都知事選における石丸氏への批判から見るネットを使ったネガキャンのやり方

都知事選も中盤に差し掛かり、石丸氏の躍進が伝えられるにつれて、石丸氏に対する様々な批判が過熱化してきました。
Xは大量の批判ツイートであふれており、一部では都議会議員などが批判ポストを大量に投稿するという事象もみられています。
今回はそれら批判の声を収集・分析することで見えてきた、ネット上でのネガキャン活動の手口と傾向について書いていきます。


おおまかなポストの分類と個人的な受け止め

公職選挙法違反のでっち上げ

告示期間前に石丸陣営が行った広告動画や街頭演説などは事前運動の要件を満たさないのにもかかわらず、法令違反だと断定する。
運動員買収も全くの事実無根であるのに、法令違反だと断定して批判する。
本当に法令違反だったら当選しても無効になるんだからこんなポストで落選運動なんかせず刑事告訴してほっとけばいいのに。
しかしながらこういうポストであっても、違反の要件や物事の背景をよく知らないひとからすればネガティブに映るのは当たり前であり、効果はあなどれない。
ひとつ突っ込みどころとして、かしこいひとは噓の流布にあたらないよう「ようだ」と濁すものだが、上記のポストはいずれも断定しているので、罪に問われてもおかしくなさそう。

好き勝手にグレーゾーン認定して批判する

個人的にちょっとひどいなと思っているポスト。
合法的と認められているからいろんな選挙で行われているやり方なのに、グレーゾーンという言葉でヤバいことをやっているかのように印象操作している。
こんなのはなんとでも言えるのでただただ卑怯。
本当にこれを問題視したいなら、他にもやってる候補者を同列にもってこないと通らないと個人的には思うし、特定個人の落選運動としてこれをやるのはどうかと思う。

政治姿勢に関する嘘のでっち上げ

よく出回ってる謎の比較表。
似たようなものはたくさんある。
石丸氏に関して言えば「そんなこと言ってない」に尽きる。
そしてそもそも、メガソーラーや移民受け入れという言葉でまとめているが、これらはそんな簡単にまとめられるものではない。
例えば山を切り開いてメガソーラーを作る話とテーマパーク跡地にソーラーを置く話は同一には語れない。
物事をレッテル化し単純化する手法は基本的に騙そうとするひとが行うと思っておいたほうが良い。

○○を尊敬しているからダメ

今回の事例で言えば上野千鶴子氏のことがやり玉に挙がった。
この話も実際には上野千鶴子氏の弟子でもないし、石丸氏はその思想すべてを崇拝しているわけでもない。
上野千鶴子というネット上のイメージの悪い人物を持ってくるだけで、こうも簡単にネガキャンできるというのは効率的な手法である。
石丸氏は、上野千鶴子氏の講演を安芸高田市で開いた際に、隣に座っていた女性が上野千鶴子氏の発言に大変感動していたことを見て心が動いた語っていた。
この話を聞いて私も上野千鶴子氏について持っていたネガティブなイメージをちゃんと考え直したほうがよいなと思ったものである。
その人の発言すべてが悪いなんてことはない。
そして逆もまた然り。

○○が石丸のことを支持している

誰が石丸氏のことを好きかどうかという話と石丸氏の評価が直結すること自体がおかしいのだが、ごり押しで通して批判に繋げたポスト。
こんな低レベルなネガキャンでも印象は悪くなってしまうのが残念なところ。

支援者の○○が△△だからダメ

各政治団体の代表や主要メンバーが応援しているならまだしも、過去にどこかの党や組織に所属していた人が応援していたという程度で、その党や組織全体がバックについているなどという意味不明な批判が行われている。
そもそも、選挙に詳しい人を連れてこないと意味がないというのが前提として、これまで選挙にかかわってきた人がいろんな政党と付き合いがあるのは当たり前である。
それをもって○○の力が及んでいるなどというのはおかしな話でしかない。

