの学習は情報解析ではないため30条の4の対象外と考えます(第2)。

また、30条の4は強行規定ではないため、契約によるオーバーライドができます。それを前提とした案内ができると良いです(第6)。

この数ヶ月、学習に対して対価が支払われる事例があり、学習に対価が支払われるのであればそれは享受利用と考えます(第2)。つまり、イラスト、写真や新聞記事は学習の許諾について市場が発生してきており、もはや無料ではないため、無許諾の学習は享受利用となり、または著作権者の利益を不当に害します。

海賊版との関係性は重要であり、事例を想定した損害論を検討すべきです(第5,第4)。

今回の多くの意見を受けて、素案を更新後、著作権分科会で3回程度は議論いただき、田村善之委員や、高部眞規子委員のご発言等を賜りたいです。今後の方向性を示す貴重な情報となります。また、多くの団体の方が著作権分科会にご所属ですので、それぞれの団体の意見も知りたいです。

参考文献(noteに追記2/13, 意見では提出済み)
中山信弘『著作権法』[第4版](2023, 有斐閣)
田村善之『知的財産権と損害賠償』[第3版](2023, 弘文堂)
田村善之『知財の理論』(2019, 有斐閣)
高部眞規子『実務詳説著作権訴訟』(2019, 金融財政事情研究会)

■第1 イノベーションとの関係性(機械学習地獄)

項目 2(2)ア
 
意見1.1
「大量の情報を集積し、組み合わせ、解析することで付加価値を生み出す新しいイノベーションの創出が期待されている」
 との記載に反対する。
 期待されていたら、著作権法はどうすべきなのかが不明確である。
 下記の中山信弘先生の記載を参考に、著作権法が産業発達(イノベーション)の「足を引っ張らない」「邪魔をしない」というマイナスの影響を避ける表記が適切であると考える。
 
理由と背景
 中山先生は、平成30年改正の47条の5に関して、日本の検索エンジンが成功しなかったことに言及なさり、「仮に著作権法がその邪魔をしていたとすれば遺憾なことである」(中山[2023]第493頁)、と述べている。
 また「著作権法が産業発展の足を引っ張るようなことがあってはならない」とも述べている(同第521頁)
 
 イノベーションと著作権法の関係性を明確にすることなしに、著作権法が規律すべき範囲を明確にすることはできない。
 平成30年改正時には、「機械学習パラダイス」「機械学習天国」といわれ、生成AIの学習および出力は境界なく合法で、なにをしてもよい、という誤解が広まった。
 
 その結果、特定のイラストレーターの著作物を学習し創作的表現が再生されている出力が無許諾で販売され、多くのイラストレーターが生成AI出力ユーザーにまとわりつかれて病み、生物の偽画像が出回り研究者を驚かし、未成年者やスポーツ選手やアナウンサー、女優などあらゆる女性のポルノが生成され、極めて大量の偽画像がインターネット中に広まり、検索結果が生成AI出力の正しくない情報で汚染されてしまった。
 取り返せない大量の致命的な結果をもたらしてしまった。地獄である。
 
 最低限、生成AI出力であっても、従前違法だったことは違法だという理解なり想像があれば、国内にここまでの社会問題が広がることはなかったと想定できる。
 
 機械学習パラダイスという用語が一人歩きし、クリエーターの人格が損なわれ、デジタルの情報空間が偽情報で汚染され、結果、機械学習地獄を生み出した。
 
 著作権法は、産業発達の邪魔をしなければ良い。著作権法がイノベーションを推進しなくとも良い。より正確には、できないのだから、パラダイスであるなどという方向性の期待をさせてはいけない。保護と利用の一方が天国であるかのような案内は、法学がすべきことではなかった。
 
 表現なり創作は、感受性の高い、センシティブで予想が付かない行動をする人たちがその他一般社会よりも多く、わが国でも、創作なり著作権の周辺で、大量殺人の事件や、つい最近も悲しい自死があった。
 
 この点、例えば、島並先生が次のようにつぶやいておられる。大変に重要で根源的な基盤である。
 
 「「私の作品」をめぐり過大な保護を求めた人が大量殺人を、適切な保護を得られなかった人が自死を。著作権制度・思想の教育や普及と並び、制度そのものを分かり易く使い易いものへと変えていかないと。」
https://twitter.com/shimanamiryo/status/1752124747503333562
 
 そこにセンシティブな人間がいるという大前提で政策を立案し情報発信する必要性が極めて高い。
 
意見1.2
 創作者や著作者の犠牲を前提としてイノベーションや成長を追うような政策は間違えており、政府の新しい資本主義や人的資本可視化指針、価値協創ガイダンスや、日本に深く浸透している統合報告フレームワークでの人的資本や価値創造への考え方に沿うことが望ましい。
 イノベーションに言及するのであれば、最低限、これらの各種ガイダンスと整合性のある立案をすべきである。つまり、人的資本と価値創造を重視しなければならない。
 

