見出し画像

2024年センバツ出場校予想


0 はじめに

 明治神宮大会も終了し2023年の高校野球はシーズン終了となりました。ここから来年3月に開催される春のセンバツ高校野球大会まで高校野球ファンにとっては暗黒の冬を迎えることになります。そこで、この秋に開催された地方大会も踏まえて来年のセンバツに出場するチームを予想して、センバツへの期待を膨らませましょう。
(個人的に詳しい地区とそうでない地区とがあり、記述に濃淡があります。また、すべてを読むと20分程度かかると思うので、目次から飛んで、興味のある地区の記述だけを読んでいただけると幸いです)

1 予想一覧

予想一覧(21世紀枠については各地区の推薦校が決まり次第予想します)
「北海道」(1枠)
予想:北海
「東北」(3枠)
予想:青森山田 八戸学院光星 学法石川
「関東・東京」(6枠) 関東=4 東京=1 関東・東京=1
予想:作新学院 山梨学院 健大高崎 常総学院 関東一 桐光学園
「東海」(3枠)
予想:豊川 愛工大名電 宇治山田商業
「北信越」(2枠)
予想:星稜 敦賀気比
「近畿」(6枠)
予想:大阪桐蔭 京都外大西 京都国際 耐久 報徳学園 近江
「中国」(2枠)
予想:広陵 創志学園
「四国」(2枠)
予想:高知 阿南光
「九州」(4枠)
予想:熊本国府 明豊 東海大福岡 神村学園
「明治神宮大会枠」(1枠)
予想:日本航空石川
「21世紀枠」(2枠)
12月8日以降更新

2 北海道地区

予想:北海
 北海道は1枠で例年優勝校が順当に選出されています。確たるエースが不在とされる中、準々決勝では3期連続の甲子園出場を目指したクラーク記念国際を10―0の6回コールド勝ちで破り、決勝では延長10回タイブレークの末、東海大札幌を8-4で下し見事優勝を飾りました。投手陣に対する不安を総合力で補った見事な戦いぶりでした。不安視されていた投手陣も明治神宮大会の作新学院戦を見る限りでは全国でも十分通用すると期待させてくれるような内容でした。大会ナンバーワン打線と目されていた作新学院を9回まで無失点に抑え込んだのは投手にとっても大きな自信になったのではないでしょうか。冬の間にどこまで打力を向上できるかが注目されます。

3 東北地区

予想:青森山田 八戸学院光星 学法石川
 東北は今年から1枠増加し3校が選出されることになりました。例年通り、まず秋の東北大会の優勝校青森山田、準優勝校八戸学院光星は順当に選出されるものと思われます。青森山田は県大会から青森の私学4強と言われる高校の中で自身を除く3校(八戸工第一、弘前学院聖愛、八戸学院光星)すべてを撃破し圧倒的な強さを見せつけました。また、東北大会でも初戦の羽黒戦は延長13回にもつれるタイブレークの激闘を何とか制したという形になりましたが、準々決勝以降は安定した勝ち上がりを見せました。八戸学院光星との再戦となった決勝戦は圧巻の試合内容で先発の桜田投手が9回ノーヒットノーランの完封勝ちを収めました。さらにこの桜田投手が背番号1ではないところに青森山田の投手陣の厚さを感じます。近年、八戸学院光星の壁に阻まれ甲子園から遠ざかっていましたがついにリベンジを果たし、甲子園への扉を開けた形となりました。このような試合内容から見ても青森山田の選出は間違いありません。
 準優勝校の八戸学院光星は2度も青森山田に敗戦を喫することとなってしまいましたが、それ以外の試合では盤石の勝ち上がりを見せました。下級生の時からチームの中心であった洗平、岡本の両左腕を中心に投手力が非常に高く、守り勝つ野球はセンバツで勝利を挙げられるかという観点から見ても高い評価を受けるものとみられます。打線の状態が上がればセンバツでも注目を集めることになりそうです。
 3枠目は準決勝で敗れた学法石川と一関学院との比較になります。両チームの勝ち上がりを見ると学法石川は福島の3位校としての出場ではありましたが、盛岡中央(岩手3位)、聖和学園(宮城1位)、金足農業(秋田1位)の3校を撃破し、準決勝は準優勝した八戸学院光星に0-1の好ゲームを展開しました。各県の1位校を2校も撃破したことは大きな評価を受けるに違いなく、初戦の盛岡中央戦以外はすべて相手打線を1失点に抑えるなど投手陣もかなりの完成度を誇っています。課題は野手陣で得点力アップと守備力強化が期待されます。一方の一関学院は岩手県の1位校として東北大会に進出し、光南(福島2位)、秋田修英(秋田2位)から共に3点差の勝利を挙げ、優勝した青森山田に準決勝で0-4で敗れました。岩手県の優勝校であること、またロースコアの接戦を制してきたことは高い評価を受けると考えられます。課題はこちらも得点力不足の解消になるでしょう。
 両チームとも非常にチームカラーが似たものどうしで比較が大変難しいのですが、東北大会で3勝し、かつそのうち2勝は各県の優勝校から挙げたものである点を高く評価し、また準決勝での惜敗度も考慮して学法石川が一関学院を上回っているものと判断しました。

