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愛媛ゆかりの文化、文学のエッセイ

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「愛媛新聞」その他に掲載された拙文をまとめたもの。
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2023年8月の記事一覧

愛媛新聞「四季録」09 松山グランド劇場

その昔、松山大街道付近には芝居小屋や映画館が数多くあった。明治期には正岡子規が夏目漱石とともに大街道へ芝居を観にいったり、大正期には松山中学生の伊丹万作が映画館に足繁く通ったものだ。 昭和20年の空襲で多くの映画館が灰燼に帰したが、戦後も人々は映画を求めた。戦時生活から解放され、娯楽も少なかった当時、銀幕の世界は並ぶものなき娯楽の王だったのだ。 やがて大街道には映画館が続々と出現する。有楽座やタイガー劇場、銀映、国際劇場…他の地域にも映画館は次々に現れ、愛媛の人々は瞬く間

趣味や音楽、写真、ときどき俳句24 愛媛県の興居島

(初出:「セクト・ポクリット」2022.3.12) ∴     三月になり、陽ざしが春めいてきた。 上の写真は愛媛県の興居島(ごごしま)で撮ったもので、春になると思い出す写真だ。興居島は松山市から船で10分ほどで着き、約1,000人が住んでいる。 個人的に島が好きで、船で渡って島でのんびり過ごしていると何ともいえない幸福感を感じてしまう。それも春に訪れるのが好きで、かつては近くの島に行ったりしていた。 写真の興居島は蜜柑がよく実る島で知られ、降り注ぐ陽光と海からの照