■第2 情報解析の範囲と著作物のカテゴリー

項目 5(1)ア(ア)「AI開発のための学習を含む、情報解析の用に供するための著作物の利用に関しては、法第30条の4において権利制限規定が設けられている(同条第2号)」
 
意見2.1
AI開発の学習は、情報解析であるという理解に賛成する。
 
理由と背景
 情報解析は、入力・学習する著作物の種類とは違う種類の内容を出力するという傾向がある。
 
 中山信弘先生は47条の5第1項2号の「情報解析」について、30条の4第2号の定義と同じとしつつ、事例で説明している。
 「例えば川端康成の小説の中である特定の文字がどの程度用いられているか、現在のウェブサイトにはどのような言葉が多用されているか、ということを調べるためには該当著作物の全文を、あるいは論文剽窃検索サービスを行うためには剽窃される可能性のある著作物の全文を電子計算機内に蓄積(複製)した上で解析する必要がある」
 「従来はそのような複製・翻案は形式的には違法とされていたが、そのような利用がなされても、それは著作権者のマーケットと競合するものではないので著作権者の利益を害することは少ないのに対し、それを違法としたのでは情報解析の発展を阻害し、社会的に大きなマイナスとなる」(中山[2023]第498頁)
 
 この事例では、学習対象である小説やWebサイトと、情報解析結果である単語のヒストグラムやおそらくは共起などは著作物としての種類が異なる。著作物としての種類が異なるからこそ、「著作権者のマーケットと競合」しない。
 コンテンツとして変容的であり、市場における潜在的価値を害しない変換である。
 
 また、中山先生は、30条の4第2号につき「本号で許されるのは情報解析の用に供する利用であり、他人の著作物そのものを外部に提供・提示するものではないので、未公表著作物でも利用できる。解析された結果は利用される著作物の表現とは異なるものであろうから、その結果をどのように利用しても自由であり、解析結果の譲渡や公衆送信も可能である(中山[2023]第399頁)」と説示している。
 
 情報解析に該当すれば、説示の通りだが、「他人の著作物そのものを外部に提供・提示するもの」は、情報解析にあたらないという前提がある。未公表著作物が学習された結果公開されたら「著作権者の利益を不当に害する」(30条の4ただし書き)に該当し著作権侵害になる(同397頁)。
 
 「解析された結果は利用される著作物の表現とは異なる」前提で、結果利用できるとしている。つまり、解析された結果が学習された著作物の表現なのであれば、30条の4の対象外である。
 
 機械学習なり深層学習は情報解析であるが、著作権法が想定している情報解析は、第1に、学習と結果(出力)で著作物の種類が異なり(変容的)、第2に、著作権者のマーケットで競合しない。この2点が認められるときに著作権侵害とならないのは、米国フェア・ユースとも親和的であり、国際水準に近く、著作権者にとっても納得的である。
 
 素案は、この情報解析なのかどうかの分析が足りず、市場に混乱をもたらしている。30条の4の廃止論や、多数の意見提出や、イラストレーターの使用サイトの大移動があった。X (旧Twitter)のプロフィールに「AI学習禁止」と掲載しているクリエーターは数え切れない。
 
意見2.2
 素案は、情報解析となる場合とならない場合の区分を解説すべきである。学習と出力の種類の違い、著作権者のマーケットでの競合(代替性)の2点で区分することが望ましい。
 特に、学習する著作物と同一の種類の出力をする生成AIの学習や出力は、情報解析ではないとすることで、妥当性と納得性の高い結論を得ることができる。
 
理由と背景
 海外新聞社が提起した訴訟で新聞記事がまるごと出力された証拠が示された事実や、画像生成AIシステムが映画のシーン、ゲームやアニメのシーンやキャラクターを正確に出力している昨今の事実によれば、2024年2月現在の生成AIは、学習した著作物と同一の種類の著作物をセミプロ級で出力する、情報解析を超えた何かであり、変容的で市場における潜在的価値(競合)をもたらさない存在ではなく、直ちにフェア・ユースであるとはいえない「新しい存在」である。
 

■第3 対価の機会と享受利用

意見3.1
項目 5(1)イ(イ)「複数の目的の内にひとつでも「享受」の目的が含まれていれば、同条の要件を欠く」との案に賛成する。
 
意見3.2
2(2)ウ 享受目的かどうかについて「著作物等の視聴等を通じて、視聴者等の知的・精神的欲求を満たすという効用を得ることに向けられた行為であるか否かという観点から判断される」という整理は、原則賛成だが、プログラムやプログラムに近いコンテンツの場合が対象外となっているため、プログラムの場合にどう考えるかの併記が必要である。
 
理由と背景
 プログラムについての検討が素案に記載されていないが、検討をすると、「対価徴収の機会が失われるような利用行為が享受行為ともいえよう」という考えにたどり着く筈である。しかし、対価と享受目的の関係について整理されておらず、不完全である。
 