4 関東地区

予想:作新学院 山梨学院 健大高崎 常総学院 関東一 桐光学園
 例年、関東大会のベスト4、東京大会の優勝校を順当に選出した上で関東大会の準々決勝で敗れた高校の中から一番高い評価を受けた高校と東京大会の準優勝校とが比較され最後の1枠を決定するという手順が踏まれています。よって、関東大会優勝校の作新学院、準優勝校の山梨学院、ベスト4の健大高崎、常総学院、東京大会優勝校の関東一は選ばれるのが自然であると判断しました。
 優勝した作新学院は中学時代から有名であった小川投手を擁し投手力は非常に高く、また打線も全国トップレベルであり攻守に隙がありません。今年の栃木県大会は好投手が乱立しており非常にレベルが高く苦戦する試合も見られましたが、投手を中心に粘り強く勝ち切りました。関東大会では序盤からリードを奪い、中盤から終盤にかけて突き放す展開が多くみられました。また決勝戦も中盤までは僅差の展開でしたが、最終的には9点差をつけて勝利するなど関東地区の高校では頭一つ抜けていると言えるでしょう。失点がある程度計算でき、さらに打線も強力であることを考えるとセンバツの優勝候補の一角に挙げることが十分可能だと思います。
 準優勝の山梨学院は県大会から大勝したゲームは少なく、関東大会も準決勝まではすべて2点差以内の試合を制するなど接戦に強いチームと言えそうです。関東大会の決勝は9点差での敗戦となりましたが、6回までは1点差の展開で食い下がっていました。例年、山梨学院は打線が強力であるとの印象が強かったのですが、今年のチームはどちらかと言えば投手陣を中心とした守備型のチームのようです。出場が確実視されているセンバツでは連覇を目指す道のりが待ち構えています。
 ベスト4の健大高崎は充実した練習環境が整備されていることもあり、近年全国各地から有力な選手が集まってきています。投手陣の軸となる佐藤・石垣の両1年生投手も中学時代から非常に騒がれており世代屈指の好投手であることは間違いありません。投手陣に関してはセンバツ出場有力校の中でもトップレベルだと言えそうです。また打線もコンスタントに得点を挙げている印象があり、特に県大会では圧倒的な打撃力を発揮しているので不安はなさそうです。攻守にバランスが取れた強力なチームであるといえそうです。
 同じくベスト4の常総学院は県大会を圧倒的な試合運びで勝ち上がり、続く関東大会でも2勝を挙げベスト4入りしたことから出場が有力視されています。関東大会1試合平均7得点の攻撃陣は魅力的でありセンバツでも打撃が期待されます。一方で、関東大会での失点数が若干多いことが気になります。来春の選抜から新基準のバットが採用されることが決定しており、打球が飛びにくくなることが指摘されています。こうなると投高打低の大会となることが予想されます。小林投手は好投手なので彼に続く2番手以降の投手の育成が課題と言えそうです。
 東京大会を優勝した関東一も出場が確実視されています。明治神宮大会では関西王者大阪桐蔭を下すなど高い総合力を見せました。投手力が非常に高くまた打線も高水準であり攻守にバランスの取れたチーム構成となっています。来春のセンバツでもベスト8以上に進出する可能性は組み合わせ次第ではありますが、非常に高いと思っています。久しぶりの甲子園ということもあり活躍がとても期待されるところです。
 さて、残りの1枠は関東の5番目に高い評価を受けたチームと東京大会の準優勝校が比較され選出されるということが例年の傾向であるのでこれに従って判断します。まず、関東の5番目に高い評価を受けるチームは桐光学園であると判断しました。関東大会の準々決勝で敗退したチームの中から惜敗度と失点数を優先し、1回戦でどこに勝利したかも基準に入れて判断すると桐光学園と中央学院が優位であると判断しました。(花咲徳栄も横浜から勝利しているので迷いましたが、2試合合計の失点数が16とかなり多く、センバツの選考にあたっては投手力が重視される側面が強いので選外になるかなと判断しました。)桐光学園と中央学院を比較したときに惜敗度は延長11回タイブレークの末に山梨学院に敗戦した桐光学園の方が高く、失点数も中央学院6(16イニング)に対して桐光学園は7(20イニング)ですが7失点の内2失点分は延長タイブレークでの失点であること、また1イニング当たりの失点数を考えれば桐光学園の方が少ないことからも桐光学園が上回るものと判断しました。最後に桐光学園と東京大会の準優勝校創価との比較になります。ここ2年ほど東京大会の準優勝校が選ばれているという背景があるとはいえ、これはたまたまそうなっただけと判断していいでしょう。今年に関して言えば明治神宮大会で関東王者作新学院が東京王者の関東一を破っており、このことから関東大会の方が東京大会よりもレベルが高いと推測されること、また今年の夏の大会でベスト4に関東勢が2校残り、かつ桐光学園と同じ神奈川県の慶応が優勝していることも桐光学園のプラス要因になると考えます。また、チームが変わったとはいえ慶応を下し、さらに横浜にも勝利し、神奈川県の優勝校であることは高く評価されそうです。
 創価高校の強みは打線の破壊力だと思いますが(8試合で92得点)完封した試合がある一方で8失点や11失点している試合もあるなど投手陣の調子の波が大きく投手力の比重が高いセンバツの選考においては選ばれにくいと判断します。ここは今年の選考委員が守備型のチームが好きか、攻撃型のチームが好きかの話になってくるので何とも言えない状況です。