陰謀論を触れ回る

今回びっくりしたのはこのあたりのネガキャンだった。
トレンドの件も単純にXの仕様ですし、高評価数と再生回数の関係もyoutubeの仕様というお粗末。
単純に仕様理解していなかっただけなのか騙そうと悪意を持っていたのか真偽は不明だが、とにかくこのようなすぐに分かる事実無根の内容をもとに中国の工作などという話が広まったのは「ここまできたか・・・」と思わざるを得なかった。
また、お金を払って有名人やメディアに取り上げてもらっている、再生数を回させているなどといった荒唐無稽な妄想も散見されたが、このようなことでネガキャンできるなら本当に楽な世の中になってしまった。

選挙活動にお金を使うこと自体への批判

石丸氏が「お金を使って選挙を有利に運ぼうなんてチート行為」と発言したことをもとにして、「お金を使っていること自体が悪である」という概念を当てはめるポストが多くみられた。
これは以前の記事でも書いたが、お金を使わなければ選挙活動はできない。
これは純然たる事実である。
お金を使わないためには選挙活動しないぐらいしかできないので、それを求めるのはさすがにどうかと思うわけで。
結局のところ発言の切り取りと曲解による批判というのはやりやすいし効果を発揮しやすいのだろう。
また、この話に関係して、運動員買収、メディアやインフルエンサーへの賄賂などという根拠不明の噂も金で勝つ選挙というワードとともに流れていることで、印象操作に役立っていそうである。

切り取りによる印象操作

今回のネガキャンで多く出回っているのがこれらの切り抜き動画。
発信者は謎に自信をもってこれを証拠として批判をしているが、これらはすべて切り抜きによる印象操作に他ならない。
すべてを個別に論じないが、悪意のある切り抜き方、誤解を招く説明のキャプションを使えばこんなにネガキャンができるということが分かる。
物事には前後関係が必ずあり、それらを踏まえないで正しく情報を伝えることはできないのである。
また、「瞬きが多いのでうそをついている」「こんな動揺してるのみたことない」といった説明も印象操作でしかない。
石丸氏が考えている時に結構瞬きをするというのはちょっとライブ配信を見れば明らかに分かることだが、このような切り抜き動画で一般市民は簡単に騙されてしまうというのがSNS時代ということだろうか。。

発言の曲解による印象操作

上記の切り取りと通づるところがあるが、こちらも悪質なもの。
前後関係無視で切り取り、さらに悪意のある絵や発言していない言動を付け加えて再構成を行っている点ではさらに悪質度は高いのではないか。
自分たちの行動を正義だと思っているのでしょう。

嘘や無知による印象操作

これらは切り抜きを通り越して明らかなウソをもとにした批判。
安芸高田市を投げ出した、安芸高田で何も実績を残していないというのはよくある批判だが、普通に考えて3年半以上務めたことを投げ出すとは言わない。
実績についてもちゃんと調べれば財政の立て直しのために既得権益の反対が相当ある中で事業の見直しを相当件数行ったこと、未来への投資を行ったこと、独自の産業を広報して安芸高田のブランドイメージを高めたことなど明らかに出てくるのになにもないと断言しての批判。
そしてポスター裁判の件については現時点で裁判中のため、もめている分について支払っていないのは当たり前であり、これを「踏み倒し」という表現を用いて批判するのはさすがにどうかと思う。
これらの批判は意図的なのかただの無知なのか定かではないが、仮に無知だった場合であったとしたならその程度の知識段階で落選運動までしてしまうというのは、その人の資質を疑ってしまう。

論理的に通らない批判による印象操作

今回の事例で言えば支援者の事実部分だけは真実だが、そこから導かれる結論が全く論理的ではなく批判の意味が分からないものもみられた。
難癖と呼ぶべきかもしれない。
例えば、なぜそれだけをもってして再エネ推進がさらに進むと結論できるのか理解に苦しむ。
そして付け加えるならば再エネ推進だけをもってすべて悪になるわけでもない。
環境等への影響や経済合理性、エネルギーバランスを無視した再エネの推進が問題なのであって再エネ自体に問題があるわけではないからである。