 昨今、AIシステム企業は著作権者に学習の対価を支払い始めており、学習の対価という新しい著作権の市場が生まれ始めている。学習には市場価値があるのであるから、その対価徴収の機会が失われるような利用行為は、享受行為であり、市場価値がある学習は30条の4に該当せず、無断学習は著作権侵害となる。
 
 まずプログラムについて、中山先生は30条の4第3号についての解説で「プログラムの実行が理論上思想・感情の享受といえるかという問題点は措くとして、そのような場合には人により知覚されることがなくても享受はあると考えるべきである」と述べている。
 さらに(プログラムの)「実行を権利制限の対象としたのでは、プログラムの著作物を認めた意味がなくなる、つまりプログラム著作物の対価徴収の機会がなくなるからである。逆に言えば、対価徴収の機会が失われるような利用行為が享受行為ともいえようが、」(そもそもプログラムを著作物で保護すべきか)(前掲中山第400頁)
 
意見3.3
 プログラムが著作物であることを正面から検討し、「対価徴収の機会が失われるような利用行為が享受行為ともいえよう」(前掲中山第400頁)という、「享受」に関する本質的な解釈をすべきである。
 
理由と背景
 現在、学習に対して対価の支払いがなされており、イラストや写真、新聞記事等について新たな市場が生まれている。
 
 例えば、AI時代の知的財産権検討会 第5回「論点整理 -これまでの議論の振り返り-」(参考資料)では、Shutterstock、Adobe、Getty等がコンテンツの学習提供者に対価を支払った事例や、OpenAIが過去のニュースコンテンツへのアクセス許諾を受けた事例が記載されている。Appleが記事等の学習に70億円程度の支払いをしたという報道もあった(読売新聞2023年12月23日)。
 
 絵画、イラスト、写真、新聞記事については、学習に対して対価の支払いがなされている。「対価徴収の機会が失われるような利用行為が享受行為」であるから、絵画、イラスト、写真や新聞記事、その他学習に対価が支払われる市場のある種類の著作物については、著作権者に無断での学習は対価徴収の機会を奪うものであり、そのような学習は享受行為である。
 
意見3.4
 制限規定の3層モデルでは、対価が支払われている種類の著作物は、享受行為であるから第1層の30条の4の対象ではなく、それでもなお著作権を制限する必要がある場合、何らかの公益目的のもとでの権利制限と解されるから、第3層に規定しなければならない(規定して欲しいわけではない)。
 第3層で、対価徴収の機会がある著作物の学習について、産業政策等の公益目的で国家が強制的に学習を無料とするのであれば、著作権者に対する生活費の補償等が必要となろう。
 
理由と背景 
 もちろん、著作権法はそのような産業政策のための法ではなく、文化庁は産業政策を担当する省庁でもない。単に、産業発達の阻害とならないような一定の配慮が必要であるという趣旨に止まる。
 
意見3.5(まとめ)
 従って、学習に対する対価という新たな市場がすでに生じた著作物について、享受利用ではなく、30条の4の対象外であることを明確化すべきである。少なくとも、学習に対する対価の市場がすでに発生している著作物について、享受目的ではないといえるのか、プログラムが著作物であることとの整合性を確保しつつ、示すか、または沈黙すべきである。
 
意見3.6(その他)
 30条の4「当該著作物に表現された思想又は感情を他人に享受させることを目的としない場合には」の「他人に享受させることを目的」には、享受してもらうための準備が目的として含まれる。すると、例えばイラストについて、優しい、可愛い、強いなどの形容詞等で表現される思想感情を享受する際の感受性に結びつけようとする学習は、享受目的があるといえる。
 つまり、イラストを生成できる大規模言語モデルの学習に際して、享受目的のキーワードを付した学習は、享受目的がある。情報解析として、画像認識の精度を高めるために動物の名前や物の名前をタグとして付ける学習とは異なる。
 

■第4 著作権者の利益と「侵害の行為がなければ販売することができた物」

5(1)エ(ア)
 
意見4.1
注18「技術の進展等により、現在想定されない新たな利用態様が現れる可能性もあること、著作物の利用市場も様々存在すること」との整理を素案に含めることに賛成する。
 
意見4.2
 素案の「将来における著作物の潜在的販路」との表現に反対する。
 
理由と背景
「将来の市場における潜在的価値」や競合するかどうか、代替性があるか、その将来の市場はどのようなものかなどが考慮要素であり、販路だけではなく、市場そのものが「様々存在する」のである。
 この「将来における著作物の潜在的販路」は、著作物の潜在的価値よりも狭く、なぜこの条件なのか、どれだけ裁判所を拘束するものなのか不明確であり、確定的な書きぶりとすると誤解を生じかねない。
 「当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様」は、米国フェア・ユース規定にある用語であり、一方、「潜在的市場又は価値(への使用の影響)」の字句が含まれていない。フェア・ユース規定を参考とするとしても、しないとしても、「販路」では狭すぎる。「著作物の利用市場も様々存在すること」を想定した考慮事項とすべきであり、潜在的市場や潜在的価値という程度の抽象化は優れている。
 