5 東海地区

予想:豊川 愛工大名電 宇治山田商業
 例年2校の選出となっていましたが、今回から1枠増枠され3校選出されるようになりました。数年前、準優勝した聖隷クリストファーを選出せず、ベスト4の大垣日大を逆転で選出するなど非常に予想が難しい地区となっています。ですが、今回から3枠に増枠されたこともあり優勝校、準優勝校の選出は確実で残る1枠をベスト4の2チームで比較するものとみられます。
 優勝した豊川高校はロシア人の両親を持つモイセエフ選手を中心に打線の破壊力が魅力です。全体的に打ち合いを制して勝ち上がってきたとの印象を受けます。東海大会決勝では県大会決勝で敗れた愛工大名電にリベンジを果たし初の優勝を飾りました。明治神宮大会でも高知との激しい打ち合いを制し大会初勝利を挙げています。打撃力は作新学院に匹敵するほど強力だと言えるでしょう。来年のセンバツから低反発バットが採用されることもあり、今まで通りの打撃は期待できないと予想されていますが、予想を撥ね返すような攻撃が期待されます。一方で課題は投手陣です。7失点以上を喫する試合が多く、軸となるような投手もまだ出てきていない感じがします。センバツでの上位進出のためにも投手力の強化が望まれます。
 準決勝した愛工大名電は大泉投手、伊東投手の2枚看板が強力で投手力は非常に高いと言えます。また野手陣も1年生の夏の甲子園からレギュラーを張っていた石見選手をはじめ非常にレベルが高いです。東海大会の決勝では豊川に敗戦してしまいましたが、初めから大泉投手、伊東投手のいずれかが登板していれば試合展開も違ったものになっていたのではないかと思います。来年のセンバツでも優勝候補の一角に名を連ねるのではないでしょうか。総合力が高いタレント集団といった評価ができそうです。また、吹奏楽の演奏も注目されています。
 ベスト4に残った宇治山田商業と藤枝明誠が最後の1枠をかけて比較されることになりそうですが、宇治山田商業が選出されると予想します。両チームとも各県の優勝校で得点数、失点数ともに似通っており(若干宇治山田商業の方がいいですが)決め手に欠ける感じがします。そうなると準決勝での惜敗度が重要となってきて、宇治山田商業が1点差、藤枝明誠が4点差での敗戦なので宇治山田商業に軍配が上がると考えます。特に宇治山田商業は終盤まで優勝した豊川からずっとリードを奪っていた一方、藤枝明誠は終始愛工大名電にリードを許す展開だったので、この点からも宇治山田商業が評価されるのではないでしょうか。