「○○だとしたら」「仮に○○していたら」「可能性があります」

おそらくこれらのポストは意図的に貶めるためのものだと思うのだが、「○○だとしたら」などという理由付けはそれこそ本当になんでも問題にできる、大変悪質なものだと考える。
「横断歩道を渡っていたけど信号が赤だったとしたら問題だ。」
その「だったとしたら」部分が一番大事なことのはずである。
こんな未確定な内容を根拠にひとのことを犯罪者かのように言う、それも選挙期間中に行うというのは誰であっても許されないのではないだろうか。
こんな低レベルの批判で選挙妨害されたらたまったもんではない。

ファンの行動を批判することで本人のイメージを下げる

そもそも的外れな批判やネガキャンを見つけた際にファンが訂正を求めるのは理解できる行動であるのにもかかわらず、自身が少し批判されただけで「大量」「わらわら」「工作」などという言葉を用いて印象を操作し、ファン自体を批判する。
そしてファンの批判を通じて候補者のイメージを悪くすることが狙いなのだが、石丸氏のファンはこのような選挙に慣れていないため真面目に反論してまた格好の餌にされているという図式である。
上記様々なネガキャンを取り上げていた中で、あえて無知を装いネガキャンを行うようなポストも散見されたため、それらの誤解を解こうとしてファンが反応しているのだと思われるが、見事に餌として利用されたということでしょう。
なかなかあくどいやり方だなと思う。

ただの印象論で批判する

これらは論ずるに値しないがすべて主観的印象論にすぎないもの。
個人の好き嫌いを語るだけなら良いが、それをもとに落選運動までやってしまう神経が理解できない。
芯を食った批判ができないひとびとがどうしても何か言いたくなって批判するのがこういったところなので、こういった批判を見かけたら「何も思いつかなかったし情報収集もできなかったかわいそうな人」と思っておくのが良い。

まとめ

以上ざっくり見てきました。
いろんなネガキャンが見られて、こんなところにも嚙みつくんだなぁというところです。
まだまだ漏れはあるでしょうが一旦このあたりにさせてください。

いろいろと見ていて思うのは、結局のところまともな政策論争は行われていないというところ。
石丸氏の政策に真正面から戦っている批判はどれくらいあるのでしょうか。
今回の都知事選は都民のリテラシーが試される選挙ということになっていますね。

ネガキャンポストの厄介なところは、一部は事実をもとにしているという点です。
曲解や論理性の無視で作り上げられているため、しっかりとその事象全体を把握しないと、論理性を追わないと、簡単に騙されてしまいます。
このようなネガキャンが今回これだけ発生していたというのはネット選挙時代の闇なのかなぁとも思います。
特に現役の議員や政治関係者が関わっているポストまであったのはさすがに目を疑いました。
石丸氏がSNSで人気を得てきたということでSNSでのネガキャンが戦略の一部として効果を発揮しているというところかもしれません。

しかしながら石丸氏は当初からSNSを主戦場にするというよりは徹底的に街頭演説に立ちまくるという地道な選挙戦略を続けています。
そのためネガキャンが全体の情勢に対してそこまで効果を発揮していないのではないかとも思っていますが、しかしながら街頭演説で石丸氏を知った人々や友人から石丸氏を教えてもらった人が見る検索結果の画面がネガキャンのオンパレードという場合、どういう感覚になるのかというのは想像に難くないです。
個人的にはこれらの悪質なネガキャンツイートの面々は公職選挙法上の虚偽事実の公表罪で捕まってほしいと思っています。

今回の記事に関しては、なかなか方針がまとまらず、書き上げるのが難しかったです。難産でした。
特にネガキャンポストを検索して見なくてはいけないという行為は思ったより精神衛生上悪かったため、今後はあまりやりたくはないですね。
多くの石丸ファンが当初ネガキャンポストに過剰に反応していたのも理解できます。気分悪いですからね。

次回からはもう少し気持ちよく書ける記事を書いていきたいところです。

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