5(1)エ(イ)アイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることについて
 
意見4.3
 アイデアと表現の二元論は確かに重要ではあるが、個別の条文の解釈に直接適用しようとするのは乱暴ではなかろうか。賢く場合分けし、他の条文との関連性を明らかにすべきである。
 
理由と背景
 まず、最近の生成AIは、新聞記事にせよイラストにせよ映画のシーンにせよ、学習した著作物そのものを出力することもあるから、生成AI出力が著作権侵害となる場合を想定すべきである。
 
 生成AI出力物について侵害論が認められ、損害論に入ると、114条1項1号を検討することになる。1号の「著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額」に、著作権者の利益が規定されている。これは、侵害者の侵害品の一定の譲渡数量に掛けることで損害額を求める利益額である。
 
 重要なのは、「著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物」は、侵害が認められた著作物の「商品と侵害者の商品は同一の物である必要もなく、また同じ支分権の行使である必要も無い」のであり、市場における代替性が求められる。(中山[2023]第797頁から第798頁,田村[2023]第440頁)。
 
 代替性がある著作権者の商品群としては、「作風や画風といったアイデアが類似するにとどまる」表現の商品が含まれる可能性がある。イラストでは、あの作品Aを書いた人にお願いしたい、という既存の作品を起点として、その作風や画風で対象モチーフの作品Bが発注され、受注することは一般的である。
 
 作品Aの著作権が侵害されたとき、その侵害の行為がなければ作品Bを販売できたのであれば、作品Bの利益に基づいて作品Aの損害額を算出するのである。作品Aの創作的表現が侵害品で再生され(類似し、または本質的特徴が再生され)ていて、侵害品と作品Bに市場における代替性があれば、作品Aと作品Bが作風や絵柄の共通性にとどまり創作的表現の類似性がなくとも、作品Bの利益は作品Aの損害額になるのである。つまり、作品Bという作風や絵柄だけ共通する作品Aの著作物の著作権者にとって、市場で侵害品と代替性のある作品Bの利益は「著作権者の利益」(114条1項)なのである。
 
 この114条1項1号の利益を、30条の4ただし書きの利益と考えることができるか否かについては、ただし書きに「当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様」との規律があることを考慮する必要がある。
 
 当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様を吟味した結果、市場における代替性とほぼ重なる場合、114条1項1号の利益概念と30条の4ただし書きの利益概念には共通性があることになる。アイデアかどうかではなく、市場における代替性や、著作物の種類等を吟味すべきであり、その際に、アイデアは保護されないということを念頭におくのは良いが、まずは条文の規律するところを解釈すべきであり、そうしなければ、裁判の予見可能性を高めることはできない。
 
 著作権法は、これはアイデアだ、表現だ、という区分だけで決まってしまうようには、なっていない。
 
 情報解析(学習)対象が、著作物であり、かつ、非享受利用であるが、著作権者の当該利益を害するケースを想定してみよう。
 
 ケース1 生成AI出力が、学習した著作物と同じ種類(カテゴリー)の出力をした場合、例えば、小説を学習して小説を出力したり、イラストを学習してイラストを出力する場合、情報解析とはいえない可能性が高く、享受利用となると解される。しかしそこを突破して非享受利用となった場合、イラストならイラストというおなじカテゴリーで同じ市場となる。
 創作的表現が再生されていて侵害の場合と、再生されておらず非侵害の場合があり、非侵害の場合でも、市場における代替性はある場合と、ない場合がある。
 いずれも、著作物の種類が同じ、用途が同じ、利用態様も同じで変容的でない。
 
 1A 生成AI出力が侵害の場合、学習で非享受利用であっても、出力に市場で代替性があり、30条の4ただし書きに該当し、学習も侵害として良いだろう。
 
 1B 創作表現の再生がなく出力は非侵害で、非侵害品と権利者の作品が市場での代替性がある場合、著作物の種類が同じ、用途が同じ、利用態様が同じで、市場での代替性があり、学習対象の潜在的市場における価値があったのだから、生成AIの出力が非侵害でも、学習が侵害という可能性はあるだろう
 
 「不当かどうか」という要件がどの程度重視されるかでさらに判断が分かれる可能性があり、意図的な追加学習の場合、不当であり、利用態様の共通性が高まり、追加学習という侵害行為により、非侵害品による売上減があった、という相当因果関係が認められる可能性もあるだろう。
 
 1C 非侵害で代替性も無い場合、比較的、著作権者の利益を害さないという結論への賛同が得やすいと思われる。イラストで、かつ代替性がない場合は、生成AI出力画像が、その著作権者の作品ではないことが明らかで、生成AI出力であることが明記されており、その質も大きく劣化している場合、市場における代替性がないとして、学習の違法性はない、という結論となる可能性がある。市場の競争状況をよく観察する必要がある。
 
