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AppStoreの価格帯(tier)とは その3

さて前回の続きです。

いちばんの問題は、この価格帯- tierを、Appleがいつでも自由に変更できるという点です。Appleがいつでも変えることができる規約内容となっているのです。そして、実際、今回10月初旬に価格帯変更が行われたわけです。
販売者が自分の意思で価格を決定することができない状況です。(価格帯の中から選択することはできますが)

今回は、市場側によって販売側が価格を拘束される場合として、どういうパターンがあり得るかを検討していきたいと思います。

パターン1 市場価格が1つに縛られる場合

市場Mと市場Mを経営しているAさん、野菜の生産・販売をおこなっているBさんがいるとします。

市場Mの経営者Aさんと農家のBさん

Bさんは、市場Mで収穫した野菜を販売しています。

Bさんが市場Mで販売

今、Bさんは、トマトを1個300円で販売しているとします。
一般的に、場所だけ借りている市場であれば、販売価格は販売者であるBさんが自由に決めることができます。
例えば、収穫量が多いときは、価格を下げたり、逆に収穫量が少ない時は価格を上げたりできます。また、品質の良し悪しで値段を上げ下げできます。

収穫量に応じて販売価格を変動

ところが、この市場Mでは価格は、経営者Aさんが決定することになっているとします。Aさんが決めたい時に価格の変動を決めます。
例えば、AさんがBさんに対して、元々1個300円で販売していたトマトを1個500円で販売するように価格を指示します。

Aさんが価格変更を決定

このように、Bさんの都合や販売計画など関係なしに、Aさんが価格を決めるため、Bさんは計画見直しをしなくてはなりません。あるいは値上げしたことで今まで買ってくれていたお客さんが買ってくれなくなるかもしれません。
これはとても困りますね💧

さすがにこのケースは、Bさんのデメリットが大きすぎて色々問題ありそうです

パターン2 複数の価格選択がある場合

上記の例では、1つの価格だけに決められてしまう場合ですが、いくかの選択権が与えられた場合はどうでしょう?
Aさんが、複数の価格帯のリストを渡して、この中から販売価格を選択するようにさせたとします。

販売価格をリスト中から選択

この場合は、先ほどは一つの価格に指定されていたのが、いくつかの選択肢から選択できるため、Bさんとしては対応の仕方は考えられそうです。
しかし、選択肢の中に、これまでの販売価格がないと、変更をせざるを得ないので、手間が発生すると思います。
選択肢の幅によって、場合によっては許容範囲になるかもしれませんが、やはり問題はありそうです

パターン3 単位当たりの価格帯がある場合

3つ目のパターンです。先の2つはトマト1個当たりの価格について決められる場合でした。
トマト1個ではなく、1カゴあたりの金額とします。
例えば、これまで1カゴ300円で販売していたところを、500円で販売するようにAさんが指示しました。

カゴ単位の販売価格を指定

この場合、前のパターンと違い、カゴ単位なので、販売者のBさんがカゴへ入れる個数を変動させることができます。1カゴに何個入れるかは販売者Bさんの自由です。
ここでは、1カゴ3個入りだったのを、5個入りに変更します

カゴの中の個数を変えて、1個の単価を維持

これによって、1カゴの販売価格は変わったものの、トマト1個当たりの価格は100円のままです。
このように、カゴでの販売価格を変えられたとしても、カゴに入れる個数の変動で、従来と変わらない(若干変わっても、ほぼ近い金額)でトマトを販売することができます。

もちろん、販売価格の修正等の手間は発生するでしょうが、ある程度、価格変更の影響を抑えることはできそうです。もちろん問題がないわけではないでしょうが。

市場経営者のAさん側にも、市場の物理的なスペースを考慮して、単位当たりの金額を決めるというのは一定のロジックがあるかもしれません。

まとめ

現状のAppleのAppStoreにおけるtierのルールは、上記でいうパターン3に近い形と言えるでしょう。Apple側が販売価格帯を決めますが、その価格でどういう内容のものを売るかは販売者に任されています。
販売者側での運用方法により、価格帯がある程度指定されたとしても、運用方法により実質的な販売価格にはそれほど影響を受けなくする方式です。
とはいえ、販売価格変更に伴って色々と作業工数が増えてしまうのは事実です。

また次回以降に続きます。

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