親子編 70回目 七拾弐

とりあえず「国籍留保届」は出しました。

では、いつまで「留保」されるのでしょうか。

「国籍留保届」を出したからといって、

重国籍状態が認められて死ぬまで重国籍良い。

ということではありません。

重国籍状態における国籍の選択という部分につき

国籍法14条では

「外国の国籍を有する日本国民は、
外国及び日本の国籍を有することとなった時が、

18歳に達する以前である時は20歳に達するまでに、

その時が、18歳に達した後で

あるときは、その時から2年以内に、
いずれかの国籍を選択しなければならない」

となっています。

つまり、いつまでも重国籍でOKということではなく、

重国籍になった日本人が18歳以前に重国籍になったときは、
20歳までに、どれかの

国籍を選択しなさい。

18歳以降、たとえば23歳で重国籍になったら、

重国籍になった時から2年以内に

どれかの国籍を選択しなさい。

ということです。

ですので、外国で生まれた、
日本国籍と他国籍の重国籍となった赤ちゃん。

自分では提出できないので父母のどちらかに

「国籍留保届」を代わりに届出てもらいます。

これで、とりあえず、赤ちゃんの国籍は重国籍でも

20歳になるまでは国籍を選択することができます。

生まれてすぐの赤ちゃんに「国籍どれにする?」と

聞いたところで、決められるわけもありません。

また、成長過程で父親の本国、母親の本国などで生活することで、

どちらの国が、より子のための

福祉にかなっているか等の判断し、

また、子供自身でも成長過程において国籍の選択をすることが

できるようにしてあるわけです。

しかし、いつまでも国籍を決めなくてよい。

というわけにもいきませんから、

生まれた時に重国籍になったのなり、国籍留保届を届出た場合には、

20歳になるまでに

どの国籍を選択するかを考えなさい。ということです。

これが「国籍留保届」という制度です。

ですので、この留保届を出さずに日本国籍が喪失して、

さらに、もう一つ以上の国籍においても、

その本国法における手続きをしないで国籍を喪失した場合、

「無国籍」という事態も発生しうる

という非常に重要な手続きですので、

国際結婚において重国籍になる場合には、出生届と同様に

重要な届出になることを忘れてはいけません。

自分の子供の一生にかかわる問題になります。