 上記のように、アイデアかどうかではなく、市場における代替性や、「当該著作物の種類及び用途並びに当該利用の態様」の条文をみるべきではなかろうか。
 
 ケース2 生成AI出力が学習した著作物と違う種類(カテゴリー)の出力をした場合、例えば、小説を学習して、キーワードの出現頻度や共起ネットワークを出力したり、イラストを学習して色彩の使われ方(ポートフォリオ)を出力するような場合である。
 情報解析に関する権利制限規定は、本来的には、このような、出力が著作権侵害にならない中間的な利用を想定していたと思われる。この例では、学習に対する対価の市場が存在するかどうかで場合分けすると良い。イラストを学習し、使われている色や線の特徴を抽出する情報解析が行われ、イラストではなく分析表の文章と数字が出力されるとする。
 著作物の種類が異なり、用途も異なり、利用態様は変容的である。
 
 2A 学習の許諾市場がある場合、学習自体が享受利用とも解されるが、突破して非享受利用になったとしよう。学習の許諾市場があるのに、無許諾で学習されてしまっては、直接的に著作権者の利益に害する。
 引用と異なり、無許諾での利用を認めるべき文化的価値は高くなく、イノベーションの推進のためには学習の許諾市場で取引すれば良いのであって、第1層の権利制限規定で、著作権者の経済的犠牲を公益目的があるとして法で強制することはできない。
 法解釈としては、学習の対価を得られなかったことが著作権者の経済的利益を不当に害することとなろう。ただ、変容的で著作物の種類も異なるから、出力に対しては著作権者はなんら利益を害されていないと想定できる。
 
 2B 学習の許諾市場がない場合、情報解析であるから非享受利用であり、学習したイラストの著作物と分析表の出力では変容的で種類も用途も異なるため、不当に害する著作権者の利益は発見できない。
 
意見4.4
 作風・画風については、アイデアは保護されないことから出発するのではなく、条文の解釈を鮮明化する場合分けを探った検討が望ましい。学習と出力で著作物の種類が同じかどうか、出力が著作権侵害か、侵害者の販売品と著作権者の販売品が市場で競合するか(代替性があるか)などが場合分けの区分となり得る。
 
意見4.5
 また、生成AI出力が著作権侵害であることを出発点として、損害額をどう計算するか、場合分けもしつつ例示できると、作風・画風に共通性がある場合について、侵害とならなくてもその利益を守るように著作権法ができあがっていることの理解も深まるだろう。
 
理由と背景
 損害額の計算例のたたき台を示す。
 
 著作権者はあんパンのイラストとクリームパンのイラストを販売していて、侵害者はあんパンのイラストを侵害したとする。著作権者は、あんパンのイラストを販売するが、在庫がなくなると作風や絵柄が同じクリームパンの高額のイラストを販売していた。
 著作権者のあんパンのイラストとクリームパンのイラストでは創作的表現が再生しているかどうか微妙であり、侵害品とクリームパンのイラストは市場で代替性があるとする。
 
 裁判で侵害が認められて、損害論に入った。侵害が認められた複製が100円で1万枚、無料で10万枚ダウンロードされたとする。
侵害者は売上で100万円得た。
 
侵害者の利益を吐き出させようとすると、この100万円から経費分(著作権者の変動費)を引いた額が損害額となる。
 
しかし、著作権法114条1項は、著作権者にとって「侵害行為がなければ販売することができた物」の「単位数量当たりの利益額」を、侵害品の譲渡数量に掛けろという。
 
侵害者の譲渡数量に、著作権者の利益額を掛ける。
 
ケース1
侵害品を利益200円で販売しており、1万枚のうち2000枚は100円と安価でかつ侵害者からだから売れたとして、8000枚は権利者が売るはずのものを奪ったとする。
すると、200円 x 8000枚で160万円が損害額
 
侵害者は、少なくとも60万円は赤字になる。
 
ケース2
侵害品(あんパン)を利益200円で、侵害品と作風の近い別作品(クリームパン)を利益600円で販売していたとする。同数販売していたとすると単位数量当たりの利益額は加重平均で400円になる。
そして、侵害品がなければクリームパンも売れていたのならば、単位数量当たりの利益額はケース1の2倍の400円で、損害額は倍の320万円になる。
 
ケース3
侵害品が無料で10万枚ダウンロードされている分も考えよう。
 
著作権者の作風の顧客吸引力が強力で、ブランド価値も高く、販売力が高く、侵害者が著作権者になりすまして販売したりダウンロードさせたりしており、AI出力であることも一見判断できないような画像だったとしよう。
侵害者が著作権者の著名性にフリーライドしており、生成AI出力であることも隠して販売し、その譲渡数量は、すべて著作権者が販売できたようなケースである。
 
100円で1万枚の全部と、無料の10万枚の全部が、著作権者であれば利益400円で販売できたとする。この場合の損害額は、
 
 単位数量当たりの利益の額400円
x譲渡数量11万枚
= 4,400万円である。
 
 侵害者が販売したのは100万円だから、4,300万円の損害額が赤字である。侵害者が中小企業であっても、昨今数千万円の損害額は認容され得る。
 
ケース4
 著作権者のあんパン、クリームパンの関係はケース2と同様として、11万枚のうち、安価だったり無料だから侵害者が販売等できたのが6万枚と認定されたとする。
 著作権者の利益を奪う販売が残りの5万枚である。
 
