親子編 82回目 八拾四

この国籍の選択、離脱、取得にはジレンマがあります。

国籍の選択をする

⇒どちらか一方を離脱する

⇒日本国籍のみになる。

と簡単に考えてしまいますが、

そもそも「国籍を離脱」できるかどうかは

重国籍の本国法において、本当に認められるかどうかです。

重国籍ですから、当然、日本国籍は日本法で、

もう一方の外国国籍は

外国の本国法によって決められています。

もし、その本国法において国籍離脱の自由がなく、

離脱できない。

もしくは、一定の場合以外に離脱することに制約が

かかっている場合、例え、日本国籍を選択しても、

実際の重国籍状態が解消されることは

なくなります。

しかし、国際法的には各国の本国法で決められた

事実状態を、日本の法律で一方的に変更する事はできません。

こればかりは致しかたない部分でもあります。

そこで、国籍法では、

日本国籍選択の宣言をした者で外国の国籍を

喪失していない者には併有する外国の国籍を現実に

離脱する手続きを採るように努めなければならない

としています(国16条1項)

ただし、このような者であっても、
既に国籍選択の義務は履行しています

から、法務大臣から改めて選択の催告を受けることはなく

、催告に基づいて日本国籍を喪失することもない

と解されています

(「改訂国籍実務解説」86項)

(小池信 吉岡誠一 国籍の得喪と戸籍実務の手引き 184項)

とあります。

つまり、国籍選択の宣言をしていれば

「選択をしなかった」という

ことではなくなるので、例え、

現実にはしかたなく重国籍であっても、

日本の手続き上はそれ以上できないことになります。

ただし、「外国国籍の離脱」

するための努力はしなければならない。

とされています。

ですので、現実的には無理だけど、
その努力は続けなければいけない。

ということになります。