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ASKA 「じゃんがじゃんがりん」の歌詞を考える(アルバム「Breath of Bless」9曲目)

おはようございます、ジニーです。

Breath of Blessの歌詞解析も9曲目まで来ました。
今回考えるのは「じゃんがじゃんがりん」。

最初曲タイトルを見た時は、なかなかの衝撃を受けました。
「地球生まれの宇宙人」の時くらい、曲の内容がタイトルからは図れないなと。
しかし、これがまたいい曲なんですよね。

■まずは歌詞の内容を振り返ってみます

歌詞はまるで今の世の中を凝縮したかのような内容が綴られています。

暑い 暑い 街がカンと暑い
うだる うだる とける首都がうだる

冷える 冷える 街がキンと冷える
止まる 止まる 凍る首都が止まる

昨今の日本の気候はまさにそうで、40度を超えるような猛暑があったかと思えば、大雪に見舞われ、歌詞の通り街が止まるというニュースを目にすることも増えてきました。

昭和生まれの僕ですら、子供のころと比べると、日本の気候は随分と変わってきているなと感じたりもします。
なんていうのでしょうか、まるで亜熱帯のような気候になってきているような。

ASKAはBreath of Blessのインタビューの中で「温暖化がそろそろ終わり、寒冷化に入っていく」という言葉があったり、地球に対する見方がこの歌詞の中に反映されているのだと思います。

同じインタビューの中で、この曲は5年前に書いた曲という言葉もあり、そんなに前から地球に対する憂いのような感情を持っていたのだなと、地球や宇宙など、見る目線のスケールが違うなと痛感します。

どこへ行くのか じゃんがじゃんがりん
僕らにはわからない

どんな思いで じゃんがじゃんがりん
未来に向かえばいいのか いいのか

サビにはそんな中で生きる人類としての不安が歌詞に込められているかのようです。
どこへいくのか、どんな思いで未来へ向かえばいいのか、まさにその通りで何が正しいか何一つわからない中で、宿命のように未来へ向かわなければいけない。
誰に問いかけてもその答えは分からないでしょう。

こんな時だからこそ、人類は手を取り合うべきだと歌いたくなりますが、やはりASKAは一筋縄ではいきません。
2番ではその人に触れています。

痛い 痛い 人がツンと痛い
危ない 危ない すぐ隣が危ない

なんだろう、たった2行のこの歌詞に込められた感情。
今の世の中に感じている人との距離感を、たった2行でここまで深く突き刺してくる。
きっと誰しもの胸の中にある、言葉にはなかなかできない人とのかかわり方に関するズレのようなものを的確に捉えてくる言葉。

地球にも人類にも、危機が迫っている。
世の中がコロナ禍になる今、尚更響いてくる歌詞です。

■感じるのは絶望感とか悲壮感とかではないと思いませんか?

この曲で、僕らの置かれてる危うさが歌詞から色濃く感じられるのですが、曲を通してASKAが伝えたかったのは絶望や悲壮感ではないのではないかと思っています。

2番のサビにある

この唇を じゃんがじゃんがりん
君に押しつづけたい

曲の最後にある

誓う 誓う 無くさないと誓う
誓う 誓う 無くさないと誓う
君を

そこにある愛を確かに感じること。
愛するものを無くさないと誓う覚悟を持つこと。

やっぱり、人は「愛」なんだなと感じるのです。

その観点から、あらためて歌詞を読むと、歩みを続ける強さを感じられるような気がします。
だって、
「未来に向かえない」ではなくて「未来に向かえばいいのか」と、未来に向かう気持ちは萎れていないじゃないですか!
ここから、この曲は「容易ではない未来に向かっていく覚悟」を歌ったものなのかなと感じられないでしょうか?
そして、その覚悟は「愛する者」の存在が支えとなる、とも感じられるのです。

そんな想いで改めて曲を聴くと、なんだか見えない未来に対しても向かっていく勇気が湧いてくるかのようです。

■「じゃんがじゃんがりん」ってどんな意味なのか?

「じゃんがじゃんがりん」という言葉には何の意味もないようです。
曲の制作中にでたフレーズをそのまま使用したそうですが、こういうフィーリングって曲の世界観を構築する意味ではとても大事だと感じていて、この「じゃんがじゃんがりん」という言葉には、なし崩し的に巻き込まれていく様子を的確に伝えているように感じられます。

曲を聴く前と後とでは、タイトルの腹落ち感がここまで違って映るのは初めてのような気がします。

なんだか不思議な曲ですが、クセになる曲。
まさにASKAの真骨頂ですね。


ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回は「歌になりたい」ですね。

また読んでいただけると嬉しいです。


前回の歌詞考察です、良ければこちらも読んでもらえると嬉しいです。


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