親子編 56回目 五拾八

外国籍の方の届出においては、戸籍がないことから

戸籍に記載されず、「記載不要届出」という形で

届出役所にて保管されるということは前回までに

書きました。

では、外国籍の方と、日本人の間における身分行為が

あった場合はどうなるでしょうか。

日本人には戸籍がありますから、当然日本人本人の身分行為は

戸籍に記載されます。

しかし、その記載の中に外国籍の方がいる場合はどうなるのでしょうか。

日本人と外国人を当事者とする婚姻、養子縁組、あるいは認知の届出等に

おいては、当事者の一方である日本人の戸籍に、当該届出事項が次の

ように記載されます。

⑴日本人と外国人の婚姻の届出が、日本人の本籍地の市区町村長に

された場合

日本人が戸籍の筆頭者でないときは、その者について新戸籍が編製され

(戸16条3項)、その者の身分事項欄に次のように記載されます。

(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 293項)

つまり、日本人と外国籍の方との身分事項に関しては、日本人の戸籍の

「身分事項欄」に記載されます。

外国籍の方自身の戸籍はなく、相手方である日本人の戸籍に記載する

という方法になります。

外国籍の方が自らの身分行為を証明する証明書を交付請求できるのは

・受理証明書

・記載事項証明書

・届書の全部複写

の3種類でした。

しかし、これは、外国籍同士、もしくは外国籍の単身者で届出をした場合

です。

外国籍と日本人との間における身分行為には、日本人の「戸籍」

の「身分事項欄」にも名前が記載されることになります。

この身分事項欄の記載内容を証明書として取得することはできるでしょうか。

外国人が日本人を認知し又は、日本人との婚姻、縁組等をしても、
その外国人については戸籍は編製されないので、

戸籍の「名」欄に記載されることはないため、当該外国人がここでいう

「戸籍に記載されている者」には該当しないことは明らかです。
しかし、上記のような身分行為により日本人との身分関係を有する

こととなった外国人は「戸籍に記載されている者」(日本人)

の配偶者等に該当することになります。

すなわち外国人は、

①日本人との婚姻によって、その配偶者となり

②日本人を認知することによって、被認知者である日本人との間に法律上

の父子関係が生じますから、日本人子の直系尊属となります。また

③日本人との養子縁組をした外国人は、日本人の直系尊属または直系

卑属となることにより、日本人当事者それぞれの戸籍謄本等の交付申請を

することができます。

(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 309項)

つまり、外国籍の方の自身の戸籍がなくとも日本人配偶者側の戸籍に

記載があるので、そのことで、戸籍の交付請求をすることができる

ことになります。

契約書などで、日本人配偶者との関係を証明しなければいけない場合

戸籍に自らの名前が載っており、身分事項に該当した記録がされてい

れば戸籍の交付請求ができます。