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「キュビスム展 美の革命」

 20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出されたキュビスム。その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来する。
 キュビスムとは、西洋絵画の伝統的技法であった遠近法や陰影法による三次元的な空間表現から脱却し、幾何学的に平面化された形によって画面を構成する試みのこと。絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の常識から画家たちを解放し、西洋美術の歴史にかつてなく大きな変革をもたらした。
 50年ぶりの大キュビスム展ー「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展ー美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が京都市京セラ美術館(京都市左京区岡崎円勝寺町124)で2024年3月20日(水・祝)っから7月7日(日)まで開催される。
 この展覧会の見どころについて、東京大学の松井裕美准教授は「「立方体の抽象化」や「複数の時間の統合」という教則に縛られない豊かなバリエーションがあることや、日常の光景を取り上げながら通常の現実認識に挑戦しているところ」だと話した。

 松井准教授によると、キュビスム誕生の背景としては「新しい都市文化からのインスピレーション」と、地方や外国からパリへの人の流入が増加することで「外国の美術や芸術家と触れ合う機会が増えたこと」があった。 
 キュビスムはパリに集う若い芸術家たちに大きな衝撃を与えた。そして装飾・デザインや建築、舞台美術を含む様々な分野で瞬く間に世界中に広まり、それ以後の芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼすこととなる。
 本展覧会では、世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語るうえで欠くことのできない貴重な作品が多数来日し、うち50点以上が日本初出品だ。
 20世紀芸術の真の出発点となり、新たな地平を切り開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムを、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料などおよそ130点を通して紹介する。
 本展前半では、ポール・セザンヌやアンリ・ルソーの絵画、アフリカの彫刻など、キュビスムの多様な源泉を探る「キュビスムの起源」から始まり、ピカソとブラックがそれらを大胆に解釈しながら緊密な共同作業によって全く新しい絵画を発明する軌跡を追う。
 後半では、その後のキュビスムの展開に重要な役割を果たしたフェルナン・レジェ、フアン・グリス、ロベール・ドローネー、ソニア・ドローネーら主要画家たち、キュビスムを吸収しながら独自の作風を打ち立てて行ったマルク・シャガールら国際色豊かで個性的な芸術家たちを紹介する。
 また、第一次大戦という未曽有の惨事を経て、キュビスムを批判的に乗り超えようとするル・コルビュジエらのピュリスム(純粋主義)の運動や、合理性を重視する機械美学が台頭してくるまでを展覧する。

《大きな裸婦》や《肘掛け椅子に座る女性》
 主な出品作品としては、ピカソのプリミティブな裸婦像に衝撃を受けて制作されたブラックの重要作《大きな裸婦》(1907-08年、日本初出品)、ポンピドゥーセンターを代表するキュビスム絵画《肘掛け椅子に座る女性》(1910年)などがある。
 開館時間は午前10時から午後6時(入場は午後5時半まで)。休館日は毎週月曜日だが4月29日と5月6日は開館。
 前売り券、特別チケットは2024年1月19日(金)から販売開始する。詳細は展覧会公式サイトにて。
 連絡先は075-771-4334。展覧会公式サイトは https://cubisume.exhn.jp


 



 

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