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結社誌がおもしろい


結社誌を読んでいて感じたことをまとめてみました。


結社誌が面白い。

結社に入ってから、毎月送られてくる結社誌を読んでいるのだが、読むたびにますます面白く感じられるようになってきた。

私が所属する塔は会員が1,000人を超えており、冊子は相当なボリュームがある。
これを読みつくすのにはかなりの時間と労力がかかり、当初は気になっている歌人や知り合いの方の歌を探してピックアップして読んでいた。
また、百葉集、選歌後記という欄があり、選者によって採られた歌にひと言添えられているので、それは欠かさず読むようにしている。
ただ、やはり多くの歌を読むことが読む力を鍛えることになるだろうと、ここ何か月は隅々まで読むようにしている。
すると毎月毎月、徐々に読むのが楽しくなってきた。
気になった歌にはチェックを入れているのだが、その数もどんどん増えて行っている。

その結社誌ならではの魅力も感じており、その辺を考えてみた。


まず最初のポイントは、各々の一連が連作のように歌どうしが響きあい、味わいが広がりやすくなっている点だ。

塔では一人につき、おおよそ5・6首がまとめて掲載される。
厳密には連作とは言えないものが多く、脈絡のない歌が並んでいることもいくらでもある。
ただ同じ作者の歌が数首並んでいると、そこから自然と作者の暮らしぶりや個性を感じることができる。
一首としては何でもないような歌でも、前後の歌に導かれて一首に描かれている以上の感慨を得られるのである。
そして、それらが塊となって迫ってくるときに、思いがけなく心を揺さぶられることがある。
新聞投稿歌など一首単位で掲載されるものでは、このように歌同士が響きあうということはない。


次に、各会員の歌が独立している点だ。

当たり前のことではあるが、これによって前から順番に読む必要がなく小間切れに読むことが可能になる。
ちょっとした隙間時間を使って、適当に開いたページを読めばいい。
また一人5・6首であるから、あまり好みに合わない一連があれば先に進めばよく、あまりストレスがかからない。
これは、YouTubeなどのショート動画を観ている感覚に近い。
現代のライフスタイルにもあっているとも言える。
そういった手軽さが結社誌の良いところだ。
これが歌集となるとそうはいかない。
歌集の場合はある程度のまとまった時間と環境がないと集中して読むことは難しい。
その点、結社誌と歌集は、ショート動画と映画、あるいは小説の関係と似ている。
さらに大きな感動を得ようとするならば、時間をかけて歌集をじっくり読むことが必要になってくるだろう。


最後に、大量の歌が掲載されており、さらに異なる世代や地域から寄せられた歌がランダム(五十音順)に並んでいる点が良い。

同じような歌が並ぶとどうしても飽きてくるものだが、結社誌の場合は変化に富んでいてそれがない。
多くの会員がいるが、その暮らしぶりは様々で驚かされることばかり。そして個性的な方が多いような気がする。
歌の詠み方のスタイルも多様で、古典を思わせるような歌から口語の自由な歌まで幅広い歌が一度に読めるのもよい。
また、同じ月に詠まれた歌が載るために、歌の素材が被ることがあるが、それらの違いを読み比べるのも楽しいし、学びになる。


まだまた良い点を挙げればキリがないが、丁寧に読んでいくと本当に良い歌、面白い歌が多い。
長年に渡って熱心に短歌に向かい合ってこられている方々の歌を読んでいると、おのずから自分も奮い立たされる。
歌会でご一緒している方々の歌を読むのも楽しみだ。

歌集を読むことも大切だと感じているが、結社に所属しているからこそ、結社誌を楽しみながら読んでいきたいと思っている。


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