明日世界が終わるなら
1984年創業の大垣市にある名店「ポンメール」
この店での一番古い記憶は、剣道少年団の錬成会の帰りにケーキを食べたこと。
以来、家族でも度々お世話になってきた。
大人になってからは、数えきれないほど何度も通った。
特に、昨年他界した父は、家に居ないと思えば独りでポンメールにいた。
父が亡くなってから1年半ほど、行けていなかった。
理由はいろいろあるけれど、なにより、父のにおいが濃すぎるということが大きかった。
昨夜は、友人の「お疲れさま会」という名目で、ようやく足を踏み入れた。
その友人というのは、15年間の営業を終えて長野県に移住することになった「Bistro Vita」のマスター種田くんで、セッティングしてくれたのは「MaCaroni」のマスター山中くん。
僕の大好きな飲食店であり、大切な友人達。
美味しいものを食べながら、いろいろな話をしたけど、話は尽きなかった。
ポンメールのマスター沢田さんは、親父が好きだった牡蠣を用意してくれていた。
「たとえ誰かが親父さんのことを悪く言っていたとしても、家族だけは悪く言ってはいけない。」
「僕はあなたのお父さんには感謝しかない」
望外の言葉を頂戴しました。
その言葉を聞いて、僕の心を固く閉ざしていた何かが溶けて、
生前に親父がよく座っていたカウンター席に向かった。
右側の壁には、かつて親父のワインリストが貼ってあった。
時々となりに座って、実家の食卓でも話さないような会話をしたことを思い出した。
僕は親父との関係性を未だに整理出来ていないけれど、ポンメールの美味しい料理は、親父との良い思い出だけを甦らせてくれました。
もしも明日、世界が終わるなら何を食べたい?なんて聞く人はいないけれど、僕は答えを持っています。
ポンメールの「白いピザ」です。
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