 5万枚 x 400円 = 2,000万円の損害額。
 
残りの6万枚については、侵害者が無料でダウンロードさせていたとしても、権利者は無料配布しておらず、ダウンロードの使用許諾を1ダウンロードあたり60円にしていたとすると、使用許諾の対価を得られていない分が損害である。
 
 通常の取引で、60円の支払いがなされていたことが確認できたとする。これは、著作権侵害にならない可能性があるのに60円を支払っていて、著作権侵害であることが確定した後に払う場合、同額だと侵害した方が得である(侵害を発見されず逃げ切れれば0円、支払った者は著作物性がないことが確定しても通常ライセンス料は返金しない)。
 
 この侵害し得を避けるため、現状、ざっくり、訴訟では倍額で認定されやすくなっている(著作権法114条5項)。つまり、60円ではなく、倍の120円となる。この増額分は、侵害プレミアムともいわれる。
 
 6万枚 x 120円 = 720万円
 
 合計、損害額が2,720万円になる。販売できた売上が100万円なのに、権利者の経済状態によっては、損害額は巨額となる。無料なんで、と侵害者が主張しても著作権者の損害は無料ではなく、許されない。
 
意見4.6
 侵害品が、著作権の一部である場合、損害額を減額するかどうかにつき、「当該部分の著作権者の製品中における数量的割合のみならず、その位置づけや顧客誘引力等の事情を総合的に考慮すべきであろう」(髙部[2019]192頁)と解される。参考(田村[2023]第444頁 - 448頁、特に446頁のロケットの事例)。
 生成AIは著作物の一部のみを出力画像中に再生することがあるが、その部分に顧客吸引力があれば、減額することなく損害額を認めるべきである。一方、侵害の出力画像に複数の原画像が使用されている場合、顧客吸引力のある部分に多く配分しつつも、一定の配分比率を採用することも可能と考える。
 

■第5 侵害プレミアムと海賊版

項目 5(1)エ(オ)海賊版等の権利侵害複製物を AI 学習のため複製することについて
 
意見5.1
 海賊版について、令和5年改正との連続性を確保すべきである。
 
理由と背景
 海賊版被害等の実効的救済を図るための損害賠償額の算定方法の見直しとして、114条1項に2号が追加され、5項に、侵害プレミアム加算規定が追加された。
 
 生成AIシステムが海賊版から学習した場合、欧州では違法だが、わが国では議論があり、小委員会でも帰一するところはない。
 
意見5.2
 114条1項2号や、3項の相当利用料賠償額について、海賊版からの学習であることが判明した際に、事後的に、5項の侵害プレミアムをどう解釈できるかなどの検討をすべきである。
 
意見5.3
 また、114条2項について、機械学習に伴って海賊版サイトが得た利益を吐き出させる方策も検討すべきである。
 
理由と背景
 令和5年に海賊版被害等の実効的救済を図ったばかりであり、その直後に、海賊版サイトに経済的利益をもたらすような解釈案を公開するのはあまりに統合的でない。
 
 現在、例えば児童労働酷使の問題では、バリューチェーンの人権問題として各社がトレーサビリティに取り組んでおり、把握と開示を進めている。海賊版についても、海賊版を利用していないことの透明性を社会的に把握していくことは可能である。
 海賊版が学習される場合著作権者の損害はより大きいというだれもが持つ直感に従った検討や研究が望まれる。
 「現に慎むべき」といった発信をすれば良いのではなく、漸進的な取り組みとして官民が協力できるような仕掛けを構築すべきである。
 
 生成AI出力が著作権侵害となる場合の損害賠償論を検討していくことは、その一歩となり得る。
 
意見5.4
 第4で提出した損害額の事例のような仮想事例から、海賊版の場合に確保すべき秩序を、まずは机上でも良いから構想すべきである。
 侵害プレミアムの増額や、規範的主体論の応用問題として生成AIシステムの企業と海賊版サイトとを同一視するような推定も考えられる。
 
 

■第6 学習禁止契約の効果

意見6.1
5(1)エ(エ)「著作権者が反対の意思を示していることそれ自体をもって、権利制限規定の対象から除外されると解釈することは困難である。」
とあるが、30条の4を始め、著作権法の制限規定は、強行規定ではないと解されており、シュリンクラップ契約やWebサービスのユーザー規約、連絡窓口となるようなSNSのプロフィールでの表示によって、AI学習禁止についての薄い合意が成立する可能性があることに、留意すべきである。
 
理由と背景
特に、現在、X (旧Twitter) では AI学習禁止 とプロフィールに記載しているクリエーターが圧倒的多数であり数え切れない。市場の現実は「AI学習禁止」であり、デファクトルールや慣習として無視できないだろう。
 