6 北信越地区

予想:星稜 敦賀気比
 北信越は2枠であり例年決勝に進出した2校が順当に選ばれています。星稜が明治神宮大会で優勝し、北信越にもう1枠追加されることとなりましたが、これに関しては明治神宮大会枠のところで考察します。
 優勝した星稜高校は佐宗、道本投手の強力な2枚看板で秋の日本一に輝きました。中学時代から有名な投手だったので投手陣に目が行きがちですが、野手陣も攻守にレベルが高く、センバツでも優勝候補の筆頭に挙げられること間違いなしです。北信越では決勝の敦賀気比戦以外は盤石の勝ち上がりで、明治神宮大会では1回戦からの登場で日程的に非常に厳しいなか広陵、青森山田、豊川、作新学院の4校を撃破し見事頂点に輝きました。特に広陵の高尾投手は1年生の時からエース番号を背負う世代ナンバーワン右腕で彼から7得点を挙げたのは本当にすごいと思います。センバツでも2枚看板の起用法に注目が集まります。
 準優勝の敦賀気比は福井の3位校としての出場でしたが、北信越の強豪校を次々と撃破し4年連続のセンバツをほぼ確実にしました。夏の大会後、監督が辞任すると仰っていたのですが、生徒や保護者からの強い慰留を受けて続投することとなり、恐らく特別な思いをもって臨んだ秋季大会だったと思います。県大会ではライバルの北陸に準決勝で敗れ、3位で北信越大会に進むこととなり初戦から他県の優勝校と対戦する厳しい組み合わせとなりました。しかし、今夏甲子園出場校の上田西を5-1で破り、帝京長岡、強豪の日本航空石川を相次いで撃破し決勝に駒を進めました。決勝戦は秋の日本一に輝くこととなる星稜が対戦相手でしたが一歩も引かない試合展開で、最終的に1-0(延長10回タイブレーク)で敗れはしましたが星稜をこの秋最も苦しめた高校と言っても過言はないでしょう。
 以上より、北信越からは星稜、敦賀気比の2校が選ばれるものと思います。

