親子編 77回目 七拾九

重国籍になった場合に、重国籍状態の放置は

問題があるため、国籍留保届の制度がありました。

それとは別にもう一つ、重国籍状態の放置を

直すための制度があります。

それは「官報催告の不選択による国籍の喪失」

という制度です。

重国籍状態における国籍の選択という部分につき

国籍法14条では

「外国の国籍を有する日本国民は、

外国及び日本の国籍を有することとなった時が、

18歳に達する以前である時は20歳に達するまでに、

その時が、18歳に達した後で

あるときは、その時から2年以内に、
いずれの国籍を選択しなければならない」

とあるのは以前紹介しました。

この重国籍における選択においてもう一つあるのが

「国籍不選択による国籍の喪失」なのです。

国籍法第15条では

法務大臣は外国の国籍を有する日本国民で前条第1項に

定める期間内に日本の国籍の選択をしないものに対して、

書面により、国籍の選択をすべきことを催告することが

できる。

その第2項では

前項に規定する催告は、

これを受けるべき者の所在を知ることができない時

その他書面によってすることができないやむを得ない

事情があるときは、

催告すべき事項を官報に掲載してすることができる。

この場合における催告は、
官報に掲載された日の翌日に到達したものとみなす。

前回の国籍留保届は、
国外にて出生した場合に重国籍になった場合です。

今回の「催告による国籍喪失」は、国内になります。

国内でも国際結婚において、

血統主義で国籍が取得できる法律のある本国法の

父親の場合、子供が生まれて、認知、

もしくは、血縁上の関係があった場合に

国籍を取得することになります。

その時に重国籍になれば、

「外国の国籍を有する日本国民は、
外国及び日本の国籍を有することとなった時が、

18歳に達する以前である時は20歳に達するまでに、

その時が、18歳に達した後であるときは、その時から2年以内に、
いずれかの国籍を選択しなければならない」

この規定の対象になりますから、
規定の年齢までに国籍の選択をしなければなりません。

しかし、それでも、日本国内で国籍選択を

しなかったらどうなるのでしょう?

この場合は、法務大臣が、書面にて

「国籍を選択しなさい」ということ

催促ができるわけです。

親切ですね。

海外の時は有無も言わず喪失でしたが、

国内の場合は、ちょっとやさしくなってます。

その催促をする書面を送ろうにも、本人に連絡がつかない、

郵便物が届かない、どこにいるかわからない。

など、重国籍者本人に催促ができない場合には、

「官報」に掲載して、この掲載した翌日には、

本人に催促をしたものとします。という制度になっています。

では、本人に催促が届く、催促が届いたものとした場合、

そのあとはどうなるのでしょうか?

第3項

前二項の規定による催告を受けた者は、

催告を受けた日から1月以内に日本の国籍の選択をしなければ、

その期間が経過した時に日本の国籍を失う。

とあります。

つまり、催促の書面が届いた、もしくは官報に載った翌日以降から、

1か月以内に国籍選択の届出をしなければ

1か月後に日本国籍を喪失しますよという内容です。

ですので、催促の書類がきて知らん顔をしていると、
やっぱり国籍は喪失します。

催促する書面、もしくは官報にて載せるまでしても尚、

選択をしないのならば、そもそも日本人として

生活をしていく気がないと判断されるわけです。