髙部先生は「著作権法の権利制限規定に定められた行為であるという理由のみをもって、これらの行為を制限する契約は一切無効であると主張することはできず、いわゆる強行規定ではないと解される」と説示している(髙部[2019]第238頁)。
 
30条の4を契約によりオーバーライドすることによる影響は、個別の論点として言及されていないが、AI学習禁止を実現したい創作者や企業にとって重要であり、可能であれば素案で言及すべきである。
 
意見6.2
例えば、イラスト作画の依頼を受け、ラフ案と見積を提出する際に、ラフ案についてAI学習禁止の契約を交わすことが想定できる。生成AIは、ラフ案に着色をしたり視線や若干のポーズを変えるなどの自動処理ができてしまうため、AI学習禁止を条件としてラフ案を提示することは経済合理的である。
 
そのような契約では、発注者その他によるAI学習の禁止、学習した場合30条の4の適用除外や、イラストを出力できる生成AIへの学習は著作権者の利益を不当に害することの確認規定や、出力があった場合の損害額については著作権法114条を適用する他、ストリーミング回数や表示回数も114条1項1号の譲渡数量に含み、3項の相当利用料賠償額も定めておくなどが想定される。
 
30条の4の契約によるオーバーライドについて、このような具体例の検討をすべきである。
 
理由と背景
この契約による30条の4のオーバーライドがあるにもかかわらず、契約により禁止された機械学習がなされた場合、学習行為は債務不履行となる。学習が著作権侵害となるかどうかは不明だが、依拠があり生成AI出力の著作権侵害は導きやすいだろう。
仮に、学習した著作物の創作的表現が生成AI出力に再現されていない場合で、作風や絵柄に共通性がある場合、その出力が著作権侵害とならなくとも、作風が共通しつつ創作性表現が改変された場合、ラフ案の同一性保持権が侵害されている。
 
30条の4は、著作者人格権を制限できないから、損害賠償請求権は契約により発生させつつ、差止請求権を著作者人格権で行使可能とすることができそうである。
 
権利の制限規定は、特に、第1層の権利制限規定は、強行法規ではなく、オーバーライドされる範囲も大きい。30条の4が契約でオーバーライドできる範囲は、条約上の義務でもあり学術や社会に深く浸透している引用の場合と大きく異なる。つまり、30条の4は、削除すら提案されている条項であり、オーバーライドしやすい。
 
意見6.3
上記の契約によるオーバーライドをふまえて、学習禁止を実現する方策のグラデーションを示すべきである。(星の数に応じて学習禁止の合意が濃く、拘束力が強い)
 
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 ☆ 絵画・イラストに署名
 
 ☆☆ 学習禁止の意思表示(SNSやイラストサイトの作者プロフィールなど)
 
 ☆☆☆ 学習禁止の意思表示とパスワード等によるアクセス防止
 
 ☆☆☆ イラストに技術的保護をかける(Glaze, Nightshade等)
 
 ☆☆☆☆ 多くの著作権者が利用する定型約款があり、その定型約款に学習禁止条項があり、イラストのアクセスは定型約款への合意が必要とされている場合。イラスト管理サイトのユーザー規約でも良い。
 
 ☆☆☆☆☆ 特定の人と、学習禁止の合意を条件としてイラストへのアクセスを許諾する。例えば、見積段階のラフ提供など。
 
 ☆☆☆☆☆ robots.txtで学習禁止とし、アクセスを許諾しない。
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 どうすればAI学習を禁止できるのか、知りたいという要望が大きい。素案では、このような合意の濃さに応じたAI学習禁止の方策を示せると良い。
 
 自らが創作し管理するコンテンツを、AI学習させるかどうかの判断は、思想信条の自由であり、国家が法律で介入してはならない。学習させないための方策を客観的に中立の立場で示すべきである。
 
意見6.4
 データベースの販売を何らかの条件とする解釈論は採用すべきでない。
 
理由と背景
 データベースは、著作権法での保護に根源的な矛盾もあり、データベースの経済的価値がある部分は、著作権法で保護しきれないのである。
 データベースがあればAI学習禁止を導けるような素案は、結局、著作権で保護されない額に汗のデータ群をわざわざ作らせ、結果的に機械学習を無料にすることを導いている。
 「データベースの販売予定があれば学習禁止にできます」という説明は、データベースや著作権法を深く知らない人々には通りが良い可能性があるが、我が国のコンテンツの保護水準を大きく下げるものである。
 
 データベースとしなくとも、また、AI学習のために販売する予定がなくとも、AI学習禁止を実現できる方策を示すべきである。さもなければ、日本の極めて優れた価値を持つコンテンツ群が、単なるデータのリストになってしまうであろう。
 
 技術的には、インデックスがなくても大量のコンテンツを検索できる計算力が生じており、リレーショナルデータベース以外にもXMLやjsonのファイルもデータベースのように機能でき、データとデータベースの区別がなくなってきている。
 