7 近畿地区

予想:大阪桐蔭 京都外大西 京都国際 耐久 報徳学園 近江
 近畿地区は6枠でベスト4に進出した高校と準々決勝で敗戦した4校のうち2校が例年選ばれています。そして、毎年最後の2枠を巡って激しい争いが繰り広げられるのです。
 優勝したのは西の横綱大阪桐蔭でした。今年も投手陣、野手陣ともに全国トップクラスで特に投手陣はドラフト候補がごろごろいるという、超一流の陣容です。藤波2世とも言われている平嶋投手は最速154キロの右腕で下級生の時から場数を踏んでおり、来年のセンバツの活躍次第ではドラフト1位候補になってもおかしくない存在です。さらに1年生の森、中野投手はともに中学の時から有名で2人とも未来のドラフト1位候補だとすでに一部で言われています。野手陣も充実しており、4番のラマル選手はスラッガータイプの内野手、3番の徳丸選手は下級生の時からずっと主力として出場しており出塁率が高く天才的なバットコントロールが魅力の外野手、また根尾2世とも呼ばれている境選手は打撃だけでなく投手としての活躍も期待されています。投打に隙が無く、また西谷監督の采配も的確で作戦も多彩なのでセンバツでも優勝候補の一角に名を連ねるでしょう。課題をあげるなら明治神宮大会の初戦で5失策を喫するなど守備に綻びが見られたので、守備力の強化になるでしょうか。吹奏楽の演奏にも注目です。
 準優勝の京都外大西はエースの田中投手を中心に粘り強く戦ってきました。初戦の彦根総合戦からいきなりタイブレークにもつれる死闘を演じ、続く履正社戦では終始リードしていたものの迫りくる猛追を何とか振り切っての勝利となりました。準決勝の耐久戦は一転ロースコアの接戦となりましたが虎の子の1点を守り切り勝利、決勝はエースの田中投手が先発を回避しましたが控え投手の力投で何とか大阪桐蔭打線を2点に抑えロースコアの展開に持ち込みました。様々な勝ち方をできるのが魅力的です。田中投手以外の控え投手の底上げがセンバツでの勝利のカギを握りそうです。
 ベスト4の京都国際はエース中崎投手の安定感が抜群で失点にある程度の計算が立つ点が強みです。中崎投手は左サイドスローのような独特のピッチングフォームで相手打者を幻惑させます。左打者には外に逃げる変化球、右打者には内角に食い込むストレートがありコントロールを間違えないので本当に打ちにくそうです。秋は11試合で失点が9しかなくうち4失点は大阪桐蔭戦でのものなのでこのことを考えると打線が特別強みではないチームからはほとんど点を取られないと言えそうです。課題は近畿大会で鳴りを潜めた攻撃陣でしょうか。京都府大会の時のように打つことができればセンバツでも勝利が期待できます。
 同じくベスト4の耐久も京都国際と非常にタイプが似たチームです。絶対的エースの冷水投手を中心に失点を最小限に抑えロースコアの展開に持ち込み競り勝つことをパターンにしているようです。今年の秋は智辯和歌山、市立和歌山など甲子園常連校が相次いで敗れるなど波乱となった和歌山を制し、近畿大会でもベスト4まで勝ち上がった実力は本物でしょう。センバツでも旋風を巻き起こしてくれることを期待しています。
 準々決勝で敗れた4校(近江 須磨翔風 報徳学園 履正社)の中で選出間違いなしなのが報徳学園だと思います。報徳学園は準々決勝で大阪桐蔭に1点差で敗れておりこの点が高く評価されると思います。(大阪桐蔭に準々決勝でコールド負けしなければ選出されるという都市伝説もあるほどです。)投手陣も充実しており、間木、今朝丸の両右腕は準優勝した昨年のセンバツの時から主戦格として投げてきています。旧チームに比べ打線は見劣りしてしまいますが、それでも全国の上位を目指せるチームであることに間違いありません。
 さて、難しいのが残りの1枠です。エースを中心に守り勝つという点でチームカラーが似ている近江と須磨翔風とをまずは比較し、次に打撃型の履正社と比較するという展開になりそうです。ここで、まず須磨翔風は選ばれないと判断しました。近江が県大会の優勝校であるのに対して、須磨翔風は兵庫の2位であること、近江は近畿大会で2試合計1失点であるのに対して、須磨翔風は8失点していることがその理由です。センバツの選考では投手力が重視される傾向にあります。ここで難しいのが須磨翔風は奈良1位の智弁学園に勝っているのに対して、近江は大阪3位の興国に勝っているという点です。つまり智弁学園に勝ったことの方が高く評価される可能性があるという難しさです。しかし、仮に評価を定めがたくとも評価が並んだ場合は地域性の点で近江の方が優位であると言えそうです。(報徳学園が5番目で選ばれれば須磨翔風は兵庫の2校目となってしまうから)
 最後に近江と履正社との比較になります。ここは非常に難しくて投手力を重視するか、攻撃力を重視するかの問題になりそうです。近江は先ほど述べた通り2試合計1失点で、履正社は2試合計11失点です。一方、得点は近江が2試合で2得点、履正社が2試合で15得点と対照的です。近江の投手力の高さ、履正社の攻撃力の高さは十分わかるので、履正社の失点数がやや多く、近江の得点数が極めて少ない点がどのように評価されるかが問題です。準々決勝の試合内容的には近江が上回っており近江は8回まで0-0の同点で9回のウラにサヨナラ打を浴びて1点差で敗戦しています。一方で、履正社は7-10で敗れておりスコア的には接戦のように思われますが、終始リードを奪われており最大7点差が開くなど点を返すのに必死だったというような試合内容です。仮に評価が並んだ場合は地域性の点で近江に軍配が上がるので履正社が選出されるためには明らかに近江を超えている必要があるのですが、そのように判断するのは難しいと思います。来春のセンバツから低反発バットが採用されることを考えればより投手力を重視した選考となる可能性が高く、近江の得点の少なさは気がかりではありますが、投手力の高さを評価して近江が選ばれるのではないでしょうか。近江が選ばれればエースの西山投手が一気に評価を上げる予感がします。また、近畿大会では西山投手が一人で投げ切りましたが下級生の時から登板が多かった河越投手も控えており、右と左で一人ずつ主戦格の投手がいるのは強力です。また、野手陣も旧チームからレギュラーで出場している選手が複数残っているので、センバツでも勝利が期待できます。

