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だから、秋が好き

秋が好き。
朝のひんやりとした空気や、
夜に「リーンリーン」と聞こえてくる鈴虫たちの声。
クローゼットの奥から引っ張り出してきたニットの匂い。

好きなのは、季節としての秋だけじゃない。
服も好き。
真夏の半袖シャツは、頼りにならない警備員のようだけど、
長袖の服は、外の冷たさから守ってくれる恋人みたい。

ついつい、袖を伸ばしてギュって手で握っちゃう。
タートルネックのニットとか、
もう少し寒くなってストールを着けたりすると、
顔をモフモフ埋めちゃう。
特別に温かい訳じゃないのに、ホッとする。

秋の太陽は、感傷的にさせるオレンジ色に空を染めて、
夏よりも早く沈んでいく。
お祭りが終わった後のような、温かい寂しさが漂う。
そんな空を眺めていると、
平安時代を代表する作品・『枕草子』の一説を思い出す。
「秋は夕暮れ」から始まる趣深い描写の数々を。
どれだけ時代が変わっても、
心は同じように動かされている。
そんなことを考えると、
目の前に広がる秋の景色はさらに幻想的に見えて、
心が揺さぶられる。

街灯が点いて、肌寒くなると、
幼い頃に刷り込まれた
「暗くなったらお家に帰ろう」のせいか、
安心できる場所へ戻って、大切な人に会いたくなる。
 
家族や、友だち、同僚、そして、やっぱり恋人に。

「会いたい」って思った分、
会えた時は、余計に甘えてしまう。
甘えた分、今度は愛情のお返しをしたくなって、
心がどこまでも広くなる。

一番、穏やかな自分になれる季節。
 
だから、秋が好き。

おわり。最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

秋っぽくなってきたなあと思ったので、
秋に思いをはせてみたのですが、
また暖かくなってきました…😇
寒暖差がある時期ですね。くれぐれもご自愛ください!

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