また、大規模言語モデルはニューラルネットワークでイラストのRGBのデータを「分解して」、データベースのレコードに相当する粒度のデータをそれぞれのシナプスに入力し、不要なデータは切り捨てて、必要なデータだけ利用・学習しているから、1枚のイラストをデータベースとして扱っている。
 
大規模言語モデルからすると1枚のイラストデータはシナプスに入力されるデータ長のデータセットであり、データベースであるといえる。データとデータベースの切り分けはできず、素案にあるデータベースやAPIでの切り分けに技術的に意味がなく、著作権の契約等の実務を混乱させるだけであり、削除するか改めるべきである。
 

■第7 著作権分科会

項目 6最後に
 
 素案では、いくつか未検討の部分がある。第1は、市場と法の役割分担であり、学習について対価が定まる市場が発生している現状を把握したうえで、市場と法がどう役割分担をすると良いか、さらなる検討があると良い。
 第2は、裁判の予見可能性を高めることで、例えば「潜在的販路」といった条文外の用語が、どの程度裁判所を拘束するのか、また、30条の4が日本版フェア・ユース規定でもあることとの関係で、どのような素案であれば裁判所がより事例に応じた吟味や判断をしていきやすいかの教えが欲しい。
 
 そのため、例えば、著作権分科会で3回程度、パブコメ後の素案について議論いただき、その議事録を公開して欲しい。
 
 僭越ながら、第1の市場と法の役割分担については、著作権分科会の委員である田村善之先生のご発言から学びたく、第2の裁判の予見可能性等については、髙部眞規子先生のご発言からの学びが大きいと想定される。
 
 田村善之教授は、市場の失敗に際してフェア・ユースが必要となるといった、法と経済学的な手法が忌避されがちであることを紹介し、そのような忌避について「文献で語られることは滅多にないが口頭ではよく耳にする(注26)」と述べており、田村先生にしか語れない自由、市場、知的財産や法と経済学などの政策学がある(ポスト2018年改正下における日本の著作権法の中長期的課題-続・続・日本の著作権法のリフォーム論注26,Law and Technology No.90, 2021-)。
 市場と法の役割分担については、田村善之『知財の理論』第15, 64, 82, 400, 463等参照
 
 また、著作権分科会委員には多様な所属組織の委員や、バックグラウンドの異なる委員が任命されており、それぞれの組織の意見も重要な示唆となる。
 
 生成AIは今後の100年を決定付ける技術であり、必要な時間をかけるべきである。
 

■第8 X (旧Twitter)の投稿について

意見ではないご報告です。2024年2月12日 10:25に下記の投稿をしたところ、多くの人が閲覧し、意見提出をしてくれました。「児童」と「自動」の誤記は私の責任です。

似た内容の投稿があるかもしれませんが、同一人のなりすましではなく、複数の方による投稿と考えております。(みなさん、多少表現を変えたり選んだりしてくれていると想像しております)

絵画やイラストを創作したり、ファンだったり、仕事にしたりしている方で、
文化庁になにか意見をだしたいけれど、書きあぐねており、意見の案があったら参考にしたいな、という方へ

意見の文案です。意見提出や提出した意見を公開する目的の場合、私の著作権を放棄し、著作者人格権の不行使もお約束します。

自由に改変していただいて問題ありません。
2/12、今日が文化庁の提出期限です。

1.小委員会だけでなく、文化審議会著作権分科会で、パブコメ意見も参考として、複数回話し合って欲しいです。その議事録は公開し、色々な意見を参照できるようにしてください。

2.絵画やイラストは、自分の既存の作品を見てくれた人が、その作品を起点としたご意向をお持ちになったときに、発注してくれて、受注できます。このため、自分の既存の作品と似たイラストが許諾なく生成されてしまうことは、既存の作品によって得られるビジネスの機会(収入)を失います。
事前同意のない機械学習を禁止してください。
既存の作品に似た生成AI出力が存在することは、既存の作品の著作権者の利益を幅広く害します。そのような市場の現実を知ってください。

3.最近の生成AIは、学習した画像やイラスト、文章をそのまま出力します。これは明確に著作権侵害です。生成AIが著作権侵害の出力をしたとき、どのようにその損害の賠償を受けることができるか、教えてください。
イラストの要素の配置だけや、目だけ、ポーズと顔の輪郭だけなど部分の侵害も多いです。部分の場合の損害額の考え方も素案に記載されていません。教えてください。

4.海賊版であることを知りながら学習したシステムが合法に有料サービスを提供し、海賊版に依拠した出力をすることを、先進国として、文化的な社会として、許して良いはずがありません。説明責任を強化したり、損害額を認められやすくするなどの工夫をお願いします。

5.自動性的虐待画像CSAMは、インターネットに満ちており、クローリングをすれば一定の確率でヒットするという調査があります。画像生成AIの学習対象にも含まれていることが研究・報道されています。著作権法でCSAM学習を抑止できるなら、手当をお願いします。著作権法ではどうにもならない場合、どの省庁のどのような法律によるものか、教えてください。

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