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雪草乃記

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色々な場所で発信したエッセイ的文章で残しておきたいものなどの置き場。そのため、たまにタイムラグあり。
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【2023.4月会場に掲示した文章を転載】個展「軌跡、時と」 開催主旨

 この度は、ご来場くださり、誠にありがとうございます。  2年に一度の開催を目標にしている個展は、今回で4回目となりました。毎回、「その時」私が制作のテーマとしていること、多くは「自身の制作の指針への問いかけ」を開催の主旨・主なテーマとしてきています。  前回開催から2年、実はずっとご依頼の帯地を織っており、いまだ全てをお納めできておりません。個展 開催も大事ですが、この2年は、ご依頼を優先してスケジュールを組んできました。そのため、今回、未発表の新作は一本もありません。 し

道東へ(2023.10.9記)

網走市にある北方民族博物館・今月22日までの『編むと織る』の展示&モヨロ貝塚。どちらの場所も20代の頃に一度行ったことがあったけど、もう一度行きたいとずっと思っていて、この度の特別展が動機となり、やっと叶った。 最後に道東へ行ったのはいつだったろう?距離と時間の感覚が狂うのは分かっていたが、今回も、「ついでに山に登ってこよう」とチョイスした山は「ついで」に行ける距離ではなかった。モヨロ貝塚館から実に90Km。既に350Km移動した同日に移動しようなんて普段なら絶対に思わない

人間にしてみればテントを一張り体内から生み出すようなものだ

2023.11.18 葉を全部落とした庭の桑の木に繭を発見。この葉だけ落ちていなかったのは葉の根元から繭を作っているからだった 拡大してみると網目が凄かった。よく見るとダブルウォール 住宅やテントの構造と同じで外壁と躯体の間に通気層を設ける事で結露を防ぐ ことがこの繭の機能の一つなのかは分からない だがこのような構造を全て自分の体内から作り出すなんて驚異的だ 人間にしてみれば 家?いやテントを一張り体内から生み出すようなものだ もしかして撥水性もあるのか?と思って水をかけてみ

ヒグマ

ヒグマの人身事故のニュースが目につくがそれは私がそういうのを見ているからかもしれないが、実際人身事故はきっと増えていて先日の大千軒岳の事故では登山者が登山道で襲われている。登山者が登山道で襲われ命を落としたというのは山登りが好きな私にとってとても大きな出来事だ。きっと山好き界隈では同じように思う人が多いのではと思うが、しかし随分静かなのは何故だろう?その後の検証や登山者はどう行動すべきだったのか?などがもっと語られても良さそうだし、「雪崩講習会」とか「人命救助講習会」のように

自然に埋没してもっとずっとシンプルに生きたい

(2023.6.13に書いた記事の転載保管) 焼尻島・天売島へ行ってきました。 ウトウの帰巣、ウミネコ繁殖地、ケイマフリ 信じられないくらい綺麗な海 自分の存在がすごく小さく思えて、人間はホント地球を汚すことしかしてないんだなとつくづく思った。だから、せめて、この自然に埋没して、もっとずっとシンプルに生きたいと思った。 このYouTube動画がとても良いのでご紹介します。 https://youtu.be/2UcfQKHNobk 2023.6.13 記

二季成りのラズベリーが今年は豊作で

うちの庭のラズベリーは初夏と晩秋の2度実をつけてくれる。元々強い植物で根でどんどん増えるが、それにしても、肥料も何もやっていないのに、どこにそんな体力があるのだろう。 秋の実は赤くなる頃に雪が降り、天然フローズンラズベリーを食べられるのは良いのだけど、それもほんの数粒で、青いまま冬を迎えてしまうのが常だ。しかし今年は実がつくのが早かったのだろうか?たくさん採れている。当分雪が降る気配もない。 夏のラズベリーは雨に当たったり放置しておいたりするとすぐに傷んだり虫がわいたりス

相反するものは常に同居する

毎年恒例の秋の山歩きは今年は吸い寄せられるように火山や噴火口ばかりに足が向いた。昨日は洞爺湖外輪の有珠山2000年噴火の西山火口散策路をウロウロ。スニーカーで行ったら結構な山道で足が疲れた。火口に溜まったエメラルドグリーンはとても綺麗だった。火と水は常にセットだ。地球内部の営みには謎にゾクゾクする。 ところで山歩きがレジャーとなって残っているのは元来山で生き暮らした人類のDNAがその喜びを記憶しているからなのだと思う。 昔の人の生業は辛い仕事と称されることが多いが、愉しみも

