ソフトウェア資産分析 ~ メドピア
最近アプリネタが続いていたので、ソフトウェア資産の話をしましょうか。
今回取り上げる会社はメドピアです。
株式投資などをしている人は、コロナの影響で株価が大きく上がった銘柄として知っているかもしれません。
事業としては、社名と同じサービス名でもある、メドピアというものがあります。そのほか、医師向け人材サービスや薬剤師専門コミュニティ、個人向けヘルスケアサービスといったものがあります。
事業基盤であるメドピアは、医師専用コミュニティで、医師が医療品の口コミや症例などの情報交換するサイトのようです。
(残念ながら私は医師ではないので、登録はできないため、具体的にどういった情報交換が行われているのかは確認できません)
ヤクメドは、薬剤師専門の情報交換コミュニティです。
firstcallは、オンラインで医療相談ができるサイトです。
コロナ禍の中でリアルの場で人と人が会う環境が減り、オンラインでのやりとりへと移行していく中で、こういった医療分野におけるオンラインサービスの需要が増えていったのでしょう。
ではいつものように、ソフトウェアの話に入っていきましょう
事業内容
事業内容については、すでに冒頭で述べているのですが、補足として、メドピア社の現代表である石見社長は医師の方です。
2004年に会社設立して、当初は医師求人情報サービスから始まり、現在のメイン事業であるメドピアは2007年に始まったようです。
2000年代は様々なインターネット事業が生まれていましたが、その中でうまく時流を捉え成長させてきたというところでしょうか。
「医師兼社長のブログ」というものもあります。(最近はあまり更新頻度が高くないようですが)
事業のセグメントとしては、2つに分けているようです
メドピアを中心とする「ドクタープラットフォーム事業」と、個人向けの「ヘルスケアソリューション事業」です。
決算状況
この会社は9月決算です。
2019年9月期までの年度決算ベースで見ると、売上高は大きな成長の伸びを見せています。
そして、また進行期である2020年9月期は、年初からのコロナの影響もあり、それが業績にも反映されています。
こちらの第3四半期の決算説明資料を見るのが一番わかりやすいでしょう。
このハイライトのページの記載をざっと見た感じで、コロナの影響によりオンライン需要が増加して売上が伸びた、ということが読み取れると思います。
それに伴って業績予想の上方修正も発表していますね。
元々成長基調にあった業績が、外部環境の影響も後押しして、成長を加速させているような状況でしょう。
ソフトウェアの状況
それではBSのソフトウェアを見てみましょう
有報からのデータなので、2019年9月期の個別数値のデータです。
2019年9月期は、「ソフトウェア」「ソフトウェア仮勘定」合わせて95百万円あります。前年度の69百万円から4割近く増加しています。
このソフトウェアの具体的な内容はどのようなものでしょうか。
付属明細を見ると、このように、ソフトウェアの説明がありますが、「自社利用ソフトウェアの開発」だけで具体的などのようなものかが把握できません。
売上原価明細をみてみます。
原価項目のうち「他勘定振替」があり、「ソフトウェア仮勘定」として処理されていることがわかります。
すなわち、自社のリソースを使って開発している費用がソフトウェアとして計上しているので、おそらくは、自社のサービスであるメドピアやその他のオンラインサービスなどの制作費用を資産計上していると推測できます。
その制作費用の推移が、2018年9月期が14百万円で、2019年9月期で43百万円なので、大きく増加しています。これが一時的なものか、今後も多くの金額を制作に費やしていくのかが注目でしょうか。
ちなみに税効果の注記からはソフトウェア資産に関するものは読みとれません。
会計と税務で処理に大きな違いはないというところでしょうか。
おまけ
決算状況のところでも触れたように、メドピア社は大きな成長過程にあります。売上の伸びに伴い、サービスを拡充していき、またそれに伴いソフトウェア資産も増加していくのではないでしょうか。