column#3 今年のイチオシライブ かすみ草とステラ『渡辺萌菜生誕祭2023』

それはなんとも素敵な世界だった。

私はライブに生きる、をテーマにオタ活をしているため、おそらく他のオタクよりもライブに対する熱意は高い。
その中で、2023年に参加した全112現場(チェキ会など含む)で最も良かったライブとして『渡辺萌菜生誕祭2023』を紹介したい。

※本記事はマーケティングなどを関係なくライブレポとなってます。


ライブ前

まずはよく言っている場外乱闘から。

前のワンマンといい、ここのグループは場外乱闘、すなわちライブまでのワクワク感の醸成が上手い。
季節はすでに春が終わりかけの5月初旬、このタイミングで青葉ではなく、桜(とソロでは菜の花)が出てくる。
終わらない夏に向けて。そして春の想い。
今だから語れること、今だからわかること。
これは最後にまた。

ライブ中

今回のライブは本人からどのような構成だったのかも示されており、あまり食前舌語が多くを語る必要もない。
ただ、この中に象徴的に示される「過去、そして未来」。
この二つに通じる世界観を見ていきたい。

これもよく言っているが、このグループはライブの始まり方も本当にいい。
手紙を書く、これは本人がいつもファンに向けて想いを伝える際にSNSへ直筆手紙を投稿したりと馴染みのあるものであって、その温かい気持ちがすごく伝わる。

またなによりその動画の随所にデビュー前に投稿された動画のオマージュがなされている。
第1回の生誕祭が「過去の自分へ」とアイドルになる前のことがよく語られていたように感じるだけに、今日はそこではなく、アイドルになってからの、萌菜さんがアイドルになってからのお話であることが明示された。

「君に出会って私の世界が変わった気がする。今日は特別な日だから、君とちゃんと話しておきたいんだ。これまでのことと、そしてこれからのこと。これは私と君の物語。」

SE前に流れた動画から

萌菜さんの特徴として、ファンへの近さ、そして洞察力の高さを上げる人が多いが、特にこの日はファンに向けた壮大なお手紙、そしてGW最終日の、あのタイミングだから感じられたさまざまなことがここから始まった。

『思い出バス』から始まる過去回想

4月デビューの2期生とともに11人で始めたスタート。
一曲目の『思い出バス』。

出会える奇跡は 期待と不安だった
あのころの私も きっとそうだったんだよ
さあ ここからはじめよう
君を乗せてすすむ

『思い出バス』歌詞から

普段は1期が2期に語りかけるように感じられる歌詞も、今日だけは今の自分がデビューした時の彼女に語りかけているようにすら感じられる。

そして二曲目から、彼女の持ち歌ともいうべき『春風』
ここからまだ振り入れができていない2期たちが外れて、1期だけのパフォーマンスとなった。

圧倒的な熱量。
普段から「萌菜のオタクだけ声量がおかしい」と言われているが、seleneではなかなか聞けない熱量のコール。
萌菜オタクたちが待っていた曲の1つなだけに、セーブしていた自分を後悔させるような、そして何より代表曲の一つだからこそ「誰1人として置いていかない」という優しさも感じられる、非常に良い入り方だった。

ここから、『アリス』『咲き誇れ!わたし、』
そして『かすみ草の手紙』、アコースティックver.の『正夢の少女』では背景モニターに過去の写真を用いられ、これまでの約2年を振り返り続ける。(下記右動画、左動画はネタバレになるので飛ばしていただけると、、、)

いつか今日も大人になって
思い出に変わるのかな

『正夢の少女』歌詞から

普段から盛り上がる曲をアコースティックで、だからこそ萌菜さんの届けたいという気持ちがすごく伝わっている、そんな場面。
すごく過去を振り返ると共に、「君が広げる世界は」に対し、1番では「間違っても大丈夫」2番では「転んでも大丈夫」とあくまで優しく、過去の決断を肯定し続けるが、ラスサビでは「一緒なら大丈夫」とそこには将来に対しても無情の愛がある。
だからこそ、萌菜さんがすごく大事にしている「本当に出会えてよかった」に繋がっていくのかもしれない。