吉靴房さんの靴

※この記事は、2023.9.18付Instagram記事を転載したものです。 私が自分で着物を着ることを始めた頃、着物に合う靴はないかと、靴屋はもちろん、今よりも情報量がずっと少ないネットでも、いろいろ探した事があります。吉靴房・野島さんの靴を知ったのは、そんな時でした。 私は「見たことがない」ものは割と好きで割と受け入れる方だと思いますが、それにしても吉靴房さんの靴はあまりにも斬新で、しかも遠方のために実物を見ることもできず、当時の私には、博打的に購入する勇気がありませ

思考のバイアス

網走の北方民族博物館に行きたくて、ついでに山登り、にチョイスした雌阿寒岳は博物館から90kmも離れてた。道東は距離感と時間の感覚が狂う。でも行けて良かった。 天気は最高で全部すごかった。オンネトー野営場に車中泊、早朝にはけあらしが見られた。 今回、初めてルートミスというか、登山道でないところを結構歩いてしまった。YAMAPの軌跡を見ると距離的には往復で500mくらいのよう。 リカバリーできて良かった。何というか、こういうのは、一つのミスではなく、いろいろなことが重なって、

糠漬けから未来を予想する

しばらくやっていなかった糠漬けを再開しました。何故かというと、今年はキュウリが豊作で、いまだにどんどん採れるからです。キュウリは夏野菜、身体を冷やします。でも最近の札幌は結構寒いので、もう、キュウリを生でパクパク食べる気にはなりません。しかし糠漬けであれば、食べたい気がしました。それに、ある程度長期間の保存ができます。もう少し早くこのことに気づいて、ミョウガやナスも漬けておくべきでした。来年は是非そうしようと思います。 若杉ばあちゃんの教えによると、陰性の強い野菜は漬けもの

便利を求めて暮らしから排除したものが「レジャー」となって残っているものは、人間がどうしても手放せないものである事が、往々にして結構ある気がしています

少し前から慣らし焚きという名の下にストーブに火を入れています。家の中で焚き火が出来ることを幸せに思います。薪ストーブライフは今年で10年目になります。 薪ストーブで暖をとるようになってから、風邪をひかなくなりました。薪で調理したものはいつまでも冷めないし本当に美味しいし、薪で沸かした風呂は人間も冷めない(身体が芯から温まる)。火は単に暖や食のためだけでなく、人間にとって必要なのではないかと思う。 昨今のキャンプブームで焚き火もブームみたいですが、便利を求めて暮らしから排除し

山へ行くことも制作の一部である

2023.9.21-22 かみふらの岳〜上ホロカメットク〜十勝岳  私にとって非日常な山に入り、様々な心身状態を体験し、様々な景色に触れることは、日常の些細なことや当たり前の中から新しい発見を抽出するのと同じように、全ての体験を逐一身体に浸透させ蓄積させ熟成させ制作に反映させる、制作の一部であり、食う寝る食べる糸布つくる、レベルの、「自動的にどうしてもそうしてしまう」類のものなのだと思う。今回も、どうしても行かざるを得なかった感覚。これで安心して冬を迎えられる。 (ところ

初テント泊

3度目にしてやっと展望を許してもらえた北鎮岳は北海道で旭岳に次ぎ2番目に高い山。 お鉢平のカルデラは直径約2キロ、3万年前の大噴火によるものでかつて湖だったことが分かっているのだそう。私が好きな赤岳はそれよりも前、5万年以前の噴火で出来た。その地質がカルデラ形成時の噴火物の堆積を免れ地表に出ている数少ない山のうちの一つなのだそうだ。白雲岳界隈には永久凍土もあるのだそうで驚く。何万年も前の生物が地下にそのまま眠っている。下山後に調べていて今まで知らなかった数々の山々の営み。そ

2021個展ご挨拶の転載

2021.5.14-17 途中緊急事態宣言が出されるという状況の中、札幌の円山というところで個展《葛の布 帯展 -  色、文様 -》を、完全予約制+毎日定時にInstagramライブ配信を行い会場に来られない方にも様子を楽しんでいただくという形で開催した  フィジカルな来場者数は過去2回の開催の7分の1くらいだったが、お一人お一人とゆっくりとお話でき、2年先まで制作のスケジュールが埋まるほどのご購入・ご依頼をいただき、感無量であった その際、会場に掲示した開催のご挨拶が、