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ドラゴンのくるぶし

 挫折を経て、猫は丸くなった。


 だったかな、ちょいと前に小説の書き出しだけを架空で考えて発表する、みたいな遊びが流行っていた。普段文章を書く者もそうでない者も「それっぽい」文を気軽に楽しむ営みとして面白い流行だったと感じた覚えがある。自由律俳句とかに近い感じがある気がするけど、自由律俳句は何か敷居が高い(知ったうえで誤用してるんだから、明鏡国語辞典の間者はそっとしておいてほしい)雰囲気があるもんな。


 もうかれこれ三時間は煮込んでいる。


 俺も当時いくつか遊んだ記憶はあるが、明確に文言を覚えているのはこれしかない。その後のストーリー展開も、登場人物も、後は読者の想像にぶん投げられるのが書き出し小説の醍醐味というものだろう。

 そういう遊びに似たようなものとして、何かのことわざや故事成語にありそうな雰囲気の語句だけ考える、ということを密かに営んでいる。

ドラゴンのくるぶし
赤鬼の墓参り
雨上がりダブルリーチ
朝に斎藤、夜に伊藤
鮟肝に鰭酒

 など、全く意味は考えていないのだが、いつかそれらしい意味合いで使えはしないかと言葉の取り合わせを楽しんでいる。

 何かそれらしいハッシュタグでも作ってみんなで遊べば楽しそうだけれど、もし本当に流行りだしたらすぐに興ざめしちゃうんだろうな。

 もういっそ、そういう意味のことわざにしてしまおうかしら。


 ドラゴンの踝見たり古参チマン

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