前半部分では、振り返りと共に「出会いへの感謝」を、ファン・メンバーへ温かく語りかけ、届けてくれた。
生誕祭とは得てしてカバーという名のカラオケ大会になってしまう残念なものもある中で、萌菜さん自身が何を伝えたいかを真に考え、発信するという本当に考え抜かれた構築だったと言える。

またその中で直筆手紙を紙飛行機で飛ばす、アコースティックなど過去のライブ演出を取り入れるなど、こういったところからも過去の振り返りを様々な接点で感じさせている。

萌菜さんが語りかけたことと、その返し

さらに、ここから一気に人気曲でボルテージがさらに上がっていく。
特に、ここから萌菜さんは「夏フェスらしく」と記載があった通り、2か月後に始まる夏フェスの流れを大きく感じさせるものであった。

そして少し緩さが見れる中盤の中で始まった『ペルソナ』

夢は待っているだけでは
迎えにきてくれない
ここからはじめるんだ

『ペルソナ』歌詞から

昨年の夏にNATSUZOMEのメインステージで優勝してから一気にライブアイドルの階段を駆け上がったグループなだけに、その成績簿をもらうのが夏フェスである。
それでも、ただ流されるだけでは何も変わらない。だから萌菜さんは手紙やボイス投稿を増やしたし、月一の手書き学級新聞でメンバーのことを発信するし、能動的な攻めがたくさん見られた。
ここの歌詞は萌菜さんパートではないが、その姿勢がすごく込められた一フレーズだと感じられた。

そして終盤になり、人気曲は残すところ『青より青く』で閉まるのか、富永思っていたところからの、まさかの2度目(ソロに続く)『正夢の少女』
実は裏で生誕委員発案企画として2番歌詞「本当に出会えてよかった」を「もえなすに出会えてよかった」でファンから被せていこう、というものが広報されていた。

正直、ソロの、さらにアコースティックで正夢の少女がなされると思わず、生誕委員の方々も「企画頓挫」という4文字にドキドキしていたことと推測される。
そして生まれた世界がこちらである。(添付左動画です)

もちろん声出しNGだった過去の生誕祭も含めて、このような企画自体がなかなかないものであるが、19年までの生誕祭では、歌詞の一部を変えてファンからメンバーへ想いを伝える、というのはそれほど珍しいものでもない。
でも、だからこそこのコロナ明けに見た初めての光景はひとしおでない。

そして最後の〆が『春風』
この春風は11人パフォーマンスは初(だったはず,,,)であり、最後まで驚きの中で子の生誕祭が幕を下ろしたのである。

なぜこのライブが一番よかったか

ファンに愛され、ファンを愛し抜く姿勢

個人的に、質の良いライブという観点だけで言えばもっと他にも無数に良いライブはあった。
ただ、このライブは圧倒的に”愛情”が感じられるライブであったことは確かである。

ファンからの愛情はもちろんだが、例えば先ほどの替え歌の被せも含めて、そういった形が見えるものが多かった。
一方で、萌菜さんも「どうしたらファンの人が笑顔になるのか?」が十二分に考え抜かれており、そこまで考え抜かれた生誕祭はなかなか古今東西多くはないと考える。

グループの大きな転換点として

特にここで特筆すべきは11人体制である。
4月のワンマンから11人体制になったが、オーディション時に2期は別グループで活動といわれていたものがいつの間にか合流し、やはりファンの間でも受け入れなければならないことはわかっているものの、どこか釈然としきれない空気感が言葉にできない形でまだ残っていた人も多かったと感じている。(少なくとも4月の2期デビューのワンマンはその回答からは大きくかけ離れていたといえる)

一方で、この生誕は前述のとおり「過去」そして「未来」。
つまり1期のみのグループが2期も入っていく未来に対して、一つ確かな回答を与えてくれたと思っている。
それほど、完成度が高いものであったし、そこに何かの納得感ではなく、それ以上の前向きな夏への期待がもたらされたことは素晴らしいと考える。

最後に

12/30(土)に年内最後のワンマンライブが一般500円であるらしいので、東京にいて年末暇だ、、、という人はぜひ足を運んでいただきたい。

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