見出し画像

M&A後の主人の変化(前半)

(妻が執筆しています。)

大きな波紋を呼んだ今回のM&A。
私にとっては複雑?安心?色々な思いがありましたが、今では本当にやって良かったと思っています。

何より、このM&Aを通じて夫が次第に変わっていったのが印象的でした。
ここからはどのように変わっていったのかを前半と後半の2回に分けて書いていきます。


なんかスッキリしない様子

M&Aが無事に終わり、私は3ヶ月間の引き継ぎ期間を終えて先に退職していました。
私が退職してから、会社の中は随分と変わった様子です。システム関係や従業員に対する待遇、営業の仕方、業者関係との関わり方。
それは仕方のないことです。

毎晩家に帰ってきては、会社の状況について色々と話をしました。
私には、これまでの経験からアドバイスをすることはできますが、会社が変わってしまった今、何も分からない状況でした。そのような状況でアドバイスを求められても、困惑するばかりでした。

従業員の変化


ここから先は私が主人の話を聞いて感じた事です。

今回のM&Aは従業員の意識にも影響を与えました。

「社長」という立場から離れた主人に対する従業員の態度は変わらなかったようですが、会社全体に対する視点は変わり始めたようです。

「給料が低い」「休みがもっと欲しい」「ボーナスが少ない」など今まで一度も聞いた事ないようなことを、主人に言ってきたのです。
企業のオーナーシップが大手に移ると、新たな期待と視点が生まれ、これらの声が出始めました。

主人は新経営陣にこのことを伝え、対応をお願いしたみたいです。

私はこの件を聞いたとき、正直なところ少々ショックを受けました。
これまでの間、恐らく全員がこのように感じていたのでしょう。
主人は給料に関して、可能な範囲で最善を尽くしていたと思います。
業績が厳しくても、少ないですがボーナスは常に支給していました。
私たちがよくニュースで目にする「ボーナスは給料の3ヶ月分」などの表現は、業績の良い大手企業に適用される話で、私たちのような中小企業ではそれほどの額を出せるわけではありません。

このような変化はM&Aをした事で自然に起こることなのかもしれません。

引き継ぎ期間のストレス

退職にあたり、主人は新経営陣に「自分の後任となる人材を早期に見つけてほしい」と要望を伝えていました。

しかし、新たなオーナーはなぜか「同じ役職に複数の人材が重複するのは避けたい」という考えを持っていました。つまり、同じ役職には2人以上必要ないという見解でした。
半年前に補充すれば良いと思っているらしく、これが主人に大きなストレスを与えました。

主人は元々生真面目な人です。自分の仕事を完璧に後任者に引き継ぎをしなくてはと思っています。
主人は自分の業務をマニュアル化し、準備を進めていました。
でも、後任者が来ないのでは、誰にも教えられません。

目が死んでいる

退職まで残り1年となった頃から、だんだんと主人の様子がおかしくなってきました。

朝になると「会社に行きたくない」、日曜日の夜になると「明日は会社か...」と言うようになりました。
実際休むことはなかったのですが、明らかに行きたくない様子でした。

私は「あと、1年だよ。私たち世代はあと10年15年って働かなくちゃならないんだから、あと少し頑張ろう!」と励ましても、全く響かない様子でした。

この頃の主人の目はまさに「死んだ魚の目」をしていました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?