石丸市長による専決処分での控訴は清志会へのアシスト?

安芸高田市(の石丸市長)が同市議会議員の山根氏から名誉棄損で訴えられた裁判で、第一審の判決への控訴を安芸高田市が専決処分で行いました。
そして先日、その専決処分に対する審査が市議会の臨時議会によって否決され、ニュースになっています。

前回の記事ではその客観的な評価について書きました。
この件の概要についてはそちらの記事をご覧ください。

今回の記事では今回の出来事から読み取れる両者の裏の考えについて書いてみようと思います。

大前提として、この専決処分が承認されようが不承認されようが、控訴がなくなるわけでもなく、実質的にはなにも影響はありません。
そのため、この不承認というのは一種のパフォーマンスになっている状態です。
そこでそれぞれの行動に込められた意味について妄想していこうと思います。
今回の記事は事実ではなくあくまで私の考えということです。

清志会をはじめとする反市長派議員

この人たちは石丸市長の評判をとにかく下げて、次回の選挙で落選させたいという気持ちがあるでしょう。
したがって、今回はここぞとばかりに「市長が専決処分を不適当に使って議会を無視している」という点を主張しているわけです。
そこにロジックがどうとかいうことはありません。
悪いイメージのつくニュースになればよいので、中身の議論はさておき不承認にすることに意味があるでしょう。
不承認にさえしてしまえばメディアがニュースにしてくれますので、悪いイメージの形成という大目的が果たせるというすごくわかりやすい構図です。

シセイクラブ

今回の議決ではシセイクラブの若手2議員も不承認に回りました。
この決定に対して「失望しました」というコメントも多くみられました。
ただこの決定にも意図があると私は思います。

まず、シセイクラブは様々なインタビューなどで「我々は市長派議員ではない」と言っています。
市長の政策すべてにYESと言うのではなくあくまで是々非々でやっているという姿勢を崩していません。
そのため、「なんでもかんでも賛成しているわけではない」「きちんと議論させてほしい」というメッセージも込めて、今回の議決に関してもある程度パフォーマンスとして市長に反対しているのだろうと思います。

また、今回の議会での発言でも「事前に相談」というのを強く主張されていたので、議会の立場を守りたいという気持ちはあると思います。

石丸市長

今回の記事の本題はここです。
石丸市長はそもそもなぜ専決処分を選んだのでしょうか。
これまでの経緯からして専決処分を選んだ場合に清志会議員を中心として大きな反発が生まれ、おそらく不承認とされるところまで分かりきっていたはずです。
部外者の僕ですら、専決処分という言葉が出た段階でその内容にかかわらず「あーまたこれはひと悶着あるな」とすぐに思いました。

ではなぜ専決処分を選んだのでしょうか。
それに対して「臨時議会を開いたら控訴が承認されない」という意見をよく目にします。

でも、控訴が承認されなかった場合、困るのはどちらでしょうか。

私は清志会のほうが困ると思っています。
考えてみてください。
仮に控訴を否決した場合、それがニュースに流れるわけですよね?
自分たちの会派の議員が市を訴えている裁判の控訴を市にさせないという判断を多数決によって清志会がするというのは、さすがに構図が悪者として映りすぎではないでしょうか。
そもそもその反対理由はなにでしょうか。
判決内容が妥当だとかそういうものでしょうか?
なかなか難しいと思います。
地元の評判に世間的な印象は関係ないということであったとしても、さすがにそのやり方をしてしまうと地元からも大きな反発があるように思います。

一方で石丸市長としては、敗訴が確定してもそこまで困らないのではないでしょうか。
石丸市長の支持者側は裁判でどんな判決が出ようが恫喝があったと信じているわけですし、賠償額に関しても33万円と微々たる額です。
今回の判決内容自体も「恫喝があったとはいえない」という程度の内容ですので、どのようにでも言い訳できると思います。

むしろ、清志会が控訴させなかったということをネタにして清志会のことを大手をふるって批判できますし、世間的な評価という意味ではむしろ追い風にもなると思います。

つまり、そもそも専決処分にしないと間に合わないスケジュールというのはあったでしょうが、結果として石丸市長は批判材料を与えるという意味で清志会に塩を送ったことになるなぁと思いました。(ここでタイトル回収)

個人的には、臨時議会を開いた場合に控訴の承認がどのように議論されるか見てみたかったな、という気持ちでいます。
各議員、どのように主張をして、反対賛成どちらに回るのか・・・
そのほうが明らかに面白そうですね。

今日はこんなところでした。

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