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凄腕ギター告井のビートルズ

 アコギ一本でビートルズを表情豊かに奏でてくれる凄腕ギタリスト告井延隆(つげいのぶたか)。およそ2時間半で33曲のビートルズナンバーを演奏してくれた。贅沢な夜だった。
 元センチメンタル・シティ・ロマンスのリーダー告井さんが2024年1月26日(金)、音楽酒場「ちんたをさんち」(練馬区石神井台7-14-2)でライブを行ったのを聴きに行った。
 告井さんは、シンガー・ソングライター加藤登紀子さんのバックバンドのギタリストとしても知られている。
 告井さんは中学時代にビートルズと出会う。最初の日本でのシングル「抱きしめたい」からである。だが、昭和41(1966)年のビートルズ来日の際は名古屋にいたので武道館公演には行けなかったという。
 2008年に告井さんはソロ活動を開始。告井さんのソロ・プロジェクトは人呼んで「Sgt.Tsugei's Only One Club Band」。


 そのプロジェクト名通り、この日のライブはタイトル曲からスタートした。「Pepper's」を「Tsugei's」にした。
 2曲目からは演奏だけの「ビートルズの弾き語らず」スタイルだ。右手の人差し指と中指にピンポン玉を使って爪を補強。
 「そうしないと爪がぼろぼろになってしまう」。
 告井さんの”テーマ曲”の後、「I am the walrus」。告井さんは「セイウチってどこにいるか知っていますか?北極にいます。南極にはセイウチはいません。シロクマは北極だけ、ペンギンは南極」とトリビアを披露。
 さらに「セイウチは日本語ではありません。ロシア語なんです。でもロシア語というより、カムチャッカとかあっちのほうの民族が呼んでたんでしょうね」と告井さんは続けた
 曲に戻って「Martha My Dear」。
 「ポールが自分の犬のことを歌っています。幸せな犬ですね。Silly girlって歌っているので雌犬ですね。最後の部分は何を表しているか。ソファの上で寝ちゃった。それを表したんじゃないかと最近思うんです」。
 続いては「Blackbird」。「Bird ってのはイギリスの若者にとって女の子のことをいいます。And your bird can singのbirdも女の子。この後に「Piggies」が出てきます。BlackbirdのBlackは黒人のことですが、Pigは白で白人のことを歌っていて、白人社会のことを皮肉っています。Eat the baconって歌われてますが、豚が豚肉を食べてるってことです」。


 「Piggies」の後は「Martha My Dear」、「Here comes the sun」、「Honey Pie」と続けて演奏した。
 ここで時代は溯り「My Bonnie」。告井さんは、このレコードをブライアン・エプスタインのレコード店に買いに来た男がいたことがきっかけでブライアンがビートルズとつながり、やがてマネージャーになったと話した。
 ここからはトークなしで曲を続けたー「Ain't She Sweet」「Ask me why」「This boy」「Till there was you」「I feel fine」「She’s a woman」「I call your name」「No reply」「Eight Days a week」。
 ここで休憩に入った。


 ライブが再開された。一曲目は「Nowegian Wood」。「ノルウェイの森」という邦題について告井さんが解説、「Nowegian Wood」というのはもともと「Knowing she would」で「やる気になっている」ことで、でも結局「すっぽかされたという歌」だと話した。
 ここからはリクエストを受けつけた。まず「I will」。その次は「Cry for a shadow」。その次は「Within you Without you」。これが圧巻だった。まずはインド音楽に合わせたチューニングをして演奏を始めた。シタールの高音部分はチョーキングで対応し、見事な演奏だった。
 「最初聞いた時は訳が分からなかった。これが分かったのはだいぶ後のことです。ビートルズはいろいろな音楽に精通し、いろいろな音楽センスを持っていたということです」と告井さん。
 ここからは「Sgt. Peppers」の収録曲を続けた。「Lucy in the sky with diamonds」「Getting better」「She’sleaving home」「A day in the life」。ここでリクエストに戻って「You can't do that」。
 デビュー当時のビートルズにここからはフォーカスした。「Love me do」「Please please me」「She loves you」「I want to hold your hand」。
 本編の締めは「I saw her standing there」だった。
 アンコールはロックンロールのカバー2曲。
 チャック・ベリーの「Rock and roll music」とリトル・リチャードの「Long tall sally」でこの日のライブは終了した。
 「ライブで再現できなければ自分にとっては意味がない」として、多重録音せず3枚の自主制作盤を発表。その3枚とは『Sgt. Tsugei's On.y One Club Band』、『Sgt. Tsugei’s Only One Club Band II』、『Sgt. Tsugei's Only One Club Band III』。いずれもビートルズのカバー集である。

 
 


 告井さんは北海道警察から表彰されたことも。1995年に加藤登紀子さんのツアーのサポートメンバーとして函館に向かっていたところ登紀子さんらと乗った飛行機がハイジャックされた。
 告井さんはトイレから携帯電話で外部に連絡して情報を伝え、事件解決に役立った。この事件は時にテレビでも取り上げられている。
 趣味は将棋・囲碁。

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