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国立西洋美術館新収蔵作品

 国立西洋美術館(東京都台東区上野公園7-7)はこのほどラヴィニア・フォンターナの絵画《アントニエッタ・ゴンザレスの肖像》とルイ=レオポルド・ボワイーの絵画《トロンプ・ルイユ:クリストフ・フィリップ・オペルカンフの肖像》を購入した。
 この2作品は常設展示室で公開中。
 フォンターナは16世紀後半から17世紀初めにかけて、イタリアのボローニャとローマで活動した画家で、美術史上初めて本職の画家として成功を収めた女性だ。この作品で描かれているゴンザレスと父、そして兄弟姉妹の数人は極端に毛深いという特異体質だった。
 しかし、その体質ゆえに一家は有名になり、通常とは異なるものを自然の驚異として珍重した各地の宮廷から求められた。当時の宮廷や知識人たちの嗜好と知的関心を物語る作品だ。
 フォンターナの作品の注文主にはボローニャの学者や貴族階級はもちろん、スペイン国王フェリペ2世や教皇パウルス5世がいた。

ラヴィニア・フォンターナ 《アントニエッタ・ゴンザレスの肖像》 1595年  油彩/カンヴァス 54.5 x 47 cm 国立西洋美術館


 一方、ボワイ―はフランス革命以後19世紀前半を通じ、パリのサロンで人気を博した画家である。彼はパリ市民の風俗や肖像を描く一方、数々のトロンプ・ルイユというだまし絵作品によっても知られる。
 今回購入した作品はまさに、版画を模したトロンプ・ルイユによる、当時のブルジョワの肖像画である。

ルイ=レオポルド・ボワイー 《トロンプ・ルイユ:クリストフ=フィリップ・オベルカンフの肖像》 1815年 油彩/カンヴァス 43.5 x 32 cm 国立西洋美術館


 また、国立西洋美術館は、初期イタリア・ルネサンスの典型的な聖母子像の形式を見せるビアージョ・ダントニオ・トゥッチの絵画《聖母子と幼児洗礼者聖ヨハネ》、17世紀初頭のミラノで活躍した女性画家フェーデ・ガリツィアの絵画《ホロフェルネスの首を持つユディト》を購入した。
 展示時期は決まり次第発表する。
 
 開館時間は午前9時半から午後5時半(金・土曜日は午後8時まで)。入館は閉館の30分前まで。
 休館日は月曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始。
 常設展観覧料は一般500円、大学生250円。
 問い合わせは℡050-5541-8600(ハローダイヤル)。公式サイトは https://www.nmwa.go.jp/




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