養子縁組編 91回目 九拾参

未成年には、保護要件を設けることで養子の保護を

必要とするのは論理的には正しいです。

では、養子が年者であった場合は、保護要件を

適用する余地というのはあるのでしょうか?

これに関しては、個別事例の判断がほとんどになる場合

ですので、個別判断にはなりますが、

大元の原則を考えてみると、

保護要件は、養子となるべき者の同意、実父母や、児童を保護している

機関の承諾又は同意など社会経験や判断能力に乏しい未成年の保護を目的

としたり、関係者の利害の調整を目的とするものです。

(渉外戸籍実務研究会 渉外戸籍実務の処理 57項)

上記の定義の部分で、「未成年者」の部分においての重要な部分は、

「社会経験や判断能力に乏しい未成年の保護」です。

「成年者」に関して考えた場合、主に「関係者の利害の調整を目的」

が主要な目的であると思われますので、

未成年者のみに保護要件があって、成年者の場合にはない。

というものでもなく、やはり、養子縁組という身分行為を通じて、

その縁組によって問題が発生したのでは、そもそも制度としての

意味を失ってしまいます。

このような考えから、成年者を養子とする場合の保護条件は、

主に「関係者の利害調整」という部分をメインに

検討が必要になります。

しかし、この利害調整においても各国、

様々な理由から様々な方式を

とっていますので、一律な線引きというのは非常に困難と言えます。

ですので、法文上、関係者における利害調整と考える部分に関しては

保護要件として考え、法務局等の事前調整が必要になります。

あくまでも、「養子縁組」の届出を出すことで、日本国内における

養子縁組の成立をさせることが目的ですので、
定型的な処理がされない個別事案に応じた個々の判断を要する場合には、

いたずらに先行して

準備をするよりも、事前調整と相談という形で、

法務局、もしくは

居住地役所の窓口での相談が必要になります。