ソフトウェア資産分析 ~ クラウドワークス

さて、ソフトウェア資産計上に関して、赤字上場のケースでどういった会計処理をしているのかをみてきています。今回は、クラウドワークスです。

クラウドワークス

社名にも現れているように、クラウドソーシングを仲介するプラットフォーム運営をメインとしています。2014年12月にマザーズに上場しました。

下図は新規上場時の有価証券報告書での事業説明の図の一つですが、このようなプラットフォーム制作・運営しています。

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では、実際の数値をみてみます。上場時の状況を確認するため、直近ではなく、新規上場時の数値をみてみます。

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BSはこのようになっており、無形固定資産がありませんので、当然、ソフトウェアも資産計上しておりません。「クラウドワークス」サイトの制作費用などは、資産計上していない、という状態だったようです。

この時のPLはこうです。

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上場の直前期は営業損益段階はまだ赤字であり、上場時の進行期も赤字のままでした。そういった損益状況からして、まだまだ収益化までには時間がかかると想定して、ソフトウェアを資産計上しなかった、というところでしょうか。

そういう点では、マネーフォワードと似ています。ただし、繰延税金資産のう内訳をみると、ちょっと違いがありました。

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繰延税金資産の内訳としては「減価償却費」がほとんどありません。税率で割りもどしても3百万円程度にしかならない為、自社制作費用は資産計上していないのではないか、と推測します。

つまり、税務上も資産計上対象としていない、と考えられます(あくまで推測です)。マネーフォワードは、繰延税金資産の内訳から、税務上は資産計上しているようにみえましたが、クラウドワークスの場合は、会計上はもちろん、税務上もソフトウェアを資産計上していないように見える点が異なります。

おそらく何らかの根拠でそのような処理を選択しているのだと思いますが、さすがにそこまでは開示情報はないので、詳細は不明です。もしかすると、会計上も資産計上するタイミングで税務上も資産計上することで、会計と税務を一致させてようという想定なのかもしれません。


現在の進行期も、第3四半期までは赤字となっており、通期予想も赤字のようです。BS上、無形固定資産が増えているようですが、おそらく、これは子会社獲得に伴うのれんではないかと思うので、まだソフトウェア資産計上はしていないようにみえます。

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いつの時点で黒字化、そして、ソフトウェア資産計上するか、今後注目して行きたいポイントです。

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