8 中国地区

予想:広陵 創志学園
 中国地区は2枠で順当に中国大会優勝の広陵、準優勝の創志学園が選ばれると思います。
 広陵はエースの高尾投手とキャッチャーの只石選手のバッテリーを中心としたチームで良くも悪くもバッテリーの出来にかかっているチームです。旧チームに比べ打線の破壊力は低下した印象がありますが、それでも全国上位レベルの打力はあると思います。センバツの上位を狙うにあたって、さすがに高尾投手一人では限界があるので2番手以降の投手の育成が課題に挙げられそうです。特に中国大会決勝を一人で投げ抜いた堀田投手に注目したいと思います。
 準優勝した創志学園は監督に注目です。東海大相模を春夏計4度の優勝に導いた名将門馬敬冶氏が監督に就任しチームの強化に取り組まれてきた中ではじめての甲子園になりそうです。門馬監督は東海大相模の時から様々な作戦を次々と講じ、相手チームを翻弄することに長けておられたので采配に注目したいと思います。
 決勝戦での点差が1点であること、またベスト4の高川学園は広陵に7回コールド負け、宇部鴻城は創志学園に敗れており、創志学園以上に積極的に推薦する理由が見当たらないので中国地区に関しては広陵と創志学園の選出とみて間違いないと思います。

9 四国地区

予想:高知 阿南光
 四国地区は2枠で四国大会を優勝した高知、準優勝した阿南光が順当に選出されると予想します。高知は旧チームから主戦として活躍してきた平、辻井両右腕を中心とした守りの硬いチームだという印象があります。辻井→平の継投が確立していて、同じ右腕とはいえタイプが異なるので相手からすれば非常に厄介だと思います。鉄壁の継投だと思いますが、課題を一つ挙げるとすれば重要な試合ではこの2投手以外の選手が投げていないことです。あと1人、2人重要な場面で投げることのできる投手が出てくれば、投手陣に関しては盤石だと思うので期待したいです。野手陣に関しては投手力を考慮すればそこまでの得点を挙げる必要は感じられないので、まずは守備を固め、欲を言えば好投手が相手の時にもう少し打つことができるようになればいいかなと思っています。
 2枠目は例年通りに四国大会の準優勝校である阿南光が選出されるものと思いますが、ベスト4の明徳義塾にも可能性はあると思います。というのも四国大会で両チームとも高知に敗れていますが、阿南光は4点差、明徳義塾は1点差と試合内容的には明徳義塾の方が良いと取られても不思議ではないからです。また、明徳義塾は複数の投手を揃えているのに対して阿南光はエースの吉岡投手に依存しているという状況で投手層の厚さ的にも明徳義塾の方が上回っていると思われるからです。しかし、明徳義塾は高知に2度も敗戦しており、同じチームに複数回負けることはマイナス要因とされてもおかしくありません。しかし、2度敗れているとは言えどちらも1点差なので高知とほぼ互角と判断されるかもしれません。
 阿南光と明徳義塾は甲乙つけがたいと思いますが、やはり例年決勝進出校が選出されているならば、高校野球は教育の一環であると思うので、決勝に出れば甲子園に行けるという信頼を守ってあげることが教育的であること、また評価が同一の場合、地域性を考慮するという点で徳島の阿南光が優先されるという点で阿南光の選出を予想します。

