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【インドネシア】マカッサルに皿うどんがあった!その名は「ミーティティ」

長崎名物「皿うどん」、または「かた焼きそば」と呼ばれる麺料理は、中国を中心にアジア各国で見ることができます。マカッサルにも長崎皿うどんとほぼ同じ料理「ミーティティ(Mie Titi)」というマカッサルを代表する麺料理があります。
油で揚げた麺の上に、鶏肉、エビ、キノコ、野菜などの具材が入った餡かけソースをかけた料理です。

ミーティティは皿うどんと酷似

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「ミーティティ」は、お店の名前でして、麺料理の正式名称は、「ミーケリン(Mie Kering)」または、「ミーケリン・マカッサル(Mie Kering Makassar)」と言います。
ミーは麺、ケリンは乾燥の意味ですので、乾燥麺=かた焼きそば、という事です。

マカッサルのミーティティのレシピは中華系インドネシア人であるアン・コー・チャオによって作られました。彼は元々乾麺を販売するために麺屋を開き、1970年代初頭からマカッサルで「ミーケリン」の人気店となりました。
アン・コー・チャオは、料理レシピに関する知識を自分の息子たちに教えました。その後、息子達が独立して麺屋をオープンする事で、料理レシピが継続する事となり、息子の名前のTitiを店の名前にして「Mie Titi」として、現在では最も有名なマカッサル料理の代名詞となり今日まで続いています。

マカッサルのミーティティは、揚げた麺と具材の餡かけは別盛で来ます。カリカリ食感の麺は、皿うどんの堅麺とほぼ同じで、麺を油でカラッとあげてあります。そこに熱々の餡かけが登場します。あっさりとした鶏の出汁が効いて、にんにくや、コショーといった香辛料を加えてとろみがかかっています。ライムをちょっと絞っていれるとあっさり食べられます。サンバルなどの辛味で調整します。地元の人々の食べ方が、そのまま麺の上に餡と具材を豪快にのせて食べても良いし、餡かけのどんぶりに、揚げた麺を入れて、いつまでもカリカリ食感で食べたりしておもしろいです。

マカッサル「ミーティティ」の作り方がクックパッドで紹介されています。一度試してみてください。≫ミーティティの作り方

ミーティティの起源は中国から

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インドネシアでは、「ミーゴレン」=いわゆる普通の「焼きそば」は、レストランや屋台から家庭まで最も一般的な麺料理で、インドネシアを代表する食べ物と言って良いでしょう。
「ミーゴレン」は、中国の焼きそばからインドネシアの中国人移民によって紹介されました。

中華料理の影響を受けているにも関わらず、インドネシアの「ミーゴレン」は、イスラム教の人々の食文化に合わせるように、豚やラードは省かれ、鶏肉やエビなどの具材を中心に、インドネシアの味に変化し、今ではインドネシア料理のひとつとして分類されています。

マカッサルのかた焼きそば「ミーティティ」の起源についても、中国における餡掛けのかた焼きそばの「炸麺(ジャーミエン)」から来ているのでしょう。

アジア各国のかた焼きそば

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マレーシアでは同様のかた焼きそばは、「サンハーミン」、「サンハーミー」という、揚げた細麺か中太麺にエビと、タマネギやニンジンなど炒め野菜の餡をかけた料理があります。

ネパールでは、「チョプシー」という、揚げた太麺に鶏肉、水牛肉、タマネギ、ピーマン、ニンジン、キャベツなどの野菜を炒めた具入りの餡をかけた料理があります。

日本では、長崎の「皿うどん」が有名です。長崎県の郷土料理の「皿うどん」は、中華料理の「炸麺(ジャーミエン)」に近いです。長崎市の中華料理店四海樓の陳平順氏が、「長崎ちゃんぽん」を出前用にアレンジして配送時にこぼれないよう汁を少なくしたものが起源とされており、このような経緯から麺や具材は「ちゃんぽん」とほぼ同様であり、現在も「ちゃんぽん・皿うどん」のように一緒に紹介されることが多いです。
「皿うどん」は見た目が皿に盛った焼きうどんのようだった事などから、その名が付き、その後、かた焼きそばが伝わって長崎で発展し、同じように「皿うどん」と呼ばれるようになったといわれています。(諸説あります)

うまい料理は世界に伝播する

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こうして地元の名物料理というのは、どこかで誰かが料理を伝え、いつの間にかに地元の食文化となり定着していくルーツを調べてみると、おもしろい発見があります。
マカッサルで初めて「ミーティティ」を食べた時、学生時代長崎訪問した際食べた「皿うどん」を思い出しました。

マカッサルに居ながら、長崎名物を食べる(実際は微妙に違います)という不思議な感覚となります。
どこで食べてもおいしい料理は、国も人種も選ばないという独自の結論に達し、カリカリの「ミーティティ」がまた食べたくなってきました。

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