企業分析ロゴ

企業分析 ~ スターバックスは債務超過が好き?

今回はちょっと趣向を変えて、ちょっとした分析ということをしてみたいと思います。

スターバックスを取り上げますが、何の会社かの説明は不要でしょう。

きっかけはこちらの記事です。スターバックスは債務超過になっていると説明しています

債務超過って、そんなに会社が危機的な状態にあるの!?って思ってしまうところですが、、、

低金利で借り入れた資金を使って利益を上回る自社株買いや配当を実施し、資本を取り崩したためだ。

別に業績悪化で大赤字を出したために債務超過になったというのでなく、配当を多く出したためですね。

米企業では財務の健全性より利益を株主に還元することを優先する意識が強い。株価上昇に連動し経営陣の報酬が上がる仕組みをとる企業も多く過去数年は株価重視の利益分配が強まっている

というように、例え債務超過になったとしても、株主への還元が大事だ、というスタンスからこういった状態になるようですね。

また、現実的に日本の場合は、配当や自己株式の取得にあっては会社法の規制や、債務超過が継続すると、上場ルールに抵触するなどの問題がありますが、アメリカではそういった問題はないようですね(細かく調べていないので、みた感じですが)

さて、せっかく話題に出したので、実際にスターバックスの財務諸表をみてみましょうか。

画像1

純資産の額が、2018年9月期は、11億ドルとプラスだったのが、2019年9月期には、62億ドルのマイナスとなっています。

画像2

PLを見ると、純利益は36億ドルとしっかりとプラスの大きな利益を出しています。

画像3

資本変動数値のところを見ると、「Repurchase of common stock」で、約100億ドルのマイナスになっています。つまり、自己株式取得に100億ドルをかけたということになります。その結果、純資産がマイナス、すなわち債務超過となった、という形です。そして、株価も2018年7月以降大きく上昇しています。

株価

このように、スターバックスは、日本ではできないような思い切った株主向け施策を行い、株価上昇をもたらしています。

スターバックスといえば、日本にもたくさん店舗があります。そして、日本でスターバックスを運営しているのが、スターバックスコーヒージャパン株式会社になります。(以下、スタバジャパン社とします)

それで、決算公告を調べて見ると、このようなページを見つけました。(最新の2019年9月期は見つけられず、、、)

2018年9月期ですが、売上1800億円、純利益110億円と、業績好調のようです。が、BSを見ると、、、

スタバBS

純資産の額がマイナスの100億円ほどとなっています。そして、その大きな要因となっているのが、自己株式が1000億円ほどあるためです。

あれ?日本の会社法だと、純資産がマイナスになるような自己株式の取得ってダメなのでは、、、アレレレ!?(・_・;?

参考:自己株式を取得する際の留意点

それを解くヒントがこちらの記事にありました。

元々は、日本で上場していたスタバジャパン社ですが、米の親会社によって完全子会社とするために、上場を廃止してSPCと合併させるというルートで完全子会社になりました。(詳細は元記事をみてください)

このように、日本法人は、米親会社よりも何年も前に債務超過となっており、直近も債務超過状態にあります。

そして、親会社は、1兆円規模の自己株式を行い、債務超過となっています。

債務超過であろうが、売上利益が伸びているのだから、問題ないだろうと、そういったスタンスなのでしょう。タイトルでは、若干煽り気味に、「債務超過好き?」と書きましたが、どちらかというと債務超過を気にしない、というのが実態に近いかもしれません。

こういったスタイルの経営方針も、自社の収益力があるからこそなせるもの、というところでなかなか興味深い点もあります。

仮に日本で法規制を緩和して、こういったことができるようになったとしたら、ここまでやる会社が出てくるのかどうか、そういった想像もまた面白いところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?