10 九州地区

予想:熊本国府 明豊 東海大福岡 神村学園
 九州地区は4枠で例年九州大会のベスト4進出校が順当に選出されています。
 優勝した熊本国府は坂井投手、植田投手を中心に堅守で頂点まで駆け上がりました。特に準決勝では強打の神村学園を1失点、続く決勝も強打の明豊を1失点で抑えるなどディフェンス面が光りました。お恥ずかしながら僕は熊本国府高校さんをこの秋まで知らなかったのですが、ふとしたきっかけ一つで波に乗って一気に勝ち上がってくるというのは(もちろんもとから相当な実力があったということだと思いますが)いかにも高校野球らしくてすごく好感がもてるチームだと思っています。九州大会での勢いそのままにセンバツでも勝利を重ねることを期待しています。
 準優勝の明豊は九州地区では押しも押されもせぬ強豪校になったなぁという感じがします。例年通り今年も複数の強力な投手を擁し、攻撃力も非常に高くバランスの良いチーム構成になっています。
 ベスト4の東海大福岡は激戦区福岡を制し九州大会に乗り込んできました。スコアを見る限り強打のチームなのかなという印象が強いです。来春の選抜からは低反発バットが導入され攻撃力の低下は必至なので投手陣の強化が期待されます。
 同じくベスト4の神村学園は今年の夏の甲子園でベスト4まで残っていたということもあり新チームの始動が遅れる中でのスタートでした。甲子園から帰ってきてすぐに鹿児島大会がスタートするという厳しい状況のなか鹿児島を制し、九州大会でベスト4まで勝ち進んだのはさすがとしか言いようがありません。チームが未完成の中でもここまで勝ち上がれたということで、一冬を超えてチームの完成度が高まったときにどのように化けるか非常に楽しみであります。攻撃陣は4番の正林選手をはじめ今年のベスト4を経験した選手が多く残り、全国でもトップレベルの陣容だと思います。課題は投手陣かと思われます。今村投手という軸になる選手はいますが2番手以降の投手がまだ十分育っていないという印象を受けます。センバツでの上位進出のカギを握るのは投手陣の充実具合だと思います。

11 明治神宮大会枠

予想:日本航空石川
 星稜が明治神宮大会を優勝したことで北信越のチームからもう一校追加で選出されることとなりました。準決勝で敗戦した日本航空石川と北陸とが比較されるものと思われます。一応、準々決勝で星稜に敗れた敦賀と敦賀気比に敗れた帝京長岡も見てみますがかなりの点差がついているので、積極的に推す理由がありません。
 では、日本航空石川と北陸のどちらが選ばれるかですが、準決勝で航空石川は1点差、北陸は5点差で敗れており、まず日本航空石川の方が接戦で負けていると言えます。また、日本航空石川は県大会で秋の日本一に輝いた星稜に延長11回タイブレークの末1点差で敗れており、星稜ともほぼ互角の実力を持っていると言えそうです。以上の点から日本航空石川が選出されると予想します。

12 21世紀枠

 12月8日に各地区の候補校が発表になるのでそれ以降に更新します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?